精巧な投球術 柳裕也

2015.04.01

 飛躍の時は来た。昨季、開幕投手を務めた柳裕也(政経3=横浜)は抜群の制球力と140キロ近い緩急を武器に持つ本格派右腕。今季は二枚看板の一角としての活躍に期待だ。

工夫の結晶
 「決め球が欲しい」と謙遜するが、持っているボールは一級品だ。キレのある直球は「指先で最後まで転がす」ことで低めに突き刺さるかのように決まる。多彩な変化球を操るが、中でも直球と同じ腕の振りから繰り出される縦のカーブは強力だ。これらの球種を高い精度でコーナーに投げ分け、相手打線を手玉に取る。「打者の細かな動きを観察して、配球を決める」と、頭脳的な投球術も光る。勝負は投球間も続く。「追い込んだ後は、ロジンを触って時間をつくり、打者に考えさせている」。それだけでなく、セットポジションの時間やモーション、直球の速さも場面に応じて変える。打者一人を打ち取るために、誰よりも工夫を凝らしてきた。

進化を求め
 昨季は自己最多の3勝、リーグトップの三振を奪い、充実のシーズンを過ごした。それでも「昨年の成績では満足できない」。柳はさらなる進化を求めた。冬に投球フォームの改造に着手。以前のものは余計な力が入り、終盤になるにつれ球威が落ちる傾向があった。「早いイニングで代えられるのは悔しかった」。課題克服のため力感のない、しなやかな投球フォームを追求した。「今年は自分が頼られる存在にならないといけない」。芽生えた中心選手としての自覚がさらなる飛躍への原動力になる。