
9年ぶりの国立競技場開催 伝統の一戦で宿敵下す/関東大学対抗戦
関東大学対抗戦(以下、対抗戦)最終戦・早大戦が9年ぶりに国立競技場で行われた。試合序盤は明大が流れを引き寄せ、一気に3トライを奪う展開に。しかしその後、早大が粘りを見せ1トライ差で試合を折り返す。後半では苦しむ時間も多かったものの、明大の意地を見せて見事勝利。宿敵・早大を下し、伝統の一戦を制した。
◆12・4 関東大学対抗戦Aグループ(国立競技場)
▼対早大戦
○明大35{21―14、14―7}21早大
9年ぶりに国立競技場で行われた伝統の一戦。会場には約3万5千人の観客が訪れ、試合に熱狂した。最初にゲームを動かしたのは明大。試合開始直後、ラック横からスクラムハーフ萩原周(商3=大阪桐蔭)が抜け出し、フッカー松下潤一郎(法3=筑紫)がさらに押し込む。最後はスタンドオフ伊藤耕太郎(商3=国学院栃木)のパスに反応した右センター齊藤誉哉(文4=桐生一)がそのままインゴールに入りグラウンディング。「(伊藤)耕太郎がいい仕掛けをしてくれた」(齊藤)。まずは副将が試合を盛り上げる。続いて前半7分、自陣22メートルラインで左ウイング石田吉平主将(文4=常翔学園)がジャッカルで反則を誘い敵陣に侵入する。明大ボールのラインアウトを起点にフェーズを重ねると最後は左センター廣瀬雄也(商3=東福岡)のパスを受けた取った石田がトライを演出した。「全員が前に出てくれて(得点を)取れた」(石田)。試合開始10分で一気に2トライを決め、試合の流れをつかむ。その後、25分にも伊藤耕が相手を引き付けスペースをつくると、フルバック安田昂平(商2=御所実)がボールを受け取り得点を重ねた。勢いに乗る明大だが、その後に早大が前半終了間際でトライを演出するなど粘りを見せ、21―14で試合を折り返す。
1トライ差で始まった後半。大事な最初の得点を決めたのは明大だった。後半開始3分、ハーフウエーライン付近で齊藤がインターセプトを決めると、そのまま一気にゴールラインへ走り込む。「ボールが浮いていたところにしっかりと入れて良かった」(齊藤)。しかし、簡単にはいかないのが明早戦。その後はミスが続き膠着(こうちゃく)状態が続く。そして早大に追加点を許し、28―21で迎えた32分。敵陣ゴール前での明大ボールラインアウトでチャンスをつくる。左に展開していき徐々に前へと進むと、最後は勢いよく走り込んだ池戸将太郎(政経3=東海大相模)がトライ。「あまりトライをするプレースタイルではないが、あの時は自分で行こうと思って行った」(池戸)。この得点が勝利を決定づける。その後、14人でのプレーとなる場面があったが「気合でやるしかない」(池戸)。必死のディフェンスで早大の勢いを食い止め、最後はターンオーバーしボールを蹴り出してノーサイド。終盤での苦しい戦いを制し、見事伝統の一戦で勝利をつかみ取った。
「自分たちの代の早明戦は特別なもので、勝ったことは誇らしい」(大賀宗志・営4=報徳学園)。今試合の結果により対抗戦2位となった明大。次戦には12月25日に行われる全国大学選手権準々決勝が控えており、東洋大と早大の勝者と対戦する。「次から負けられない戦いになるので一戦必勝で頑張りたい」(左プロップ中村公星・情コミ4=国学院栃木)。日本一まであと3戦。本番はまだまだこれからだ。
[安室帆海]
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