
(3)ルーキー特集 第2弾 ~江川マリア編(2)~
『やっぱり明治がナンバーワン』。このスローガンを確固たるものにするであろう大型ルーキーたちが明大に入学した。今回で5回目を迎えるルーキー特集。競技の話から選手の素顔まで、それぞれの魅力をお届けする。
2人目は、昨年度まで福岡を拠点にし、3年連続インターハイの表彰台に立った江川マリア(政経1=香椎)。オールラウンダーである自身の強みを発揮しながら、新たな環境でさらなるレベルアップを目指す。
(1)の続きになります。
(この取材は3月19日に行われたものです)
――スケートを5歳から始めて、自分の中での転換点はありましたか。
「ノービスBのころ、野辺山合宿に行くことができて、全日本ノービス選手権(以下、全日本ノービス)にも出場できましたが、全く目立つ選手ではなく上位の選手とは差があるなと思っていました。小学6年から中学1年にかけてのシーズン、ノービスAの2年目の野辺山選考くらいのときに、それまでジャンプが1種類しか跳べなかったのが3、4種類跳べるようになって、そこで初めて上位の選手と戦えると思えて自信がつきました」
――なぜ急に跳べるようになったのか思い当たることはありますか。
「そもそも3回転ジャンプがなかなか跳べずにいて、ずっと練習し続けて、ようやく一つ降りられるようになったのもノービスBの2年目の最後の方、全日本ノービスが終わった後くらいでした。そこで一つ跳べるようになっていろいろ感覚をつかんだのか、跳べるようになりました。そこはあまり覚えてはいないのですが、自分の中ではようやく跳べるようになったという感じでした」
――心が折れそうになったときはありましたか。
「今シーズン、スランプになってしまったときに、調子が悪い時は今までに経験がありましたが、全く跳べないというのは経験したことがなくて。本当に落ち込んでいるときは『このまま跳べなくなって終わるのかな』と思ったりしました。体型の変化で跳べなくなることもあると思うのですが、そういう訳ではなく、今でも何が原因かは分からないのですが、分からないからこそどうしていいのか分からなくて、辞めたいとは思いませんでしたが、諦めそうにはなったかもしれないです」
――そこからどのようにして状態を良くしていきましたか。
「そのような状態でも毎日練習はしていて、それでも跳べなくて毎日に泣きそうになりながら練習していました。メンタルもきていたと思うし、すぐ潤んでしまうといった感じで。でも、一度跳べるようになったジャンプは今まで跳べていたのだからまた跳べるようになるだろうと思って、前の跳べていたときの映像を見てイメージトレーニングをするようにしました。そのおかげでジャンプが戻り始めたのはあると思います。コーチの方々は、自分の調子がいいときでも悪いときでも同じように接してくれて、今シーズンは特にメンタルに波があったと思うのですが、その中でも根気強くご指導してくださって感謝しかないです」
――スケート生活の中で一番の支えになっている人を教えてください。
「一番は両親です。おばあちゃんもそうです。どんなときでも応援してくれて、今シーズンは特に遠いところでも送り迎えしてくれて。私のためにこんなにも尽くしてくれて、その気持ちが自然と伝わってくるので自分も頑張らないといけないなと思います。私の意見を尊重してくれて、東京に行くとなったときも、私が行きたいと言うなら行ってきたらいいんじゃないと受け入れてくれて。離れ離れになるし、いろいろと変わることがあるので簡単にOKを出せることでもないと思うのですが、いいよと言ってくれて温かく送ってくれたのでそれはありがたいなと思っています」
――スケート以外のスポーツを過去にやっていたことはありますか。
「体操を少しだけ、それもたまたまで、パピオのリンクが休業となった時に何かやろうとなって体操をしていました。スポーツでなければバレエを3歳〜中学2年くらいまでやっていました。(バレエのことをフィギュアスケートに生かせることはあるのですか)バレエを昔からやっていたこともあるので、手の動きなど得意なことは自然と生かされているのではないかなと思います」
――趣味、特技を教えてください。
「趣味は食べることや寝ることになるのですかね(笑)。好きなことでもありますが、特技は料理をすることです。休みの日は自分で料理をしてご飯を作れたらなと思っています」
――北京冬季五輪を見ての感想はありますか。
