入江に負けん 投手力で頂点へ 石毛力斗投手/東京六大学春季リーグ戦展望

硬式野球
2020.08.04

例年4月の新入生歓迎号にて扱っております硬式野球部特集ですが、今年度は新型コロナウイルスの影響で発行を見送らせていただいております。そこで今回は4月に向け作成しておりました記事の一部をWEBにて公開させていただきます。



 もう一度輝きを。キレのある直球と多彩な変化球が武器の石毛力斗投手(文4=健大高崎)。貴重な左腕として、今春はフル稼働が求められる。

 野球は楽しくやるもの――。ルーキー時代に語った思いをどこかで忘れてしまっていた。1年次、春秋通じて10試合に登板し防御率は2点台。「かなり充実していた」と確かな手応えを感じていた。だが、学年が上がると徐々に歯車が狂い始める。まず、度重なる故障で思うような練習ができず。齊藤大将選手(平30政経卒・現埼玉西武ライオンズ)、森下暢仁選手(令2政経卒・現広島東洋カープ)を筆頭として、投手王国を築いてきた近年の明大。レベルの高いチームメイトに置いていかれる焦りから「自分を見失ってしまった」。さらに、1学年下に同じ左腕の磯村峻平投手(文3=中京大中京)が入部。「負けたくない」。その思いとは裏腹に、磯村は1年次春から大活躍、石毛は登板数が激減。首脳陣からの期待は常に高く、登板機会こそ与えられたが「対打者ではなく対自分になってしまっていた」。そこにかつての姿はなかった。

 だが、もう吹っ切れた。「あと1年しかない」。そう思うと、不思議と気が楽になった。課題だった精神面が安定すればもう問題はない。今春オープン戦・東経大戦では先発として登板し5回を無失点。状態はかなり上向きだ。目標は高く「0点台で最優秀防御率」。3年分の思いを胸に、神宮のマウンドを全力で楽しむ。

 

[小野原琢真]