オリックスから5位指名 高島泰都 歩んできた道の名は④/ドラフト指名特別企画

準硬式野球 2023.11.19

 10月26日、ドラフト会議にてオリックス・バファローズから5巡目指名を受けた高島泰都投手(令4法卒=王子)。元甲子園球児は大学で準硬式の道へ。苦戦した入学当初からエースにまでのし上がった訳は。そして社会人野球で再び硬式に戻り、ドラフト指名を受けた高島。異色の球歴をもつ右腕は何を経験し、プロの世界で何を見据えるのか。今回はプロ入りと今後の道のりをお届けする。

11月9日発行の明大スポーツ第532号の2面に掲載した記事と併せてご覧ください。

 

18時43分の歓喜

 10月26日の午後5時過ぎ、プロ野球ドラフト会議が始まった。プロ志望届を提出した高校生と大学生、計311人の候補選手たちと、社会人選手並ならびに独立リーグに所属する選手たちの運命が決まる。なお、社会人選手はプロ志望届を提出する必要はない。高島はこの日をどう過ごしていたのか。「特別な一日ではなかった、普通に過ごしていた」。ドラフト候補の選手とはいえ、一社会人。平日ということもあり、午前中は王子製紙で勤務を、午後からはチーム練習と、普段と変わらない一日だった。「練習中にドラフトが始まって、見ながらウエートトレーニングとかやっていた。帰ってシャワーを急いで浴びて、見ながらご飯を食べようと思ったところに指名された」。高島はその瞬間を思いがけないタイミングで迎えた。18時43分、オリックス・バファローズから5位で指名を受けた。

 

 「すごいびっくりしたっていうのが一番強かった」。高島は急いで報道陣からの取材に答えると、先輩や同級生、後輩、監督などさまざまな方からの祝福をもらった。翌月曜日に行ったこの取材でも「徐々に実感は出てきたかな、と思うがまだちょっと信じられないというか、本当に指名されたのかなって思いで金曜日は過ごしていた」と本音を打ち明けた。高校次は想像すらしていなかった出来事。大学時代で徐々に意識し始め、そして「2年でプロ」を目標に飛び込んだ王子。宣言通り、入部2年目で達成された待望の瞬間だった。

 

「先発・高島」の実現性

 高島を指名したのはオリックス・バファローズ。現在パ・リーグを3連覇し、今年度の日本シリーズにも出場するなど、圧倒的強さを誇る球団。「投手力がすごい強いチームで、即戦力という形で指名されたと思う。そこに食い込んでいけるかというところ。でもいい球団に指名していただけた」とオリックスに対する印象を語った。オリックスの防御率はリーグ1位。先発陣には山本、宮城、山下、山﨑福、東、田嶋ら層が厚い。一見すると付け入る隙がないように思われるが、山本は今オフにメジャーリーグに移籍する可能性が高く、山﨑福もFA(フリーエージェント)宣言をして、去就が未定。今季の先発ローテーションを支えた2人が移籍するとなると、リーグ4連覇も安泰とは言い難い。


 高島は先発にこだわりがある。大学時代、社会人時代とほぼずっと先発として投げ続けてきた自負があり「先発ローテーションを目指してやっていきたい。先の話になると思うんですけど、いずれはタイトルとかも狙えるようなポジションにいければ」。将来的な目標として語った高島だが、いきなり1年目から1軍の先発に抜擢される可能性は十分だ。

 

1年目の理想像

 即戦力として期待されて指名を受けた以上、1年目から活躍は必須条件となる。その中で目下のライバルとなるのは同じくドラフトで6位指名された古田島成龍投手(日本通運)と7位指名された権田琉成投手(TDK)。古田島投手に関しては「去年の(JABA)九州大会で(古田島投手が)先発してきて、王子のバッター陣も『結構いいよ』と言っていた」と話し、権田投手については「今年の(JABA東京)スポニチで対戦して、向こうも抑えてきた」。社会人では名の知れた2人のピッチングを目の前で見てきた高島だからこそ出せる自身の長所とは。「2人とも球が速いパワーピッチャーだと思うので、球速で勝負するよりは、試合を作るというところ」。高島は制球が良いため、四死球を出して試合が崩れてしまうことは考えにくい。2人に合わせて無理に球速を上げることはせず、自身の投球スタイルをそのままに、さらなる高みを追い求めていく。

 

 具体的に1年目はどのような成績を残したいかについては「チームに貢献できるのが一番だと思う。先発だったら貯金を作れるように、中継ぎだったら1試合1イニングでも多く投げた方がチームのためになると思う。試合でしっかり、絶対活躍してチームに貢献できれば」と答えた。今は起用法を問わず「キャンプ含めてしっかり投げられるようにして、そのままオープン戦とかで徐々に結果を出して、開幕1軍が理想の流れ」。

 

歩んできた道の名は

 高島は準硬式野球出身選手として、準硬式野球を盛り上げたい気持ちがある。「自分が現役で150キロ出しても注目度がない分、取り上げられる機会が少なかったなと思っていて。そこは悲しかったし、僕が(話題を)もたらすことで準硬式が注目されて、そこにいるピッチャーとかバッターとかがどんどん注目されて公の場に出ることになれば僕もうれしいし、そうなっていけば」。プロでの活躍で、準硬式へスポットライトを当てる〝準硬の星〟となる。

 

 ここまで、4回にわたって高島が歩んできた道のりをお届けしてきた。これまでにプロ入りした選手たちの球歴を見たとき、大学時代を準硬式でプレーし、社会人で再び硬式に戻ったという球歴は「正規ルートっていうか、王道のルートではない」。だがそれでもいい。むしろ、その方がいい。「そこで注目されるのは全然いいことかなと思う。準硬式出身の選手が頑張っているとなると、応援してくださる方も増えていく。準硬式を今やっている人たちにも勇気を与えられると思う。僕が注目される分、準硬式も注目度が上がる」。挫折ともいえる高校時代から、準硬式に出会い、そこで得た技術と経験を社会人で生かし、プロ選手となる。この過程のどれか一つでも欠けると今の高島にはならない。これまで歩んできた道の名は、『高島なりの王道』である。

 

 最後に改めて高島の持ち味を聞いた。「真っすぐとカットボールとチェンジアップを軸に投球していくスタイル。三振を多く取るというよりは、打たせて取るピッチングで、(相手を)塁に出しても粘りの投球ができるところ」。この強みをこれからも変わらずに発揮できれば、先の道は明るい。プロという新世界へと進む高島が、オリックス・バファローズの新参者として、これから歩む道の名も変わらないだろう。

 

[北原慶也]

 

高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西高。オリックスファンに向けて一言。「ファンの皆さんがとても温かい球団だと思うので、オリックスファンの方々の期待に応えられるように頑張っていきたい」。181センチ・80キロ


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