
接戦を落とし全日本を逃す 切り替えて清瀬杯へ/全日本大学選手権予選会
相手先発戸津の前に明大打線は苦戦を強いられる。しかしチーム全3安打のうち2安打を放った多々野が一人気を吐いた。反撃の足掛かりとなる左中間二塁打で戸津に手こずるチームを鼓舞。それでも笑顔はなく「自分の普段の詰めの甘さが最後出た」(多々野)と9回先頭打者で塁に出られなかったことを反省した。7回チーム唯一の打点を挙げた和泉は「1点はいいという守備体系だったので気楽に打てた」とリラックスして打席に入り、狙い通り1点をもぎとることに成功。「取りあえず1点(取る)」(和泉)という執念が生んだ結果だった。
先発の小田は「とにかく情けない」と自らの投球を振り返り悔しさをにじませた。3回、2死から四球で走者を出すと、打者へ集中しきれず走者の方に気を取られ制球が乱れる。その結果再度四球を出し、悪い流れのまま右前適時打で先制を許してしまった。さらにもったいない失点は続く。5回には1死一、三塁のピンチ。浅めの左飛で2死とするがそこからけん制悪送球で1点を追加された。「あのけん制ミスが痛かった」と話した通り悪送球した瞬間に天を仰いで表情を曇らせた。切り替えて「一から体を鍛え直してどんな投手にも投げ勝てるように成長したい」と次の清瀬杯への目標を語った。エースが悔しさを糧に進化する。
今試合、敗れはしたものの執念や気迫がプレーに出ていた。目立ったのは内外野ともに球際に強い守備。8回、抜けていれば確実に1点入っていた飛球を寶田慎太郎外野手(営4=東北)が後方へスライディングキャッチしたファインプレーは何としてもアウトにするという執念のたまものだ。打撃でも8回の久保田駿内野手(法2=広陵)のヘッドスライディング二塁内野安打はとにかく塁に出るという強い気持ちが表れていた。「ミスした方が負け」と話した吉田由宇主将(法4=日本文理)。記録に残らない守備のミスやもったいない失点が重なったこの敗戦をしっかり反省し、秋のリーグ戦までにスキのないチームづくりをする。9月にある清瀬杯への出場が決定し「優勝するしかない」と千田晃二監督。選手も「もちろん優勝」と口をそろえた。秋に向けて重点を置くことは「一人ひとりが意識を高く持ってスキルアップするために努力すること」(千田監督)だ。秋は過密日程で選手にとって過酷な戦いとなる。戦える体力を夏に付けて秋のリーグ戦、清瀬杯へと挑む。
[木村亮]
試合後のコメント
千田監督
「関東学大の戸津君に完敗。彼にいいピッチングされたので、それに完敗した。(惜しい結果だったことについて)野球は1点でも負けは負けなので、ヒット3本、1点しか取れなかったということは、戸津君レベルの高い投手に対しての今のうちのレベルだろう。この1週間はもちろん全日本に向けての最終の試合があるので。全日本を目標にやってきたので、それなりに選手もやってくれたと思う。しかし、結果がこうなので、別にどれが足りないだとか、そういうことではなくて、1点差の今日のような試合であれば時の運。だけれども負けは負けなのでうちの方が弱いから負けという考えでしかない。勝負の女神が微笑まなかった、というよりはうちの力があと1点、2点取れないチーム力だった。それに尽きると思う。(チームの雰囲気)いつも通りだった。清瀬杯優勝するしかない。選手にもそれは言った。優勝を狙うし、それに対しては一人ひとりがどのような練習をすべきか、試験休みもあるし、どういう練習をすべきなのか、一人ひとりよく考えてやれと。一人ひとりの意識が高まって、個人個人でやっていかないと、うちの場合はグラウンドを午前中しか使えないし、授業とかも出ているので、毎日毎日全体練習ができない。そうなってくると、一人ひとりが、部員全員がそろっていない日でも、一人ひとりが意識を持ってどういう練習をきちんとやっていくか、それを全体練習でチームの力として合わせていくという作業をしないと、うちのようなチームは毎日全体練習できるようなチームとは違うので、ちょっとチームとして難しいところがある。少ない人数ではだらけてしまうこともある。そうなってもらったら困るし、今はそうなってはないのだけれども、少人数でも一人ひとりが意識を高く持って、自分のスキルアップをするために努力しろということを言っている。それを全体練習でチームの力として合わせる。プラスアルファのものを全体練習で合わせて出していかなければならないし、出させていくのが私の役目だと思っている。そういうチームづくりで勝っていくしかない。それを清瀬杯までにも続けていく」
吉田主将
「相手が強かった。完敗。こっちの力が及ばなかった。(相手ピッチャーは)去年も当たっていていいピッチャーっていうのは分かっていたが、野球は7、8割がピッチャーと言われるがそれを本当に痛感した。相手ピッチャー一人にやられたし、小田が悪かった訳じゃないが小田自身のミスであったり、その差が1点の差じゃないかなと思う。(今日の試合は気迫があったが)新チームになって全日本優勝というのを目標にしてやってきたので今日の試合のために冬からずっと頑張ってきたので、今日に対する思いは一人ひとりあったと思う。いいピッチャーとこういう場面で試合をしたらロースコアになると思うしミスした方が負けなので、失敗は恐れなくていいから前に出ていけという風には声掛けしたがやっぱりミスした方が負けだし、向こうはミスしてないのでうちは見えないミスもいっぱいあった。(関東学大は)どこかしらでいつも当たる相手だったので今日の試合は去年のリベンジだと思って向こうは気持ち入れて来るだろうなと思っていたし、アップやシートノックで感じたがだからといってうちが向こうに気持ちで負けていたかと言われたらそんなことは決してないので、練習もしっかりしてきたので気持ちのピークもこの日に持ってきたつもりなので。(清瀬杯は)優勝しか考えてないので、清瀬だからと言って弱い相手が集まるわけじゃないので、ちゃんとした全国大会なのでモチベーションを落とすことなく、清瀬杯と秋季リーグ戦でも優勝を狙っていきたい。(ピッチャーは)小田が本調子じゃなかったが、小田と自分のバッテリーだけで薄田や篠原を先発にしたりはできなかったので、4年生始めみんなが小田がエースっていう考えで戦ってきたので、小田に託した。(清瀬杯に向けて)9月まで間が空くのでリフレッシュして新たな気持ちで新しいチームでやっていければと思う」
