最速154㌔ 星

2016.04.01

 快速右腕がさらなる進化を遂げる。星知弥投手(政経4=宇都宮工)は最速154㌔の直球が魅力の投手だ。昨年は救援として欠かせない存在に定着。成長の跡を残した。背番号「11」を背負う今季は先発転向も視野に挑む。

進化した直球
 理想は「分かっていても打てないストレート」だ。星の代名詞といえば直球。1年次秋の東大2回戦で154㌔を計測するなど、剛速球を武器に下級生時代から登板機会を重ねた。しかし150㌔を計測するスピードガンの表示とは裏腹に直球を痛打されることも多かった。「スピードだけじゃ通用しない」。3年次からは直球の伸び、切れといった質を磨き上げる道を選んだ。すると3年春には救援陣の軸として防御率2・08を記録し、秋には投球回数の1・5倍近い三振を奪った。「一番自信があるのは真っすぐ」。球速を抑えてでも質を求めることにより空振りの取れる速球に進化。スピードガンには出ないすごみが加わった。

勝利への責任
 「真っすぐを生かすための変化球」。今オフはその強化にいそしんだ。さまざまな握りや投げ方を試すなど試行錯誤。投球練習では約半分の球数をスライダーに割いた。この取り組みが実を結び、昨季投球の大半を占めていた直球、ツーシームの2球種に頼る投球から脱却。投球の幅が格段に広がった。オープン戦序盤こそ手探りの状態が続き苦しんだが、先月24日の国学院大とのオープン戦では9回2失点完投勝利。「投げ込んだ成果が今出ている」。開幕を前に結果も出始めてきた。
 この1年に全てを懸ける。昨季までは救援の役割を担っていた星。しかし今季は「4年生がやらなきゃチームは勝てない。そのためには自分が先発すること」と先発への意欲を口にした。勝利へ導かなければいけないという責任は十分にある。「チームを勝たせる投球をしたい」。強い思いを右腕に乗せ、白星を手繰り寄せる。
【原大輔】