ルーキー特集(1) 過去の悔しさ胸に さらなる進化を遂げる浪速の剛腕 竹田祐

硬式野球
2018.08.21

 毎年恒例の硬式野球部ルーキー特集。今年も全国からトップレベルの選手が入部してきた。その中でも活躍が期待される注目の選手を全6回にわたって特集する。                                                                    


1年春より明大の投手陣の一角として名を馳せる竹田祐投手(政経1=履正社)。その活躍の裏には高校時代の永遠のライバル校への悔しさがあった。                                                                          

 球威ある直球は簡単には前に飛ばない。加えてキレ味鋭いスライダーで打者を翻弄(ほんろう)する。春季リーグの立大2回戦では強い雨が降りしきる中、粘りの投球でチームの優勝への望みをつないだ。

 

ライバルを常に追い掛けた高校3年間であった。高校1年次の夏の大会でスタンドから大阪桐蔭の強さをいきなり目の当たりにする。「レベルの差が歴然としていた。しっかり練習をしないと勝てないと思った」。当時は自宅からの通学で朝6時に起床し、夜の10時に帰宅するというハードな生活。入学当初は苦労するが何とか体を慣らし、歯を食いしばる日々を送った。

越えたい壁はチーム内にもいた。1学年上には寺島成輝(東京ヤクルトスワローズ)、山口裕次郎(JR東日本)と手本というには申し分のない先輩が在籍。「ずっと一緒にいて、すごく意識を高くやっていた」と後にドラフトで指名を受ける先輩たちの背中を追い掛けた。同期の安田尚憲(千葉ロッテマリーンズ)からも刺激を受け、自身を磨き続けた。

 

そして3年春の選抜高校野球大会。順当に勝ち上がり、決勝で大阪桐蔭と激突。履正社高悲願の全国制覇のために。「自分たちの代で歴史を変えてやる」と並みならぬ意気込みで挑んだ。試合は最後の最後に突き放され、惜敗。大阪桐蔭の壁は甘くはなかった。しかしこの敗戦にも「夏は勝って、絶対に甲子園に行く」と再奮起。ウエートトレーニング、走り込みに意欲的に取り組んだ。食事の面でも栄養士の資格を持つ母親の協力の下、徹底した体調管理で最後の夏に向けて万全を期した。

  3カ月後、大阪府大会準決勝でリベンジの機会は訪れる。序盤から競った展開となるが、またしても終盤に突き放されての惜敗。高校野球生活は大阪桐蔭に始まり、大阪桐蔭に終わった。本人も野球人生のターニングポイントで春夏の大阪桐蔭戦を挙げるほど、悔しさが残るものだった。


見据えるのは秋の優勝だ

 「あの負けが無ければ、悔しさを持って練習できていない」。高校の時の悔しさが今も原動力となっている。夏の引退後も竹田には引退ライフという言葉は無縁。後輩たちに交じり、大学入学を待った。現在は持ち味である直球の球速アップのため、短距離ダッシュやジャンプといった瞬発系のトレーニングに取り組んでいる。「春のリーグ戦は悔しい結果に終わっているので、この秋のリーグ戦はなんとしても優勝したい」。竹田にとって悔しさとは自身の可能性を広げる材料だ。浪速の右腕の挑戦はこれからも続く。

 

[小畑知輝]

◆竹田 祐(たけだ・ゆう)、政経1、履正社高、183センチ・84キロ、右投右打、投手

 高1秋からベンチ入り。春夏通算3度の甲子園に出場。高3春には初戦で日大三高・櫻井周斗との投げ合いを制し勢いに乗り、準優勝を果たす。寮に入寮してから2度ほど流れ星を目撃。急な出来事で願い事はかなえられなかったという

次回のルーキー特集は8月23日(木)小泉徹平内野手(商1=聖光学院)です。お楽しみに!