寳田
「相手ピッチャーが良いことは前から分かっていたことなのでロースコアの展開になると思っていた。その展開通りにいったが一本出なかったということでそこが自分たちの甘いところ、課題だと思う。ピッチャーが頑張っていたのであと一点取られたら終わりという場面が後半特にあったのでそこは守備が助けてあげようと思っていた。(8回のファインプレーは)抜けていれば確実に1点入っていたのでもう本当に止める気持ちというか無我夢中でボールを追った。負けてしまって全日学には出られなくなったが次に清瀬杯、秋のリーグ戦という風に先はあるので今日の課題や反省点を生かすしかないので切り替えていきたい。前回清瀬杯出た時は優勝しているので取りあえず優勝すること、そして秋につなげて秋も優勝という風にしていきたい。秋は過密日程なので体的にもきついと思うしピッチャーが一番きついと思うが夏の練習量を多めにして戦える体力というものをつけていきたいと思っている。自分よりも後輩の数が多いので後輩にどうしても力が必要だった。その中で戦っていく上で後輩が本当に自分たちのためにやってくれたので助かるところが多々あった」
小田
「あのけん制ミスが痛かった。本当に悔しい。調子自体は悪くはなかった。今日は最初から継投していくと決まっていたので、最初から飛ばした。戸津さんはやはりいい投手。だけど戸津さんみたいな強豪校の投手に投げ勝てるようにしていかないといけない。秋の過密日程に関してはまだ考えていない。これから新しい投手が台頭してくるかもしれないのである程度固まってから考えたい。清瀬杯は1年生の時に出場してそこから自信を持てた。今年も清瀬杯を通じて自分みたいに活躍する選手が出てきてくれればいい。清瀬杯は出るからには優勝しか考えていない。秋まで時間はあるのでまた一から体を鍛え直してどんな投手にも投げ勝てるように成長したい」
和泉
「打てないと勝てないし、守るところで守り切れなかった。そこが敗因。戸津さんはもとから速いと聞いていたので評判通りいい投手だった。全体的に一握り小さく持って打席に入った。変化球が多い投手なので変化球を狙っていた。得点場面は、1死三塁のチャンスで回ってきて取りあえず1点ということだけを考えていた。向こうの守備体系も1点はいいという守備体系だったので気楽に打てた。ワンスリーの場面だったので真っすぐを狙って犠牲フライでもいいと思い気楽に打てたのは良かった。全国制覇を目標にやってきているので清瀬も全日本ほどではないが全国大会なので優勝して秋季リーグにもいい流れでいければ逆にそうなれば相乗効果でチームの雰囲気も良くなると思う」
篠原匠投手(政経2=明大中野八王子)
「今日はビハインドということもあり気持ち的には楽に投げられたが、自分の投球で流れをチームに引き寄せたかった。それができなかったのが悔しいので清瀬に向けて期間が空く中でしっかり調整したい。チームが流れに乗れるような投球をしていけるように練習したい。秋は過密日程になるので、まずそのための体力作りをこの1カ月で行って清瀬杯、秋のリーグ戦につなげられるようにしたい。新しいフォームも含めて試合の中でいろいろ試せたのは大きい。清瀬杯は過密日程なのでいつでも投げられるように準備してチームの優勝に貢献していきたい」
多々野
「(戸津は)いいピッチャーだった。膝下の変化球にみんな対応できずに、そこに苦しんだままいってしまったのでなかなか攻略することができなかったかなと。スライダーのキレであったりストレートが最速147kmくらい出ていたので、カウントもしっかり取れるピッチャーだったので。もともと大崩れしないピッチャーだとは聞いていたのだけど、そこを打ち崩せなかった自分たちの力不足だったと思う。(今日の試合に向けて意識したことは)今までとあまり変わらないようにやってきたが、モチベーションだけは下げないで今日の試合に焦点を当てて練習してきたので、やってきたことは間違ってなかったと思う。(今の調子は)今シーズン通して調子が良かったので。(今日は)運良くヒットになってくれたので、そこは良かったかなと。(7回に二塁打を打った球種とコースは)真っすぐで真ん中寄り。(9回には先頭打者で出塁できなかった)絶対出なければいけない場面で出られなかったというのはやはり自分の普段の詰めの甘さが最後出たのかなと思う。(今日見つかった課題)フィールディングミスで相手へのチャンスが広がってしまったので。いくら打てても守れなければ野球は勝てないので、課題はそこかなと。(清瀬杯へ向けて)4年生の先輩方がチームをすごくうまくまとめてくださっていていい状態なので、そこを下級生が崩さないように。いかに下級生も先輩方もお互いのモチベーションを上げていけるかというのが大事だと思うので、しっかり今日は今日で切り替えて次の清瀬杯に向けてしっかり練習していきたい。(清瀬杯の目標は)もちろん優勝」
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