(29)ポジティブ思考を胸に 目指すは父超え 菅原謙伸

2021.01.31

 強肩で相手を圧倒する。強豪・花咲徳栄高出身の菅原謙伸捕手(政経1=花咲徳栄)。高校3年次の夏の甲子園でのフェアプレーでその名を世に轟かせた。次なる舞台は父もプレーしていた神宮球場。父と同じユニホームをまとい、レギュラー奪取に期待がかかる。

 

 常にポジティブに。野球一家に生まれ「気付いたら始めていた」野球。小中時代は、地元・岩手のチームで過ごし、高校は全国屈指の強豪・花咲徳栄高に進学。だが「進学した学校間違えた」と戸惑いばかりで始まった高校生活だった。初めての寮生活。強豪校ともあり関西から来る部員も多い。東北出身の菅原は、関西人の強い口調に圧倒された。さらには高校1年次、チームは夏の甲子園優勝。周りのレベルの高さにあぜんとした。元々自分自身を「面倒な性格」と語るように壁にぶち当たると思い悩んでしまう性格。それ故、進学して早々何度も野球をやめようと決意した。しかし、脳科学の先生から「自分が言った言葉は脳に影響する」と言われたことが大きな転機に。「何事にもポジティブでいること」を意識し始めると大きく飛躍。2年次秋からは不動のレギュラーとして活躍することとなった。

 

 「7点取られたのは捕手の責任」。迎えた3年次。春の県大会で相手に7失点を喫し、準々決勝で敗退。不甲斐なさだけが残る試合に。かつて先輩たちの姿をアルプスから見て「本当にいい場所だな。自分も立つ」と誓った甲子園の舞台は遠のき始めた。負ければ終わりの世界。勝たなければならないという重圧は想像以上の大きさでのし掛かる。精神的に辛い時期が続いた。だが「負けても最後」と持ち前のポジティブ思考で「逆に開き直っていけた」。気持ちを新たに思い切ってプレー。すると、夏の県大会では見事優勝。甲子園への切符をつかんだ。甲子園では、チームは初戦敗退となったが、中森俊介投手(明石商高)から公式戦第1号となる本塁打を放ち甲子園を沸かせた。「高校野球の聖地で野球ができて楽しかった」と甲子園は憧れの地から思い出の地となった。

 

 父の背中を追い掛ける。父が硬式野球部OBであることから小さい頃から応援していた明大。いつしか同じ明大に入り神宮でプレーすることが目標となっていた。目標が現実となった今、目指すは父が取れなかったベストナインを取ること。継承した明大魂で、勝利に向かって突き進む。

[宮本果林]

 

◆菅原 謙伸(すがわら・けんしん)政経1、花咲徳栄、182センチ、84キロ、右投右打ち、捕手

小学生時代に佐々木郎希投手(千葉ロッテマリーンズ)と対戦。好機で打席が回ってきたものの抑えられてしまった