2球団競合1位 柳 憲伸2世だ

2016.10.21

 六大学ナンバーワン投手が念願のプロ入りだ! 20日に行われたプロ野球ドラフト会議で、柳裕也主将(政経4=横浜)が中日ドラゴンズから1位指名を受けた。横浜DeNAベイスターズとの競合の末、中日が交渉権を獲得。明大投手のドラフト1位指名は3年連続9人目の快挙だ。星野仙一氏(昭44政経卒)、高橋三千丈氏(昭54商卒)、川上憲伸氏(平10商卒)に続き、明治の投手主将が中日に入団する。

運命の球団へ

 午後5時、関係者が野球部寮の食堂に集まり、ドラフトの行方をテレビ中継で見守る。まずは中日が1位指名。続くDeNAの1位指名に会場がどよめいた。2球団競合。結果はすぐ出た。中日の森繁和監督が当たりくじを引き当てたのを見届けると、善波達也監督と笑顔で2度握手を交わした。「中日を明るくしてほしい。期待している」。森監督のコメントをテレビ越しに聞きながら、何度もうなずいた。「やっとスタートラインに立てた」。ホッとしたように笑ってみせた。


エースの系譜

 強竜再建を託された。19年ぶりの最下位に終わった中日。森監督は「一番使える選手を取った。チームを立て直してくれる」と即戦力としての働きに期待する。昨季は投手三冠と、総合力の高さは折り紙付き。中日ではOB川上氏以来19年ぶりの新人王を目指す。

 偉大なエースの系譜をたどる。投手主将を務める右の本格派、決め球のカーブ、カットボール、気迫を前面に押し出す投球スタイルはまさに〝憲伸2世〟だ。さかのぼると星野氏、高橋氏…。ドラフト1位で中日に入団した明治の投手主将は、皆チームを優勝に導いてきた。「星野さんや、川上さんのような先輩方に続いていきたい」。竜行きはある種必然。縁のあるチームで大黒柱になる覚悟だ。


お前もドラ1

 明治での4年間。先輩の背中に育てられてきた。プロ野球の世界に進む姿を間近で見るたび「俺も絶対行きたい」と強く感じていた。

 忘れられない言葉がある。2年前のドラフトだった。当時2年。先輩の山﨑福也選手(平27政経卒)がオリックス・バファローズから1位指名を受けた日。山﨑選手の部屋に行き「すごいっすね」と祝福した。すると返ってきたのは予想外の言葉。「何言ってるんだ。2年後お前もドラ1で行くんだよ」。その目は今までになく真剣だった。かつて同部屋で、私生活から野球まで多くのことを教わった先輩からの本気の一言は今でも心に残る。「素直にうれしかった」。「ドラ1でプロ」。目標への道筋がよりはっきり見えた瞬間だった。

 明大投手のドラフト1位は3年連続9人目。「毎年すごい投手がいる環境でやれたのが一番の財産」。今季最多勝に輝いた野村祐輔選手(平24商卒=現広島東洋カープ)、関谷亮太選手(平26政経卒=現千葉ロッテマリーンズ)、山﨑選手らと共に、プロの世界でも紫紺の力を見せつける。

【萬屋直】