
(32)経験豊富なタフネス右腕 憧れのユニホームで〝Game Designer〟へ 村田賢一

目指すは明大のエースだ。村田賢一投手(商1=春日部共栄)は高校3年次にはエースとしてチームをけん引。県大会でも1人で12回を投げ抜くなど、その強靭(きょうじん)なスタミナと強い精神力には定評がある。大学でもその力を遺憾なく発揮できるか。伝統のエースナンバー〝11〟へ期待が高まる。
「ここで野球をやりたい」。高校は埼玉の強豪、春日部共栄高に進学。中学まで野手であった村田に対して、本田利治監督からの「投手をやってみないか」というラブコールにも心引かれた。
しかし現実は甘くなかった。3年生の試合で、1年生ながらマウンドに立った村田。相手は前年度夏の甲子園を制した作新学院高。「良いコースに投げても外野の頭を越えられた」。王者の洗礼を浴び、高校野球のレベルの高さを痛感。強い危機感に襲われた。
怪我にも悩まされた。2年次の春合宿中に腰を負傷。8ヶ月の離脱を余儀なくされた。結果的にチームは春夏共に県大会初戦負け。「先輩を勝たせられなかった」。チームに貢献できず、歯がゆさを感じた。
高校野球の厳しさと自身の怪我。2つの大きな壁を経験した村田。しかし、苦しいときにはコーチ陣が手を差し伸べた。メンバーから外れ、自身を見直す時間ができた村田に「とにかく練習しろ」と厳しく指導。「自主練なんて頭になかった」若武者に自主練習の大切さを教え込んだ。猛練習の末、2年次秋にはエースの座をつかみ関東大会準優勝。チームを甲子園に導くまでに成長した。
憧れのユニホームで躍進する
大学は「小さい頃からの憧れだった」明大に進学。秋季リーグ戦ではリリーフとして2試合に出場。フレッシュリーグでも先発として登板し、7回途中を無失点に抑える好投を見せた。順調な滑り出しだが、謙虚な姿勢は崩さない。「自分のレベルで抑えられない打者はゴロゴロいる」と目線は来季へと向かっている。
村田のグラブには〝Game Designer〟という文字が刻まれている。その真意は「しっかりと試合を作っていくこと」。どんな状況でも試合を組み立てられるのが長所であり「先発には一番こだわりがある」。強みを存分に生かし、明大投手陣の柱となれるか。今後の村田の活躍から目が離せない。
[久保田瞬]
◆村田 賢一(むらた・けんいち)商1、春日部共栄高、182センチ・80キロ、右投右打、投手
多趣味で、その内容はマジック、サバゲー、ゴルフなど多岐にわたる。その数なんと20以上。
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