
(40)春季リーグ戦後インタビュー 明新大地

(この取材は5月30日、オンラインにて行われました)
明新大地外野手(政経4=明大中野)
――優勝した感想はいかがですか。
「正直あまり実感はないです。すごくうれしかったのですが、すぐ全日本選手権が始まるというのもあって、あまり優勝した実感はないですね。でも自分たちの代で優勝したいという話は3年間ずっとしてきたので、それはできて良かったなと思います」
――サヨナラの場面は見ていていかがでしたか。
「もっと野球長くやりたいなという感じでした。ミノ(蓑尾海斗捕手・文4=日南学園)が決めてすごいなという気持ちと、変な話なのですが、もっとあの試合を長くやりたかったという、そんな気持ちもありました。全く打てなかったですが、楽しかったので。すごい数のファンの方が来てくれていたじゃないですか。もう本当にそれがうれしくて。特に人数制限も緩くなって、応援団も内野に来て、僕が1年の春に見て『こういう神宮球場でプレーしたいな』と思い描いていた神宮球場に戻ってきたので、そこで実際にプレーできていることが本当にうれしかったです」
――傍から見てもとても良い雰囲気のチームでした。
「村松(開人主将・情コミ4=静岡)、山陸(山田陸人内野手・法4=桐蔭学園)、蓑尾が中心となって動いてくれているので、大元はこの3人がつくってくれた雰囲気だと思うのですが、やはり岡本伊織(内野手・商4=創志学園)の存在は大きいと思います。あいつがいたら自然と明るくなります。胴上げされたのもそういうところの貢献度ですね。誰もが彼のあの声や雰囲気づくりには助けられているので、岡本がベンチにいたら負けないですね明治は。ベンチの温度を5度くらいあいつ一人で上げていると思います。みんな感謝しています岡本には」
――同期から見て、村松主将はチームにとってどのような存在でしたか。
「喋り始めたら止まらないのですがいいですか(笑)。開人は、今までの明治の公家(響選手・令3政経卒・現大阪ガス)さんとか丸山(和郁選手・令4商卒・現東京ヤクルトスワローズ)さんとは違ったタイプのキャプテンだと思います。僕がやはりすごいなと思ったのは、あれだけ実績を持っていて、ベストナインも取って大学日本代表候補にもなったような選手が、ケガで出たくても出られないという状況が続いていた中で、グラウンドでは絶対にそのマイナスな感情を持ち込まなかったんですよ。絶対にあいつが一番悔しかったはずなのに、絶対そういうところを見せなくて。あれって真似できないなと思いました。開人がいるのといないのとでは、チームの締まり具合とかも全然違うので、存在するだけで明治を強くしているような男ですね」
――副将の2人についてはいかがですか。
「副将の2人はもう大好きです。このチームはみんな尊敬するところがたくさんあるのですが、その中で誰が一番かと言ったら、僕は陸人のことを一番リスペクトしています。あいつは、もう本当にすごいです。かっこいいです。僕らが1年生の時に、僕も最初は内野手だったのですが、僕は付属校でしたがスポーツ推薦で入ってきた内野手が5人いたんですよ。村松、岡本、日置(航外野手・商4=日大三)、西山(虎太郎内野手・商4=履正社)、山田陸人だったんですね。それで、陸人以外の4人は1年生の時からリーグ戦に出ていたんですよ。メンバーに何回も入って。でも陸人は、最初はなかなかベンチにも入れなかったんですよ。それでも、陸人は内心どう思っていたか分からないですが、もう負けん気でひたすら練習して。それで3年になって首位打者を取ってベストナインも取って、今につながっているわけじゃないですか。1年生の頃は苦しかったと思うのですが、あの状況で努力を怠らなかったのを見ていたので、あの時からやはりすごかったなと思います。それに、陸人はリーグ戦中も結構ミーティングでは怒られていたのですが、恐らく陸人も陸人自身が落ち込んだりしたらチームに伝わるということが分かっているから、陸人も陸人でそういうのを絶対見せない。どれだけ怒られても明るく振る舞う。あれはたぶん僕にはできないので、もう本当に陸人はすごいなと思うところばかりです。陸人と同期で野球をやらせてもらえたというのは、もう一生の財産になる気がしています。それぐらいすごいです陸人は。
ミノは結構普段は陽気なやつなのですが、野球になるとバチッとスイッチが入りますね。ミノも結構苦しいシーズンだったとは思うのですが、勝負どころで結構打っていて、最後も決めたのはミノじゃないですか。そういうところがすごいなと思います。本当に副将2人ともすごいです」
――他に刺激受けた選手はいらっしゃいますか。
「まず、渡部翔太郎(投手・総合4=千葉黎明)です。翔太郎は、もう向上心の塊みたいなやつなので。練習もストイックですし。翔太郎が選手権で投げられるようにみんな頑張っていたので、選手権に出られるのは良かったなと思うところはあります。あと、虎太郎(西山)は、もう人間的にもいいやつで。僕が今までの人生で関わってきた中で一番面白い人間です。本当に面白くて、かつ野球もうまくて。これは本人にも言ったのですが『顔以外虎太郎になりたい』と言ったことはあります(笑)。それでもし虎太郎の顔が真剣佑みたいだったら本当に完璧だねという話をしたことがあります(笑)。虎太郎は僕が関わってきた人類の中で一番面白いです」
――今春はご自身にとってはどのようなシーズンでしたか。
「後半少し失速してしまったなという感じですね。そこが悔しいです。良かったことは、どういう状況でも、自分がどういう使われ方をしても、結果を残せる準備はしていました。スタメンで出る9人だけが良くても絶対チームは良くならないと思うので、その辺の準備を怠らなかったのが序盤は良かったと思います。後半は自分の苦手なところが露骨に出てしまって。相手からもデータを取られて対策されていたので、そこの対応力が足りなさすぎたなというのがあります」
――打撃に関して誰かからのアドバイスはございましたか。
「鈴木コーチと福王コーチにはずっと教えていただいていました。福王さんからは打撃フォームのことでアドバイスをいただいたりしていましたし、鈴木コーチには『神宮ではとにかく力を抜いて、いい意味で適当にバッティングやりなさい』と言っていただいていて。それを言われたのはシーズンが始まる少し前だったのですが『いい意味で適当に』という言葉がこのシーズン中のキーワードでした」
――4年生になって変わったところはございますか。
「練習でもっと細かく詰めていこうという風にはなったと思います。例えば大雑把に右方向に打つ練習をしようというより、こういうボールは右方向に打とうという練習をするようになりました。内容を詰めて、細かく細かく何事も意識していました」
――スポーツ推薦の選手が多い中で、優勝時にスタメンという状況は入学時想像していましたか。
「それは想像通りです。本当は僕が最後フライをキャッチして最後輪の中に走っていくというシナリオがあったのですが、でもずっとそういうイメージをしながら生活して練習して、そこにいるためにいろいろやってきたので。本当にありがたい話なのですが、その点においてはイメージ通りです」
――全日本大学野球選手権大会の個人的な目標を教えてください。
「とにかく優勝に貢献するということですね。リーグ戦と同じですが、その日何か一つでもいいからチームの勝利のために仕事ができたらなと思っています。1打席目には打ちたいですね。1打席目は絶対に塁に出たいです」
――ありがとうございました。
[西村美夕]
関連記事
RELATED ENTRIES