早大との緊迫の一戦制す 4試合ぶり勝ち星で先勝/東京六大学春季リーグ戦

2015.05.17
 9回に勝ち越し、2─1で接戦を制した。4回に青野悟内野手(商4=広島国泰寺)の適時二塁打で先制する。7回にはそれまで粘投を披露していた先発の柳裕也投手(政経3=横浜)が連打を浴び同点となるが、1─1で迎えた最終回。坂本誠志郎主将(文4=履正社)の適時打で勝ち越しに成功した。ここまで負けなしの早大に土を付け、目の前での胴上げを阻止した。

 主将がチームを勝利へ押し上げた。1─1と同点で迎えた9回。菅野剛士外野手(法4=東海大相模)が大竹(早大)の直球を左中間にはじき返すと、打球の処理にもたつく間に三塁を陥れた。続く1死三塁の場面で打席に立ったのは5番坂本。「外野に飛ばそうとは思っていた」(坂本)と狙い通り、変化球を捉えたライナー性の打球は右前へ勝ち越しの適時打となる。その一振りの裏には好機で打てなかった失敗があった。第一打席の初回、2死一、三塁の場面。狙っていたという初球のカーブを引っ張るも三ゴロに打ち取られた。すると「あのおかげ」とセンター方向への意識が生まれる。迎えた最終回の好機で「打つしかなかった」と打球は右方向へ。執念でもぎ取った1点で試合を決めた。

 先発の意地を見せた。柳は「最低限の役割は果たせた」と6回3分の1を投げ1失点。毎回走者を背負うも、強気な姿勢を崩さなかった。1点リードの5回にはピンチを背負うも連続三振を奪い切り抜けた。その後7回1死二塁の場面で、道端(早大)の中前適時打により同点とされマウンドを譲ったが、強力打線を1点で抑える十分な働きを見せた。
 総力を上げた継投で勝利を手繰り寄せた。続く2番手の齊藤大将投手(政経2=桐蔭学園)は同点に追い付かれた7回からの登板。勢いに乗り始めた打線に9回途中まで圧巻の4三振を奪い反撃の糸口を与えなかった。さらに9回1死二塁からは打者一人ずつに対し星知弥投手(政経3=宇都宮工)、上原健太投手(商4=広陵)が登板。星がアウトを奪うと目前の勝利へ、上原は闘志をたぎらせマウンドに向かった。「走って行くことによってその勢いをそのまま自分のプレーにつなげられるかなと思った」(上原)。その言葉通り中澤(早大)を2球で追い込むと、3球目のスライダーで空振り三振。「一人抑えてあれだけうれしかったことはない」とクールな左腕が勝利にほえた。

 待ち望んだ勝利だった。「勝てない理由がわからない状態だった」(坂本)と4月26日の慶大2回戦から勝ち星が遠のいていたチームは、4年生を中心に練習から意識改革を図りチームの方向性を統一。試合でも坂本がチームを引っ張ると、1点差の僅差の勝利は今季初だった。さらに守備の乱れからの敗北が目立っていたが、今試合失策は0。早大の1試合平均12安打、7得点を誇る強力打線の攻撃を抑え、少ない好機をものにした。「苦しい中で粘って、つないで、突き放して、最後凌いで。自分たちにとって勢いがつく勝ち方」(上原)と明大らしさで無敗の早大についに黒星を付けた。勢いそのままに狙うは連勝で勝ち点奪取だ。

★青野が今季リーグ戦初出場・初スタメン★
 「ずっとわくわくしていた」。試合前日朝にスタメンを告げられたという青野はこの一戦を前に胸を躍らせていた。4回、2死二塁で迎えた第2打席。4球目の直球を捉えて左翼手頭上へ運んだ先制の適時二塁打は、大学入学後初打点。対戦を前に大竹をイメージし練習を続けていた努力が実を結んだ。「自分の持ち味はとことん泥くさく、というところ。あとは粘り強さやガッツ」。ユニフォームを土色にした青野は指揮官の期待に応え、笑みを浮かべた。

[川合茉実]

