
佳明楽天6位滑り込み 若鷲よ羽ばたけ

10月25日に行われたプロ野球ドラフト会議で、渡辺佳明内野手(政経4=横浜)が東北楽天ゴールデンイーグルスから6位指名を受けた。祖父は母校・横浜高を5度の甲子園優勝へと導いた名将・元智(もとのり)氏、祖母と母は同校の元寮母と野球一家で育った佳明。家族の思いも胸に、プロの世界へと飛び込む。
◆10・25 2018年プロ野球ドラフト会議
評価と実力
不意に呼ばれた名前に驚きを隠せなかった。緊張で渇いた喉に水を流し込み、姿勢を正した瞬間。テレビから「ワタナベヨシアキ」の声が響いたのは、6巡目の最初だった。不屈の精神で常に結果を残してきた。「立派な三塁コーチャーにしてやる。右腕を振る準備をしておけ」。横浜高入学時、身長が伸び悩んだ佳明に小倉清一郎部長が冗談めかして言った。決して優遇はしない指導陣に反し、集まる世間の注目。反骨心を燃やし、練習に明け暮れた。7割近い代打成功率を残すと、高校2年次夏には5番・一塁で甲子園に出場。「レギュラーにはなれない」と入学を反対した祖父の予想をいい意味で裏切る活躍を見せた。
大学では1年次春の開幕戦にいきなりスタメン出場。2年次から定位置をつかむと、4年間でベストナインを4度受賞。ラストシーズンには自身初、明大勢として27季ぶりの首位打者を獲得した。「立派なもん。いい伸び方をした」(善波達也監督)と指揮官も太鼓判を押すほどの成長曲線を描いた。
OBに続け
偉大な先輩の背中を追う。今秋より楽天2軍打撃コーチに後藤武敏氏が就任。元智氏の教え子で、佳明が1歳の頃に全国制覇を成し遂げた〝松坂世代〟の一人だ。「小さな時にかわいがってもらったので、不思議な感覚です(笑)。打撃面でいろいろと教わりたい」。教えを吸収し、一日も早い1軍昇格を目指す。
また、現在スタメンで活躍する島内宏明選手(平24法卒・現東北楽天ゴールデンイーグルス)も同じく6位指名で入団。下克上を果たした先輩に続くべく「二遊間のポジションを取りにいきたい」と早くも闘志を燃やす。
東北の力に
いずれは自らも道しるべとなる。所属する政治経済学部の木寺元ゼミナールでは〝町おこし〟を研究。『地元球団がどのように町を活性化させるか』をテーマに卒論に取り組んでいる。楽天も青少年の育成を目的とした『東北ろっけん活動』など地域活性化に向け多くの活動を実施。理想は「小さな子に憧れや夢を持ってもらえる選手」。幼い頃の自分が抱いた大志を、今度は自身のプレーで子供たちに。大学での学びを生かし、東北の町を自らの手で元気にしてみせる。
【丸山拓郎】
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