守備だけじゃない!打つぞ3割 上本

上本崇司内野手が今季こそ3割超えを狙う。超大学級の守備を買われ、1年春からほぼ全ての試合でスタメン。だがこれまで通算打率は1割9分と打撃は奮わなかった。副将にも就任し責任も芽生えた今春「絶対3割打つ」と堂々誓った。
とにかく打撃
鉄壁の守備力を誇る男から出た言葉は意外なものだった。「野球はとにかく打撃。打たなきゃ始まらない」。失点をいくら少なくしても、得点を取らないと勝てない。そのことを自身の経験から学んだ。もともと高校までは打撃も得意。3年次は、夏の広島県大会で5割6分5厘をマークし「打てる気しかしなかった」と打ちまくった。だが、明大入学後3年間で打率は1割台と、猛威を奮った打棒は沈黙。目標の3割に乗せるには程遠い結果だった。不振から脱するには、とにかく練習するしかなかった。
「1番」の使命
新チームが編成されてから、打順は主に1番。このことが上本を「今まで以上に練習しないと」と突き動かした。冬は例年の倍以上走り込み、納得がいくまで延々とバットを振った。「1番を打つなら出塁しないと」。四死球が多く、昨秋も4割超えの出塁率を残している。ただ今季は先頭打者として、自らのバットでも塁に出るつもりだ。
結果は徐々についてきて、オープン戦ではコンスタントに安打を重ねた。「バットの始動を早くして、いろいろ試した」。失いかけた打撃の勘を、着実に取り戻しつつある。
上本再起の時
今年は副将に就任。さらに本業の遊撃手に戻ってプレーすることが決まり「しっかりしなきゃ」と気が一段と引き締まった。副将で、1番ショート。文句なしの成績を残した高校3年次と再び同じ立場となり「またあれくらい打てるといいけど」と笑った。それでも「3割打つ」と気持ちは一つ。最後までこだわり続けた数字に、思いを込めた。
◆上本崇司(うえもと・たかし)1990年8月22日広島県生まれ。中学時代は軟式の松永ヤンキースに所属し大田泰示選手(読売)と同期だった。広陵高では07年夏の甲子園準V。08年夏は先頭打者本塁打を放ち、実兄・上本博紀選手(阪神)と史上初の兄弟先頭打者弾を達成した。
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