ルーキー特集(5)捕手歴2年も急成長中! 強肩強打で正捕手奪取へ 篠原翔太

硬式野球
2018.08.29

 毎年恒例の硬式野球部ルーキー特集。今年も全国からトップレベルの選手が入部してきた。その中でも活躍が期待される注目の選手を全6回にわたって特集する。


 強肩強打でチームの要となる。篠原翔太捕手(政経1=報徳学園)は兵庫県の強豪・報徳学園で遠投120メートルの肩を買われ2年次春から捕手へと転向。勝負強い打撃を武器に4番打者も務め、3年次春のセンバツでは4強入りへと攻守でけん引した。また、春季リーグ戦では1年生ながら4試合に出場。正捕手不在の現状打破へと期待がかかる逸材だ。


 野球人生が180度変わる挑戦だった。小、中学時代は投手や内野手を務め、高校でも当初は外野手。だが、転機は突然訪れる。高校2年次春、永田元監督から受けた捕手転向の指示。当初は「やりたくなかったし、適当にやっていた」。そんな中、迎えた練習試合。怠慢なプレーを見せたことで、厳しい叱責を受ける。この一件でそれまでの甘さを自覚し、真剣に取り組む覚悟を決めた。

 さらにこの挑戦を後押ししたのは好敵手・猪田和希(JFE東日本)への対抗心だった。中学時代の同士である猪田は、同県の神戸国際大付高に進学。偶然にも、高校2年次秋から捕手へと転向した。普段は互いの家で遊ぶほど仲が良いという2人。それだけに「あいつには負けたくない」と、やる気の火付け役になった。

 リードなど捕手特有の技術を磨いていくうちに「捕手が好きになった」という篠原。これに持ち味の強肩が相交わることで才能が開花。3年次春のセンバツ出場時には、プロ野球のスカウトから評価を得るまでに成長した。


 

努力でつかんだ巧みなリードでチームの柱となる


 名将の志とともに戦い続ける。同校を17度聖地へと導いた永田元監督の方針・〝全員野球〟。篠原は高校2年次夏、初めてその意味を実感した。その試合は絶不調で、打撃不振。暗い雰囲気のままベンチへ帰ると「その姿を見て誰が応援すんねん!アルプスのやつらが応援してくれるのはお前が一生懸命野球してるからや」。1人ではなく全員で戦っていることを痛感し「たとえ調子が悪くても他のところで頑張ろう」。明大の〝人間力野球〟にも共通する意識を感じ、今でもこの言葉を胸にグラウンドに立つ。

 

 さらなる高みを目指す。高校野球引退時、プロへの思いも強かった。だが「プロで活躍するためには、もっと経験が必要」と大学進学を決意。もちろんプロ入りが4年後の目標だ。春季リーグ戦では4試合に出場。打撃に課題は残したが、「資質はある」(善波達也監督)と首脳陣からの期待も大きい。信頼を勝ち取り正捕手不在の救世主となり得るか。夢の舞台へたどり着くため、まずは4年間神宮のホームを守り続ける。


[小野原琢真]


 ◆篠原 翔太(しのはら・しょうた) 政経1、報徳学園高、178センチ・83キロ、右投右打、捕手 

好きな食べ物は昔から「オムライス」。特におばあちゃんにつくってもらっていたものが思い出の味だ


次回のルーキー特集は8月31日(金)磯村峻平投手(文1=中京大中京)です。お楽しみに!