「率直な感想としては、今回の五輪は3回転や4回転を跳んできていて、次の五輪はもっとすごいことになっているのだろうなと思いましたし、進化みたいなものを感じました」
――シーズンオフはどのような過ごし方をしますか。
「シーズンオフでも休むことはなく、シーズンオフこそスケートは新しいものに挑戦する時期だと思うので、今は4回転ジャンプなどを頑張りたいなと思います」
――ご自身の強みを教えてください。
「そのような質問のときにいつも迷って、オールラウンダーと答えることが多いのですが、ステップにしてもスピンにしてもジャンプにしても得意なものがあって。ジャンプならアクセルとトーループの連続ジャンプでいい評価をいただけたりして、スピンだとレイバックスピンが良かったりして、そういう強みを増やしていきたいなと思います。自分の強みに加えて、4回転ジャンプが跳べるようになったら戦えるのかなと思います」
――試合では緊張するタイプですか。
「試合によりますが、全日本ジュニア選手権は毎回緊張していました。かなり緊張するタイプだと思います。試合前のルーティンとして、公式練習で撮ってもらったジャンプの映像を見返したりしてイメージトレーニングすることがあります」
――本番滑る上で、大切にしていることはありますか。
「大会、大会という感じで気持ちを追い込み過ぎずに、いつも通り平常心でいこうと思って演技するようにはしています」
――スケートを続けられる理由はありますか。
「あまり深くはないのですが、単純にスケートが好きだからここまで続けられているかなと思います」
――スケートをやる上での原動力はありますか。
「先生も親も含めていろいろな人が応援してくれて支えてくれていて、そういう気持ちだけでも原動力になりますし、今はMFアカデミーでトリプルアクセルを毎日間近で見られたりして刺激もたくさんあって、周りにいる人からの刺激も力になっています」
――目標としている人はいますか。
「目標としている選手は、坂本花織選手(神戸学大)や三原舞依選手(甲南大大学院)です。坂本選手は幅があって高さもあるジャンプを跳ぶ選手で、私自身は幅のあるジャンプをする人と言われることがあるのですが、もっと磨いて坂本選手くらい跳んですごい選手になりたいです。三原選手は見ていて自然と感動する演技を毎回されていて、人の心を動かす演技は簡単にできるものではないですし、動かそうと思って演技するよりは自分が観客を巻き込んで一体になる感じを持って滑れたらいいなと思っているので、どちらもすごい選手だなと思って尊敬しています」
――来シーズンの目標はありますか。
「まずは全日本選手権(以下、全日本)に出場したいです。一番は全日本でいい成績を残したいです。成績を残して強化選手になって国際試合に派遣されるような選手になりたいなと思っています」
――大学4年間での目標はありますか。
「どうなるかは分かりませんが、4回転ジャンプも練習し始めたので、それを習得して、来シーズンの目標である国際試合はもちろんですし、五輪の選考会に組み込めるような選手に4年後なっていればいいなと思います」
――理想のスケーター像やなりたい選手像などはありますか。
「ジャンプだけ、スピンだけではなくて、トータルパッケージですごいみたいな、曲の初めから終わりまですごいと思わせられるような選手になりたいです。スキのない選手になりたいですし、観客と一緒になって滑れるように気持ちのこもった演技ができるようになりたいです」
――フィギュアスケートのファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。
「今まで福岡を拠点にしていて、福岡にいる時からずっと応援してくれていた方もいると思いますし、東京ブロックに移ってそこから私の演技を見て私のことを知ってくださる方もいると思います。私の演技を初めて見る方にも今まで応援してくれていた方にも成長した姿を見せられるように頑張りたいです。私はまだ飛び抜けてうまい選手ではないですが、それでも応援してくれていて、それが自分の気持ちの支えになっているので、いつもありがとうございますというのとこれからも応援よろしくお願いしますと伝えたいです」
――ありがとうございました。
[守屋沙弥香]
♥江川 マリア(えがわ・まりあ)令4政経入学、香椎高。スープ系の料理が好きで、得意料理はポトフ。159センチ
(写真は本人提供)
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