【瓦版】鳩スタ1周年! 神川明彦氏オーナーインタビュー拡大版(前編)
2021年に鎌倉市にとって初めての人工芝グラウンドである「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)を完成させた鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)。神奈川県社会人リーグ2部に所属する一方で、地域密着型クラブとして地域住民との交流を画したイベントを積極的に行っている。
今回は明大サッカー部元監督であり、現在はクラブのアドバイザーも務める神川明彦氏に取材を行った。後編はこちらから
――今日のイベントはみなさん笑顔が溢れている印象です。いかがですか。
「もう最高ですね。私は鎌倉の小町で生まれまして、それから明大に在学していた4年間を除いてはずっと鎌倉に住んでいますが、もともと鎌倉にはこんな素晴らしいグラウンドはなくて、私たちはずっと土のグラウンドで練習していました。四方オーナーをはじめとした若い力がこのように実現してくれてうれしいです。1年間このピッチが動いていく中で、これだけ多くの人に認知されて愛されて、今日このような素晴らしい空間に居合わせてもらっているなと思います」
――神川さんはどのような形でこのクラブに関わっているのですか。
「2018年4月からクラブアドバイザーという役割をいただいて関わっています。翌年の9月から今のジュニアスクールの前身となるジュニアスーパーサッカークリニックのメインコーチを武田航平くんと務め始めたことが、より深くこのクラブと関わるきっかけになったかなと思います」
――鎌倉にクラブができると聞いた時の心境を教えてください。
「もう最初は信じられなくて、鎌倉のサッカー環境を知らない人がイメージ先行で言っている怪しいクラブなのではないかと思って警戒心を持っていたのは事実です。ただ四方さん方と話をしていく中で、力を持った人たちが集まったなと思い、あとは僕がこのクラブに貢献できる部分はなんだろうと考えながら、僕なりに少しでもお力添えできることがあればいいなと思ってやっています」
――鎌倉という地にサッカークラブができる意義はどのように考えていますか。
「新しいものを拒んだり新たな挑戦を望まなかったり、変化を好まない気質が鎌倉にはあると思います。外から人が入ってきて古くからある鎌倉の土地で新たな価値観を植え付けてくれている、これは鎌倉としてはすごくありがたいことですし、若者を育てていく文化、土壌が鎌倉にはあると思うので、新しい価値創造につながるのが鎌倉インテルの存在かなと思います」
――公的資金援助が得られない中、クラウドファンディングなどで作った鳩スタについてはいかがですか。
「僕はこれが思い描いていたフットボールクラブの理想というか、大きい会社がクラブを買い取ってということではなく、0から1を生み出す作業をみんなでやっていこうというのを実践しているところがこのクラブの最大の魅力で、僕がこのクラブを愛している一番の理由です。既存のクラブにない価値観、大企業に頼らない運営、行政にも頼らず自分たちの力を信じて新たな価値観を植え付けようとする、若い人たちだからこそできたクラブ、スタジアムだと思います。僕は日本のフットボールクラブシーンを変える力を持っていると思います」
――一からスタジアムを作るのは難しさも楽しさもあったと思います。
「難しさもありましたが、楽しさの方が勝っていたと思います。みんなが同じ立場で、老若男女関係なく、みんなが自分らしさを表現できる場所で、お互いを補い合い、認め合いながら一歩一歩進むことができます。僕も草刈りをはじめとしたほとんどの泥臭いことに顔を出しましたが、そういったところから関われたことが誇りです。死ぬまでこのクラブと共に行こうと思えるのが本当に幸せでしかないですね。明治大学体育会サッカー部ももちろん好きですし、明治大学のことも好きだけど、少し感覚が違う、これは鎌倉に生まれ育ったからこそ、さらに僕はずっとサッカーをやってきて今もプロコーチという形で生きている者として、こんなに幸せなことがあっていいのかなと思います」
【井澤怜音】
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