ルーキー特集(1) 名門校の主将 勝負強さでチームを救う 公家響

硬式野球 2017.08.17
 全国区の主砲が六大学野球に挑む。公家響内野手(政経1=横浜)は名門・横浜高で1年夏からベンチ入りを果たすと、3年夏には主将として甲子園出場。初戦で本塁打、2回戦では履正社高の寺島成輝(現東京ヤクルトスワローズ)から二塁打を放つなど大舞台でもその実力を遺憾なく発揮した。高校通算本塁打は30本を記録。広角に打ち分けるその打撃技術は高い評価を受けている。

 抜群のキャプテンシーが光る。高校2年の冬に元主将のケガにより代わって主将になった公家。小中と主将を務めてきた経験もあり、抵抗はなかった。就任後は「プレーで示すしかない」と自ら率先して練習に取り組み、仲間を鼓舞。主将の重圧も「活躍すれば注目していただけるポジション」と大きな原動力に変えた。能力の高い選手が多い分、ぶつかることも多かったが選手だけのミーティングを何度も開催。本音で話し合うことでチームの一体感を生んだ。
 迎えた最後の夏。激戦区神奈川を制し、188校の頂点に立った。1年夏からベンチに入った公家にとっては5度目の挑戦で決めた初の甲子園。「うれしくてうれしくてたまらなかった」。過去2年間、夏の県大会は決勝で涙をのんできた。負の連鎖を断ち切り、自らの手でつかんだ夢舞台だった。

 持ち味は勝負強さだ。高校通算本塁打の約半数は公式戦で打ったものだった。象徴的な一打がある。3年夏の県大会準々決勝、横浜隼人高戦。大会通じて初めてリードされて迎えた打席。「このままいってしまうのか」という不安もあった中、左翼席へ同点アーチを放った。この本塁打を足掛かりにチームは快勝。主将としてチームをけん引する一発に公家は「いい仕事ができた」と振り返る。まさに一振りで試合の流れを変えた。
 大学でもその勝負強さは健在だ。神宮デビューとなったフレッシュリーグ法大戦では初打席で初安打をマークした。「1打席だけのチャンスで結果を残すというのはさすが」(北本一樹内野手・文2=二松学舎大付)と先輩からも称賛の声。いずれ苦しい場面で明大を救ってくれるはずだ。

 より厳しい環境に身を置いてきた。横浜高に進学した理由は「高いレベルの中でもっと野球をやりたいから」。明大を選んだ理由も同じだ。最終的な目標はプロ野球で活躍すること。そのためにも大学では六大学を代表する選手になることを目指す。現在は渡辺佳明内野手(政経3=横浜)を手本に守備力の向上に着手。秋季リーグでのベンチ入りを見据える。
 横浜高から明大へ、同じ進路をたどってきた柳裕也選手(平29政経卒・現中日ドラゴンズ)からは入寮の際「頑張れよ」とメッセージをもらった。3年後のプロ入りに向けて、偉大な先輩からのエールを胸に着実に歩みを進める。

[楠大輝]

◆公家響(くげ・ひびき) 政経1 横浜高 178㎝・82㎏ 右/右 内野手
多くの好投手と対戦した高校時代。一番は小笠原慎之介(現中日ドラゴンズ)だという。「手も足も出なかった」。プロの舞台でのリベンジを誓う
次回のルーキー特集は8月19日(土)市岡奏馬投手(情コミ1=龍谷大平安)です。お楽しみに。

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