『アフターコロナ 会話攻略法』 岡本純子氏のインタビュー(前編)

明大スポーツ新聞 2023.01.21

 1月21日発行の明大スポーツ1月号2面では『アフターコロナ 会話攻略法』と題して、アフターコロナに生きるコミュニケーション術を特集し、コミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんにお話を伺った。

 本記事では、インタビュー前編の様子をお届けします。

 

――新型コロナウイルスとコミュ力の低下は関係していると思いますか。

 「はい、そこは如実に関係していると思います。コミュ力にはいろいろな定義がありますが、基本的に元々の素質は関係なく、経験や慣れなど環境による部分がとても大きいです。そのため、コロナ禍によって人に会えない時間が増えてしまったということは、コミュ力に非常にネガティブな影響を与えているのではないかと感じています」

 

――日本人はどういったコミュニケーションを取る傾向があるのですか。

 「元々(日本人は)以心伝心やあうんの呼吸など、あまり言葉にしなくても分かり合えるコミュニケーションを取ってきました。そのため、欧米と比べると言語化して分かりやすく伝える技術はあまりありません。一方、アメリカでは(コミュニケーションが)学問として研究され、その技術やスキルを教えられるようになっています。私は元々人前や知らない人と話すことが苦手でした。自分を変えたいと思い、コミュニケーションの修行をしにアメリカに行き驚いたのは、コミュニケーションとは学ぶものであるということです。(アメリカでは)幼稚園の時からどうやって話すのかを先生が教えてくれます。さらに、ニューヨークの街角にはコミュニケーションを学ぶワークショップやスクールが星の数ほどあります。社会人になってもビジネススキルとしてコミュニケーションを学び、コミュ力を鍛える場に行っていたんですね。一方で、日本では話す教育を一切受けません。読み書きは学校でやったとしても(話し方の)ルールもないままに自己流でやってしまっています。結果的に、日本人はコミュニケーションが苦手だという人がとても多いですよね。教育でもあるし環境でもあるのですが、非常にもったいないなと感じています」

 

――日本には察する文化があるなと思うのですが、海外ではそういった文化はあるのでしょうか。

 「空気感を共有して、取り敢えずみたいなことはありません。(海外では)きちんと言わないと損するようになっています。アメリカでは、積極的に自己アピールをしなければ仕事も見つからず、キャリアにも差し支えてしまうので、恥ずかしがり屋というのは致命的だとされています。そういった意味で、学ぶ場や研究する場がたくさんあるんですね。全てのコミュニケーションには方程式があり、脳科学や心理学的に考えて研究されているのですが、日本ではそういったことを知らずに何となく自己流でやってしまっていますよね。そういったところが本当にもったいないなと感じました」

 

――コロナになって変わった部分はマスクをすることですが、コミュニケーションをする上で不便だと思われますか。

 「まあ不便ですよね。しかし、日本語は母音中心なので、そこまで聞き取りにくくありません。また、日本人は目で表情を読み取ると言われているので、マスクをしていてもそこまで支障はなく、(マスクは)自分を守る象徴とされています。ただ、マスクは本当に功罪があり、予防力が高いとは思いますが、結局は表情が読み取れない部分が出てきてしまいます。最近、マスクを外せない人が増えていますが、マスクを外してコミュニケーションできないということは、それ以上距離を縮められないということです。ご飯を食べに行けないし、ましてや付き合うこともできないという話になってくるので、日常会話はマスクをしててでもいいですが、それ以上に距離を近づけたいときにマスクは障害になるだろうなという気はしますよね」

 

――コミュニケーションに苦手意識がある人が多いからコミュ障という言葉が流行っているのだと思うのですが、コミュ障という言葉についてはいかがですか。

 「コミュ障化に拍車が掛かっているなとつくづく思います。コミュニケーションは記憶です。長屋で暮らしていたり、祖父や祖母が近くで暮らしていたりする人たちはコミュニケーションの記憶がすごく積まれているんですよね。そういった環境で育つとコミュニケーションの師匠みたいな人がどこかにいます。しかし、今は核家族化していて、コミュニケーションのスキルを教わる機会や体験する機会がますますなくなってきていますよね。コミュニケーションがうまくいかない、その裏で孤独が進んでいるといった問題になってきている気がしますね」

 

――大学生活の中でゲームなどのツールを通して周りとつながっている人を見かけるのですが、これについてはいかがですか。

 「物を通してコミュニケーションをするというのは楽なんです。例えば、女性はコミュニケーションが目的化します。『お茶一杯で喋ろうよ』となり、何も目的がなくてもコミュニケーションが目的なので喋れるんですよ。一方、男性の場合は特にコミュニケーションが目的ではなく、何かを達成するための手段である場合が多いんですね。そのため、ゲームや仕事という目的がないとコミュニケーションが難しいという人がとても多いです。女性もそうかもしれませんが、目的ができれば共通言語ができるので、コミュニケーションは取りやすいと思います」

 

――〝飲みにケーション〟や〝たばケーション〟という造語がありますが、やはりそういった場は大切になってくるのでしょうか。

 「飲むことでバリアみたいなものが少し取れて、話しやすくなる効果があるとよく言われていますね。ただ今の時代、飲み会でなくても共通のものを見つけることで距離が縮まります。趣味でもいいし、推し活、時間、共通の目的でもいいと思います。友達は共達ですよね。そういったつながる技術は共に何かをすることで徐々にできていくのではないかなと思います」

 

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