救った3戦0封 星

2016.11.30

 神宮の一番星になった。桜美林大との決勝戦、先発の柳に代わり、星は0―2の5回から登板。内野安打2本に抑える好投で日本一を決めた。神宮大会は3戦全試合に救援登板し9回3分の1を無失点。まさに大車輪の活躍だった。

最後は直球
 9回表2死、優勝まであと一つ。最後に選んだのは、最も自信を持つ直球だった。「最後は絶対真っすぐで三振を取る」。どれだけ粘られても、ボールになろうとも、決めていた。渾身(こんしん)の5球目。149㌔の直球が工藤(桜美林大)のバットが空を切ると、星を中心に歓喜の輪ができた。「うれしい気持ちもあったけどそれとはまた違ったような感情で、何も考えられなかった」。次々に仲間がなだれ込んでくる歓喜の中心で、星は涙をこらえながら右拳を突き上げていた。
 5度目の全国大会で、やっとたどり着いた日本の頂点。チームを、そしてライバルを救う投球だった。「柳を絶対に日本一にさせてあげたいと思って投げた」。懸命に腕を振る主将の姿に、燃えないはずがなかった。5回から登板し、その裏に打線が4点を奪って逆転すると、8回には「人生初」という自らの本塁打でリードを広げた。直球、ツーシームを軸に5回を2安打無失点、この日最速152㌔を計測した直球を武器に二塁すら踏ませず。文字通り桜美林大打線をねじ伏せた。

努力で結果
 「上級生になってからチームに対する責任感も出てきて、それとともにボールの質が上がってきた」(善波達也監督)。秋季リーグではキャリアハイの成績を残し、神宮大会ではMVP級の活躍。努力で結果をつかみ取ってみせた。「柳がいなかったら、自分はここまで成長できなかったんじゃないかと思う」。日本一を決めた直後、柳と抱き合い、感謝の気持ちを伝え合った。1年次から切磋琢磨(せっさたくま)してきたライバルだからこそ、二人で投げて決めた日本一は格別だった。

【原大輔】