森下10K完投で胴上げ投手に 佛教大下し38年ぶり春の日本一/第68回全日本大学選手権

硬式野球 2019.06.17

 悲願達成だ。初優勝を狙う佛教大(京滋大学野球連盟)との決勝は3回に3点を先制すると、先発の森下暢仁主将(政経4=大分商)が力投。9回に1点を失うが、10奪三振完投勝利でチームを日本一に導いた。同大会の優勝は1981年以来、38年ぶり6度目。最高殊勲選手賞と最優秀投手賞には大会通算18回1失点で2勝を挙げた森下、首位打者賞には13打数7安打で打率5割3分8厘の北本一樹内野手(文4=二松学舎大付)が選ばれた。


◆6・17 第68回全日本大学選手権(神宮球場)
▼決勝 対佛教大
○明大6―1佛教大
 123456789
明大0030000036
佛教大0000000011


(明)○森下―西野

(佛)●中山塁、丸山、福森、木村―坪倉

【安】(明)5(佛)7

【二】(明)添田(3回)、喜多(9回)(佛)八木(9回)、野嶋(9回)

(明)◇犠打2 丸山(1回)、清水頌(4回) ◇併殺1 ◇残塁11 ◇盗塁2 陶山(2回)、内山(9回) ◇失策0


 最後は誰よりも高く飛んだ。9回2死二塁、外角の直球で空振り三振。マウンド上の森下は駆け寄ってきた西野真也捕手(政経4=浦和学院)に合わせて大きくジャンプ。「前回(春季リーグ優勝時)は受け身になってしまったので、とりあえず飛ぼうと思っていた(笑)」(森下)。抱きかかえられたまま、何度もナンバーワンのポーズを繰り返す。日本一達成の喜びを全身で表現した。


六大学の代表にふさわしい横綱相撲だった。3回表に相手のミスから3点を先制するが、その後は4回から救援した福森建(佛教大)の前に追加点が遠い。佛教大は準決勝までに3度0―3から逆転勝利を挙げており、ビハインドの展開には慣れている。徐々に相手に流れが傾くかに思われた。

しかしエース・森下はみじんのスキも見せない。4回以降は毎回走者を出すが、150キロ台の直球でねじ伏せる。「終盤の弱さは課題だったので、とにかく気持ちを出して投げた」とピンチを切り抜けるたびに雄たけびを上げた。その姿にバックも無失策、捕手の西野も盗塁阻止で応える。湿っていた打線も9回に喜多真吾内野手(法4=広陵)の適時二塁打で待望の追加点を奪い、勝負あり。「焦らずに試合を進められた」(西野)と落ち着いた試合運びで挑戦者を一蹴した。


 大会を通して投手陣は4試合で4失点。六大学でチーム防御率1位の投手力をいかんなく発揮した。打線も四死球や犠打を絡めて得点を重ねる泥臭い野球を展開。春季リーグで形にした〝明治の野球〟は全国の舞台でも通用した。「チームで勝ったことは自信にしてほしい」(善波達也監督)。イノシシ軍団の次なる目標は春秋連覇、そして秋の神宮大会制覇。大学野球史上5回しか達成されていない〝四冠〟の偉業も視野に入ってきた。戦うごとに成長してきたこのチーム。まだまだ歩みは止めない。


[楠大輝]


井上崇通部長

――今のお気持ちを教えてください。

「生活面でもこの1年ずっとしっかりやっていますし、基盤となっている過ごし方や礼儀なども野球に反映されていると思います。4年生がしっかりしているので、それに下級生もついてきたことが優勝につながったと思います」


善波監督

――率直な感想を教えてください。

「4年生は最終学年ということで、そこがまとまって勝てたということは非常に喜びを感じます。多くの方に支えていただいたので恩返しができて良かったです」


森下

――今日の投球を振り返っていかがですか。

「みんなが決勝までつないでくれて、先制点も取ってくれたので勝つしかないと思って投げました」


喜多

――優勝までの道のりを振り返っていかがですか。

「新チーム当初から春の日本一をずっと目指してきて、4年生を使い続けてくれた監督はじめ首脳陣にはとても感謝しています」


北本

――今のお気持ちを教えてください。

「グラウンドが新しくなったり、イノシシのワッペンが付いたり今年は変化の年でした。正直、プレッシャーもあり、リーグ戦も苦しい試合ばかりでしたが、最後に日本一という形で報われたのは最高です」


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