(番外)「サッカーだけではないと感じさせられた」 サッカー部創部100年記念 室屋成選手インタビュー 中編
ドイツで輝く紫紺の勇者。プロからのオファーもある中で明大へと進学し、1年次からトップチームで躍動。卒業を待たずしてFC東京とのプロ契約を勝ち取った日本代表DF室屋成(平29政経卒・現ハノーファー96)。ここではサッカー部創部100年を記念し制作した明大スポーツ第513号に掲載することが叶わなかった、室屋選手へのインタビュー全編をお届けする。(この取材は9月1日にオンラインで行われたものです)
――在学時に転機となるようなポイントはありましたか
「ここがポイントというのはありませんが、普段の練習から、普段はすごく上下関係が厳しくて仕事の役割などがありましたが、ピッチに入れば何も関係がないというのが明大の特徴で、なので練習が始まったら先輩たちに対しても思いっきりやってやろうと思っていました。普段の厳しかった部分への反発を示せるのはピッチの上だけだったので、練習では絶対に負けたくないなととても感じるようになって、自分自身がすごく競争力のある、負けん気の強い人間だというのを当時に感じさせられました。それが自分は厳しい状況に置かれたら反発できる人間なんだなと感じたのがいい気付きだったかなと思います」
――プロ1年目では主力として出場機会があった中で、2年目に振るわない時期が続きましたが、そこを乗り越えてポジションをつかみ、海外移籍を果たしたという点にはどのような要因があったと思いますか。
「自分自身それが挫折だったとは捉えていませんが、でもやはり自分の性格的に逆境に入り、うまくいかなくなったときにもう一度自分で良い方向に持っていける力があるというのが一つ大学で学んだ事だったので、FC東京で出場機会がなくなった時でも絶対にこの状況からうまく打開できるという自信がありました。その自信というのは大学でも1年生からポジション争いをできたという成功体験を持っていたからこそだと思います。それをプロに入ってうまくいかなくなったときに、その成功体験を通してそこで折れてしまわないで、もう一度良い状況に持っていけたというのがあると思うので、いつもその連続を自分がサッカー人生を通してやっているような気がします。いつもうまくいったりうまくいかなくなったり、そこからもう一度良い状況に持っていくというのを繰り返しているなと思います」
――サッカー以外の学生生活で印象に残っていることはありますか。
「やはり大学に行ってサッカーをやっていない、サッカーを全く知らない人たちと交流する機会があって、そういう人たちの考え方などは自分にとってはすごく新鮮で、今までだったら高校もサッカー推薦で行っていたので、サッカーをしている人と仲良くして、だからそういう人たちの考え方がすごく刺激的で一番印象に残っているというか、サッカーだけではないと感じさせられた大学生活でした」
――大学での学びが社会に出ても生きていると感じる場面はありますか。
「基本的に社会人といっても特殊な仕事なので、うまくいかなくなったときにサッカーだけになりすぎないというか、物事に対してもう少し、サッカーに対しても距離を持って考えることができるようになったかなと思います。大学に行ってサッカーをしていない人と話したりして、こういう世界もあるんだとか、こういう考え方もあるんだとかいうのを学んで、うまくいかなくなったときにもっとサッカーにのめり込んでしまうと自分は結構苦しくなってしまうタイプなので、別のことを考えたりとか、今日はもうサッカーに対して距離をおこうとか、距離を持てるようにはなりましたね」
――オリンピック経験者として、今回のオリンピックはいかがでしたか。
「単純に日本代表でも一緒にプレーしている選手たちが試合に出ていたので、チームのサポーターとして応援していました。新型コロナウイルスの関連でいろいろなことを言われたり、開催自体についても様々な意見がある中で、難しい中で試合をしていたので大変だなと思いながらも、選手は何も悪くないので本当に応援していました。勇気というか、サッカーを通して国民の人たちも盛り上がっていたと思いますし、サッカーには力があるなと思いました」
――日本サッカー界において大学サッカーはどういう役割を担っていると思いますか。
「欧州を基準にすれば大学サッカーは少し変わった存在だと思います。基本的に高校卒業してとか、今だったら欧州なら18歳とかでリーグ戦に出ているわけで、大学でサッカーをやるというのはプロデビューするのが23歳とかになるので、サッカー選手としてそこまで若くないし、大卒1年目で結果を残さなきゃいけないという立場になるので、欧州を基準にすれば正直少し遅くなると言うイメージが事実としてあると思います。それでも高卒でプロになれなかった選手をJリーグに送り出せる1つのクッションという役割として良い流れを作れていると思うので、そこに対して今変わらなきゃいけないとは思わないですし、日本サッカーに対して大学サッカーが担っているものというのは重要なものになっていると思うので、これを続けていければいいと思います」
――栗田監督の監督としての長所はどこにあると思いますか。
「他の選手の方が栗田監督を知っていると思いますが、選手をフラットに見てくれるというか、差別がないのは選手にとって大きいし、結構ハッキリしている人なので、誰に対しても良くないことは良くないと言いますし、競争力持たせるのが上手い人ですね」
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