明大 プロ輩出の理由を探る

2020.11.13

 ドラフトの主役はいつだって明大だ。今年は入江大生投手(政経4=作新学院)が指名を受け、同一チームからの最長連続指名記録を11年に伸ばした。これほどまでにプロ野球選手を輩出する環境とは。また、第一線で活躍できるのはなぜか。近しい関係者の談話から解き明かす。

 

指名の裏に

 「(高校から)別人のように成長している」(スポーツジャーナリスト・安倍昌彦氏)。明大の選手の特徴だ。今ドラフトで指名された入江もその1人。高校時代は打者として名をは せたが、明大で投手に再挑戦。4年間でドラフト1位にまで上り詰めた。成長を可能とさせるのが、充実した環境だ。寮と練習場が同じ敷地に設置され、室内練習場も完備。4年間を野球に捧げる選手たちにとっては最適な場所だ。指導陣の尽力も大きい。「プロに進めるために、適性を考えて選手を起用している」(スポーツニッポン新聞社特別編集委員・落合紳哉氏)。技術面で特筆すべきはOBのサポート。広澤克実氏(昭60文卒)らプロの世界を知るOBが足を運び、現役選手に指導。「ゴールに対してさまざまな方法を教えて下さる」(武藤俊学生コーチ・政経3=佼成学園)。豊富な人材を含めた環境が、プロ選手たる人材を育んでいる。

 

活躍の裏に

 佐野恵太選手(平29商卒・現横浜DeNAベイスタ ーズ)、森下暢仁選手(令2政経卒・現広島東洋カープ)ら、輩出するのは一線級の選手ばかり。田中武宏監督はその理由を「礼儀」だと語る。〝人として〟を徹底的に鍛えるのが、島岡吉郎元監督(昭11政経卒)の時代から続く明大の伝統。一見、野球の技術と礼儀は関係ないようだが、浜田一志前東大野球部監督によると「礼儀の良さは他人を観察することに結び付く。それがプレーにおける視野の広さや判断力に直結する」という。現在はプロで活躍する柳裕也選手(平29政経卒・現中日ドラゴンズ)も〝人として〟の部分に非の打ちどころがない。「礼儀もそうだし、努力してあれだけの選手になった」(落合氏)。実力に加え、その人間力は現場からも高い評価を得ている。球界を席巻する明大の野球。「時代が変わっても、変えてはいけないもの」(田中監督)。伝統は揺るがない。〝明治時代〟はまだまだ続く。


【小畑知輝】

この紙面のご購入を希望される方はこちらからお申込みください。

年間購読・新聞販売について