(番外)「とにかく目の前のことをやり続けるだけ」 サッカー部創部100年記念 室屋成選手インタビュー 後編

2021.09.27

 ドイツで輝く紫紺の勇者。プロからのオファーもある中で明大へと進学し、1年次からトップチームで躍動。卒業を待たずしてFC東京とのプロ契約を勝ち取った日本代表DF室屋成(平29政経卒・現ハノーファー96)。ここではサッカー部創部100年を記念し制作した明大スポーツ第513号に掲載することが叶わなかった、室屋選手へのインタビュー全編をお届けする。(この取材は9月1日にオンラインで行われたものです)

――最近の明大で注目している選手はいますか。

 「FC東京の選手、毎年来ているので注目していますし、中村帆高(令2法卒・現FC東京)や岡庭愁人(政経4=FC東京U―18)は同じポジションで、この前試合にも出ていましたがすごく頑張っていて、前のチームで関わっている選手は特に応援したいですね」

 

――日本サッカー協会が投稿していた動画の中で、南野拓実選手(リバプール)が室屋選手を漢字1文字で表すと「粘」と言っていましたが、主観的にどう思いますか。

 「拓実(南野)とは一緒にサッカー始めましたが、当時からセレッソ大阪の下部組織に入って、いわゆるエリート街道を歩んでいて、自分は決してそうではなく、いつも上手くいかなくなっては、また少し上手くいってという連続のサッカー人生でした。小さい頃からずっとそんな感じなので、彼にとってはやはりそう見えるんだと思います」

 

――同じ動画内で、日本代表で一番変わっている選手は長友佑都選手(平23政経卒)だとおっしゃっていましたが、どのような点で変わっていると思いますか。

 「単純に物事に対する好奇心の豊かさや、コミュニケーション能力の高さとか、それを含めてすごく才能を感じるというか、良い意味で変わっているなと思います。自分にとって変わっているというのはいい意味です」

 

――SBを始めたのはいつごろで、それまでやっていたポジションに比べてどのような印象がありましたか。

 「SBを始めたのは高校2年の時だったと思います。それまでディフェンスを全然しない攻撃的な選手でしたが、攻撃的なポジションでは行き詰まっていると思っていたので、もうここしかないなというイメージでプレーしていました。嫌だとは思わなかったですし、ここで結果残さなければいけないなと思っていました」

 

――コンバートのきっかけは何でしたか。

 「当時U―17日本代表に呼ばれて、その時の監督に『SBをやってみろ』と言われて、それから青森山田に戻ってもSBやっていたという感じですね」

 

――青森山田に進学したきっかけとして黒田剛監督の存在があると思いますが、どのような印象抱いていましたか。

 「自分にチャンス与えてくれた人なので感謝しているのと、今は青森山田も毎年のように優勝していて、自分の時は3年間ベスト16だったので、少し考えられないというか、すごいなと思いながら見ています。自分に機会を与えてくれた指導者なので感謝しています」

 

――ドイツでの生活の中で驚かされたことはありますか。

 「国が違えば考え方も違うだろうと思ってドイツに行ったので驚くことはないですけど、でも日本の考え方というか『日本ってなんて良い国なんだろうな』というのはすごく感じてますね(笑)」

 

――ドイツでのプレーや、言葉の壁を乗り越える上で生きたと思う明大での経験はありますか。

 「サッカー面だと明大は対人練習が多く、自分のプレースタイルも明大で学んだことが多くて、対人の部分とか1人でどうにかするという部分は、大学でのトレーニングがJリーグでも生きたりしていました。ドイツに行っても結局1人でどうにかしなくてはいけない場面もあるので、そう言った点では大学で学んだことが生きていると思います。普段の生活でもやはり、苦しかった部分、寮生活から学んだことなどは生きますね」

 

――理想のSB像はどんな選手ですか。

 「個人で誰というのは特にいませんが、自分のプレースタイルの最大値がやっぱり理想の選手です。なので自分の得意な部分をもっとレベルアップしたいですし、自分のウィークポイントを改善したいとはずっと思ってます。それが自分の理想です」

 

――明日からカタールワールドカップアジア最終予選が始まります。シーズンオフにはワールドカップも控えていて、重要なシーズンになると思いますが抱負はありますか。

 「あまり目標とか抱負は考えないタイプなので、だから今年1年が大事というよりは毎年が大事だと思っています。サッカーのキャリアというのは短いので、まずはいつも通りやることが大事で、チームで結果残し続けると新しいステップも見えてくると思うので、とにかく目の前のことをやり続けるだけかなと思います」

 

――最後に明大の後輩にメッセージをお願いします。

 「難しいですね(笑)。今でも明大はタイトルを取っていて、良い時代、良い流れがあると思います。自分が大学生だった時は全国優勝とかできなかったので、すごいと思いながら応援しているんですが、これからも取り組んでいることに対して頑張ってくださいとしか言えないですね。本当にすごいなと思って見ています」

 

――ありがとうございました。

[土屋秋喜、市瀬義高]

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