
「暢仁とWエースと言われるぐらいの活躍を」 伊勢大夢

実力はプロ注目レベルだ。第2先発として最有力候補に上がる伊勢大夢投手(営4=九州学院)。最速150㌔の直球に加えて、六つの多彩な変化球を投じる。今季、背中に背負うものは明治のエースナンバー〝11〟。覚悟も準備も万全の右腕は、森下主将とのWエースを宣言。優勝の立役者へと名乗りを上げた。
油断の代償
昨春は主に第2先発としてリーグ4位の防御率を記録。夏には六大学選抜での好投もあり、秋に向け、善波達也監督の期待は大きかった。
しかし、好成績を残したことで「心に余裕ができてしまった」。昨秋の登板はわずか1試合。起用が減った理由は練習での意欲の低さ。苦手な長距離走で気を抜いた姿が指揮官の期待を裏切る形に。優勝争いに絡めなかったチームをスタンドで見ることしかできなかった。「しっかり取り組まなかったことが腹立たしい」。グラウンドに立つことすらできない自分に怒りが湧いた。
自覚と変化
悔しさを原動力に変える。「ここでやらなきゃ何も残らない」。優勝に対する思いは昨年とは桁違いだ。柔軟性を求め、ヨガにも挑戦。積極的に新しいメニューを取り入れた。体重は冬を越え3㌔増加。球威、球速は増し、球種も一つ増やした。さらに「あんな姿は今までなかった」(善波監督)。最上級生としてチームに対して意見も言うようになった。周りを見ることができるのも自分自身が今まで以上に練習に取り組んでいるから。技術も精神力も〝11〟に値する選手へと成長している。
大学での最終目標はプロ入り。そこには両親への恩返しの気持ちがある。「親に大学に行かせてもらっている。このままだと申し訳ない」。だからこそ「暢仁とWエースと言われるぐらいの活躍をしたい」。そう意気込んだ言葉には昨年にはない自信と覚悟があふれていた。
【坂田和徳】
◆伊勢 大夢(いせ・ひろむ)熊本県出身。高校生の時から大事にしている言葉は「友喜力」。自身の結果で仲間を喜ばせる力のこと。181㌢・86㌔
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