髙山 長距離砲へ

2015.10.23

 神宮を沸かせた世代ナンバーワンヒットメーカーが、猛虎軍団の仲間入りだ! 今季、48年ぶりに高田繁氏(昭43農卒)の持つ東京六大学最多安打記録を更新した髙山俊(文4=日大三)。高校時代に圧倒的な存在感を放った聖地・甲子園の舞台をホームグラウンドに変え、ファンの歓声を受ける。

ハプニング

 予想外の展開に、会場がどよめいた。阪神タイガースと東京ヤクルトスワローズの2球団が髙山を1位で指名。会場が緊張感に包まれる中くじを開くと、ヤクルトの真中満監督がガッツポーズ。交渉権はヤクルトに確定かと思えたが、これがまさかの確認ミス。阪神の金本知憲監督が引いた方が交渉権獲得の当たりくじだった。訂正のアナウンスに、それまで表情を変えなかった髙山も思わず苦笑。「ハプニングはあったが、1位で指名していただけてうれしい」。善波達也監督と握手を交わし、喜びを分かち合った。不安を口にしていた。昨冬、ドラフトへの思いをこう語った。「ドラフト候補として自分の名前が挙がるのが不思議。正直、今のままじゃという気持ち。プロの世界でやっていける自信がない」。東京六大学現役最多安打を独走し、神宮の怪物の名をほしいままにしていても確かな自信はなかった。それでも、積み上げてきた経験は揺るぎない。髙山の持ち味はリーグ通算131安打を積み重ねた巧みなバットコントロール。体に近いポイントでストライクを積極的に振りにいく。調子の良し悪しに関係なく、安打を量産できる打者だ。


目指す先へ

 追い求める理想は、野球を始めた小学生のころから変わらない。「つぼに来ればホームランを打てて、少し外されてもヒットにできる。それでいて塁に出た後も嫌がられるようなバッターが理想」。中でも金本監督は「長打力のある、ホームランを打てるバッターになってほしい」と、長打力に期待を寄せた。「阪神タイガースの一員として一日でも早く認めてもらえる選手に、そして日本球界を代表するような選手になりたい」。神宮の最多安打製造機が、かつての聖地・甲子園で活躍する日は近い。