『アフターコロナ 会話攻略法』 岡本純子氏のインタビュー(後編)

明大スポーツ新聞 2023.01.21

 1月21日発行の明大スポーツ1月号2面では『アフターコロナ 会話攻略法』と題して、アフターコロナに生きるコミュニケーション術を特集し、コミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんにお話を伺った。

 本記事では、インタビュー後編をお届けします。

 

――コロナ禍で人と距離を縮められる機会が少なく、そういった中でも距離を縮めようと思ったときにはどのようにしたら良いのでしょうか。

 「それは本当に難しいです。コミュニケーションは言葉だけではなく、〝ソーシャルキュー〟といって見た感じや声など全てがメッセージを発信しているものなんですよね。例えば、リモートだと(距離を)縮めていい人かの判断がしにくく、心理的距離がなかなか縮まらないですよね。リモートは補完的にあってもいいと思います。しかし、まず会って空気感や時間を共有する。そういった経験を積み重ねていくことによってコミュ力はどんどん付いてきます。特に中学、高校、大学生の期間にコミュニケーションの場や経験を重ねることは一番の財産になります。将来のコミュ力はいいコミュニケーションの記憶をどれくらい積み重ねられるのかにかかっているのです」

 

――人と会話するときに沈黙が怖いのですが、話しを続けるコツはありますか。

 「私自身知らない人との会話があまり得意ではなく、それこそ美容師さんと話すのも苦手だったんですね。そこで、アメリカの大学研究機関、恥ずかしがり屋研究所に行き、どうしたら良いかと相談したら、教授に『君はいつも自分の姿を目の前にある鏡に映しているんだよね』と言われました。要するに自分がどう見えているのかしか気にしていないでしょということです。(そうではなく)相手に好奇心を持って質問するだけで楽になりますよと教わりました。それをやるようにしたら、本当に楽になったんです。つまり、自分が何を言うかは一切重要ではありません。それは前提として、人がみんな話したいと思っているからです。『自分の話を聞いてください』と一生懸命話すのは迷惑ですが、相手の話を一生懸命聞いて質問するというのは正義です。自分に興味を持ってもらえるとうれしいし、話しやすいじゃないですか。ダメなら別の人に話し掛ければいいだけだということに気付いてから、私はいろいろな人と話すようにしています。そうすると、本当にみんなうれしそうに話すんですよ。基本は自分が話すというより聞いてあげる。空白があれば、それでどうしたんですかと質問すればいいだけです」

 

――コミュニケーションが苦手だと感じている人はやはりそういった部分ができていないのでしょうか。

 「そうです。『何を話したら良いんだろう』『話すことないけどどうしよう』などいろいろと考えてしまいますよね。しかし、まず聞いてあげる、そして質問することの両方をやればあまり困ることはありません。話すよりも話さない方が実は本当の話す名人だと思っています」

 

――今後社会に出た時にコミュニケーションは付き物だと思いますが、大学生に何かアドバイスがあれば教えていただきたいです。

 「コミュニケーションの機会が少なかったことで、コミュ力に自信がない人がとても多い気がします。自分で第一歩を踏み出して相手に近寄ってみるということをしているうちに、だんだん慣れてきてコミュ力と自信が付いてくるんですね。そのため、自信がないのであればコミュニケーションから変えていくことをオススメしています」

 

――コロナ禍で友だちが作れなかった、または少ないという人もいると思いますが、1年が終わりかけている今からでもできることは何かありますか。

 「友達が多ければ多いほど良いということでもありません。それほど数を追い求めることはないというのがまず一つです。また、つながりはこれからの財産になっていくので、つながっていく力は付けておいた方が良いだろうと思います。それほど深い友達でなくてもいいと思うんですよ。あまり排他的にならず、何となくお喋りができるような人がいろいろなところにいれば、それはそれで十分幸福感が上がると言われています。そこでもう一つ、あなたが話しかけることで喜ぶ人がたくさんいるということを覚えていてほしいと思います。例えばパーティーで、自分は話しかける勇気はないけど話しかけてくれないかなと思っている人は多いんですよ。(そのような時は)まず二つ質問をしてみてください。これは雑談のコツで〝ファースト質問〟と〝追い質問〟と言います。まず、一つの質問をして返ってきた答えに関する質問をする。その二つの質問をするだけで随分話すことや共通点が見つかり話は進んでいきます」

 

――大学にはさまざまな人がいますが、コミュニケーションの練習をし経験を積むにはもってこいの場所であると感じますか。

 「そうですね。挫折の経験も含めていずれ役に立ってきます。また、アメリカでいろいろな教室に通い、さまざまなところに顔を出してみて、日本人は恥の数が足りないと思いました。知らない人やみんなの前で話すことは恥ずかしいんですよ。しかし、恥ずかしさも100回ほどになってくるともう麻痺してきますよね。そこまでやれば段々慣れるので、その慣れる場数をやってご覧という感じです。アメリカの大学生が日本人より極端に話す素質があるかというと絶対にそうではありません。素質ではなくそういった機会がたくさんあるからなんですよ。自分の子どもをインターナショナルスクールに入れていたのですが、日本人同士でもやたらと(対話に)自信を持つようになるんですよね。それは場数のおかげなので、環境が人を作るんだなということをつくづく思います」

 

――コミュ力の向上に対してゴールが見えない難しさみたいなものを感じている人もいると思いますか。

 「そこは難しいですよね。コミュニケーションにはきちんとしたやり方があります。(コミュニケーションの)先生みたいな人が日本には少ないですが、そういうのがあると非常にやりやすくなりますよね。そういったことを教えてくれる場がもっとあればいいなと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[正野真由夏]

 

 


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