優勝を懸けた大一番 山田陸の同点打で価値ある引き分け/東京六大学春季リーグ戦

硬式野球
2022.05.09

 血の明法戦。その名にふさわしい熱戦であった。2点を追う9回表、1点を返しなおも走者を二塁に置いた場面。試合の命運は、前日の1回戦で3三振と不振にあえぐ山田陸人内野手(法4=桐光学園)のバットに託された。日が傾き球場全体が薄闇に包まれる中、今季抑え投手としての地位を確立した相手投手・武冨(法大)から値千金の適時打を放ち、同点に持ち込んだ。


 

(明)村田、髙山蓑尾

尾﨑、塙、武冨、篠木村上

【安】(明)7(法)8

【三】(法)尾﨑(4回)

【二】(明)上田回)、日置(12回) ◇犠打 山田陸回) ◇併殺 ◇残塁11 ◇盗塁 直井(回) ◇失策

 

 今季の優勝争いの行方を占うこの一戦。先発のマウンドを託されたのは早大戦での好投が記憶に新しい村田賢一投手(商3=春日部共栄)。この日も力のある直球と自慢のシンカーがさえ、3回裏まで無失点と好投を見せた。しかし、緊迫した状況の中で迎えた4回裏、法大打線の猛攻に遭う。二死一、二塁から相手投手・尾﨑(法大)に適時三塁打を浴び、2点を献上。試合の流れが傾いたかに見えた8回裏、救世主が現れた。髙山陽成投手(文4=作新学院)は5回を投げ無失点。今後の戦いに向け、背番号29に更なる期待がかかる。

 

 意地を見せたのはやはり上級生だった。2点を追う9回表、先頭の代打明新大地外野手(政経4=明大中野)が死球で出塁すると、二死二塁となり、打席には5番・上田希由翔内野手(国際3=愛産大三河)。相手抑え投手の武冨の直球を捉え1点差に詰め寄ると、続く4年生・山田陸が同点適時打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻す。しかし反撃はそこまで。凡退後、悔しさのあまりその場でうずくまった副将・蓑尾海斗捕手(文4=日南学園)の背中が3時間超に及ぶ死闘を物語った。

 

 法大戦での勝ち点獲得、さらには悲願の優勝に望みを繋いだ明大ナイン。19年春以来の頂を目指し、紫紺の戦士は前を向く。

 

[上瀬拓海]