8回追い付き慶大と引き分け 新人戦を3位で終える/東京六大学春季新人戦

2015.06.04
 慶大との3位決定戦に引き分けた。打線は初回、立ち上がりの不安定な相手先発、清水洋(慶大)を攻め1点を先制。先発の金子大地投手(商1=春日部共栄)が2回に連打で1点を失うと、5回には藤川(慶大)の適時打で勝ち越しを許す。しかし以降を4投手の継投で無失点に抑えると、8回には河野祐斗内野手(文2=鳴門)の適時二塁打が飛び出し、2―2の同点に追い付いた。9回は両軍無得点に終わり引き分け。慶大とともに3位で新人戦を終えた。

 土壇場で追い付いた。1点ビハインドで迎えた8回、先頭は代打の中野速人内野手(法2=桐光学園)。「何が何でも出てやる」という一心で低めの直球に反応すると、高く上がった打球が右翼手の頭を越え、追撃の口火を切る三塁打に。無死三塁という絶好のチャンスで6番河野が打席に立った。「打席に入ってからも(ベンチからの)声が聞こえていたので、その気持ちに応えたかった」(河野)。持ち前の積極打法で初球を振り抜くと、打球は左中間を破り同点の適時二塁打となった。「追い付いて負けを無くしたことは良かった」と河野は塁上でガッツポーズ。連続長打で同点劇を演出。初回以来遠ざかっていた1点にベンチも湧いた。この日チームは何度もチャンスをつくるもそれを生かせず。好機をつくりながらも得点に結びつかない嫌な空気を一振りで振り払った。

先発の金子は立ち上がりで制球に苦しみながらも3回以降は立て直した。序盤は変化球を中心に打ち込まれる場面が目立ったが、3回からは直球で押す配球に。これが功を奏し3、4回には2イニングで4奪三振。外角への制球も冴え、勢いのある球をテンポ良く投げ込んだ。5回にはピンチで打ち取った打球が中前に転がり1点を失うも、2失点にまとめ上げ試合をつくった。早大との準決勝では逆転を許し「情けない」と肩を落とした。しかし先発した今回は「序盤の悪い点を後半に生かせたことが良かった」と振り返る納得の投球を披露した。

 慶大とともに3位で新人戦を終えた。今大会で主将を務めた竹村春樹内野手(政経2=浦和学院)を中心に下級生が一致団結。3試合を戦い抜いた。今大会では出場機会の少ない選手が多く出場。代打で三塁打を放った中野を始め、経験の浅い若武者が神宮で躍動した。「上級生だけじゃなくて、僕たち下級生の力でチームを盛り上げていきたい」(中野)。熾烈なレギュラー争いに割って入り、活躍の場をリーグ戦に移したい。

[原大輔]

打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(中) 逢澤(関西) 四球 三振       投選    投ギ 中飛   
(左) 東原(天理) 投ギ    投ゴ    一ギ    左安      
  小林壱(飯山北)                         三振
(二) 竹村(浦和学院) 四球    一ゴ    四球    四球    二ゴ
(一) 太田(広陵) 四球    捕ギ    左飛            
  打一 中澤(高崎)                   三振      
  中原(佐賀商)                         四球
(三) 宮崎(履正社) 右安       四球 中飛            
  中野(桐光学園)                      右三   
  走三 荒井(前橋育英)                           
  渋谷(安田学園)                         右飛
(遊) 河野(鳴門) 三直       遊ゴ    遊ゴ    中二   
(右) 稲見(日大三) 一ゴ       中安    左飛         
  打右 吉武(福岡大大濠)                      遊ゴ   
(捕) 小野(愛工大名電)    三振    二ゴ    遊ゴ         
  片岡(倉敷商)                      三振   
  氷見(豊川)                           
(投) 金子(春日部共栄)    二ゴ                     
  生山(明大中野八王子)             左安            
  庭田(松戸国際)                           
  新原(尚志館)                   中安      
  南(明大中野)                           
  齊藤(桐蔭学園)                      四球   
  乾(報徳学園)                           
      計 29                           

名 前 球数
◆明大投手成績◆
金子(春日部共栄) 94
庭田(松戸国際) 29
南(明大中野) 00/3
齊藤(桐蔭学園) 12/3 18
乾(報徳学園) 01/3

◆ベンチ入りメンバー◆
17 乾(文2=報徳学園) 32 氷見(政経1=豊川) 太田(商2=広陵)
18 庭田(商2=松戸国際) 竹村(政経2=浦和学院) 13 中澤(国際2=高崎)
19 齊藤(政経2=桐蔭学園) 16 河野(文2=鳴門) 26 中野(法2=桐光学園)
23 水野(農2=静岡) 34 渋谷(法2=安田学園) 片岡(政経2=倉敷商)
29 南(情コミ1=明大中野) 荒井(商2=前橋育英) 東原(商2=天理)
31 金子(商1=春日部共栄) 14 宮崎(文2=履正社) 24 稲見(文1=日大三)
中原(文1=佐賀商) 15 新原(法2=尚志館) 28 逢澤(文1=関西)
12 小林壱(理工1=飯山北) 吉武(政経2=福岡大大濠)
22 小野(文1=愛工大名電) 生山(営2=明大中野八王子)

試合後のコメント
3試合を主将として戦った竹村

「代打の選手がいい結果を残して、追い付くことができたのは良かったです。よく練習している選手が途中から出てきて打ちました。最初からの選手が結果を出せていないことは反省です。相手投手はあれ球でしたが、絞りきることができてなかったです。(自身について)甘いのを打ち切れずに簡単に凡打してしまいました。四球を3つ選べたのはチャンスを広げる意味でも、出塁できて良かったです。7回のスクイズは、自分が構えた時点で外されて空振りしました。秋に向けては新人戦で弱さを感じた部分、特に打撃の対応力を上げます。打ち損じを減らしたいです。(3試合キャプテンを務めて)リーグ戦中は1、2年とは別に練習することが多かったですが、今回はキャプテンとして1、2年でみんな楽しんでできました」

同点打を放った河野
「前半はチャンスがつくれても全然思うように攻撃できなくて苦しんでいた部分もあったし、投手はしっかり頑張ってくれていて新原とか中野とか途中から出たメンバーが結果残してチャンスをつくってくれたのでしっかり返したいなと思って打席に立ちました。自分の持ち味といったら初球から積極的に打っていくというプレースタイルで、高校の時からずっとなので初球から狙っていました。基本的にはストライク付近に来た球はどんどん振って押していこうという考えがあるので、それは貫いています。(適時打を放って)みんな頑張ってたいし、2年生全員が入ってやるのも数少ないと思うし、そういった中で追いついて負けを無くしたということはよかったと思います。(塁上でガッツポーズ)ベンチからガッツポーズとかをみんながやってくれていたので、それに応えようかなと思ってやりました。(2年生中心のチームの雰囲気)竹村を中心に最初から雰囲気がよくて、最後は最後で全員がまとまって一致団結してできたので、やっぱりいい学年だなと思いました。ベンチからの色々な声もあったし打席入ってからも声聞こえていたので、そいつらの気持ちにも応えたいなと思って打ちました。(中野が代打で安打)前の2試合であまり出れない中で少ないチャンスをつかんでやっているというのは今までやってきたことが出て本当に自分としても嬉しかったし、それに続いてあいつらにも応えたいなと思って自分も頑張りました。(守備では5回に好守)体が反応したというのが一番正しいと思うんですけどやっぱり金子も頑張っていたしその前にもピンチをしのいでいたので、その1点を絶対取らせないように頑張りました。守備は打撃よりかは取り組んできた方ですね。攻撃は3割でも世間的には良い方なんですけど、守備はそれと違ってノーエラー、10割目指して、完璧目指してやっています。今までリーグ戦のベンチにも入れてないですし、惜しいところで全然かすってもいないんでこの秋はメンバー入り目指して本当に必死に頑張ります」

代打で持ち味を発揮した中野
「前の回に宮崎まで打席が回らなかったら先頭で行くから準備しとけよ、と言われていました。終盤で先頭が出ないと、どうしても点入りづらいので、何が何でもでてやるというその一心でした。あとはもう無心です。打席内では来た球に勝手に反応した感じでした。打ったのは真っすぐのややインコース低めです。(追い込まれてから)変化球のスライダーとチェンジアップの二つで、絶対打ち取りに来るだろうという対応も頭に入れ、そこをうまくカットで粘れたのが良かったんじゃないかなと思います。(打った瞬間)打球が高く上がったので越えてくれ、越えてくれと。もう走りながらそればかり思っていました。前回出た時は四球だったので、やっとここでチームに貢献できたなという感じです。(新人戦)練習の段階からみんなが一つになって全力で取り組めていたので、そういう面で1、2年の絆が深まったと思いますし、また秋のリーグ戦に向けていいスタートを切れたんじゃないかなと思います。優勝はなくなったんですけど、2年生が全員ベンチに入った。普段出れないような人も出て、2年生みんなで勝とうという気持ちで向かっていけたことが一番良かった。今は新人戦ですが、リーグ戦ではもっと重圧だったりだとかがあると思うので、次はその舞台で戦えるよう頑張って行きたいです。2年生が少しでもAチームに食い込んでチームに貢献できるよう、上級生だけじゃなくて、僕たち下級生の力でチームを盛り上げていきたいなと思います」

先発し5回2失点の金子
「序盤の1回2回は変化球を中心に打たれていて、それで3回4回はストレート中心に切り替えました。それが良い結果となって表れました。序盤の悪い点を後半に活かせたことが良かったです。ストレートに切り替えるというのは自分でも必要だと思いましたし、ベンチからの指示もありました。先輩方やキャッチャーとも話し合ってストレートでどんどん押していこうと変えました。今日のピッチングが一昨日に比べて良くなったとう自覚は無いのですが、やはり先発という立場だったので、先発の立場の重さを感じ、前の晩もイメージをしてシャドーピッチングをするなど、それに向けての準備が出来ていたのかなと思います。先発のほうが準備が出来るので投げやすいです。内と外の投げ分けは出来てきているので、あとは高さだったり緩急をつけたピッチングを、先輩たちを見て学んで吸収していきたいです。内側を使っていきたいという気持ちはあったのですが、高めに抜けたり、コースにいっても球が走ってなったりとバットに当てられる印象があったので、3回からは外のストレートを中心に組み立てていきました」