打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(中) 髙山(日大三) .324 二ゴ    一ゴ    一ゴ       一ゴ   
(遊) 宮内(習志野) .167 左安    遊ゴ    遊ゴ       三振   
(左) 上西(明大中野八王子) .429 左安       三振    三ゴ       二ゴ
  小倉(関西) .375                           
(右) 菅野(東海大相模) .391 二飛       左飛    右安       中三
(捕) 坂本(履正社) .227 三ゴ       左二    遊ゴ       右安
(三) 青野(広島国泰寺) .333    遊ゴ    左二       遊ゴ      
  打一 佐野恵(広陵) .269                         右安
(一) 西村(智辯学園) .000    遊ゴ    死球       遊ゴ      
  一三 石井(履正社) .273                         右飛
(投) 柳(横浜) .077    左飛    遊ゴ       遊ゴ      
  齊藤(桐蔭学園) .000                         右飛
  星(宇都宮工) .000                           
  上原(広陵) .000                           
(二) 竹村(浦和学院) .071       遊ゴ    二ゴ       二ゴ   
     34 .251                        
名 前 球数
◆明大投手成績◆
柳(横浜) 61/3 112 2.16
○齊藤(桐蔭学園) 32 7.71
星(宇都宮工) 01/3 1.00
上原(広陵) 01/3 1.17
◆ベンチ入りメンバー◆
10 坂本(文4=履正社) 菅野(法4=東海大相模) 髙山(文4=日大三)
11 上原(商4=広陵) 山下(政経4=佼成学園) 小倉(文4=関西)
17 柳(政経3=横浜) 13 西村(農4=智辯学園) 宮内(政経4=習志野)
18 星(政経3=宇都宮工) 27 佐野恵(商3=広陵) 15 吉田大(国際3=佼成学園)
19 齊藤(政経2=桐蔭学園) 33 川合(政経4=倉敷商) 14 竹村(政経2=浦和学院)
23 水野(農2=静岡) 石井(営4=履正社) 38 東原(商2=天理)
31 金子(商1=春日部共栄) 35 青野(商4=広島国泰寺) 39 逢澤(文1=関西)
高橋亮(政経4=前橋育英) 上西(営4=明大中野八王子)
12 牛島(営2=門司学園) 16 生山(営2=明大中野八王子)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第6週 5/16現在
早大 ○○    ○△○ ○○ .857
法大 ●● ○○ ○○ ●○○    .667
慶大      ●● ○●○ ○○ .625
明大 ●● ●○●    ○○ .500
立大 ●△● ○●●    ○○ .375
東大 ●●    ●● ●● ●● .000

試合後のコメント
勝ち越しの適時打を放った坂本

「(打った球は)外から入ってくるスライダーかカーブです。打つしかなかったですし、何とかしたい思いでした。前の打者の菅野が出てくれると思っていたので、自分で決めにいこうと打席に入りました。(前進守備をされていたが)まず打球を出そう、高い球を狙って外野に飛ばそうとは思っていました。チームとしてゴロアウトが多かったので、打つゾーンを上げて待っていました。もう1つも落とせないし、早稲田に目の前で胴上げされるのを見たくなかったのでよかったです。チームとしては1つずつ勝っていこうと言っていて、今日はチームとして勝てました。誰が打っても抑えてもいいです。うちの野球ができました。(第一打席の凡退)狙っていたスライダー、カーブ系の球がきて打ち損じました。ただ、あのおかげで自分自身センター中心を意識できるようになりました。右打者が同じやられ方をしていたのが、センター方向を向けるようになって、そういったことが勝ちにつながりました。(1週空いたが)4年生中心にやることを意識しました。チームとしても根本的に勝てない理由がわからない状態だったので、まず練習から声を出しプレーも見直しました。秋に向けて勝つことを見据えて、つめるところをつめ切り、試合では思いきりできるように取り組んでいます。新チーム当初できていたことがだんだんできなくなり、チームとして同じ方向を向いていないと感じていました。やることを見直し意識を高めています。(細かな投手継投について)監督としてもチーム、選手へのメッセージですし、選手もそれを受けて応えられるようなプレーをできました。打者1人でもきちっと抑えるとこういう試合ができますし、勝ちにつながっていきます」

大学初打点が貴重な先制打となった青野
「監督からスタメンを言われたのは昨日の朝です。「よっしゃ来たか!」という気持ちで、ずっとわくわくしていました。空き週は、大竹投手をイメージして素振りやバッティング練習をやってきました。大竹投手は球速はそんなに速くはないんですけど、ノビがあってコントロールがとてもいいという印象ですね。(先制の適時打は)逆方向に打球を飛ばすように言われていました。凡退してもいいのでとにかく逆方向にいい当たりを、という意識が結果につながったかなと思います。狙い球などはしぼらず、とにかく無心で打ちました。打った球はストレートです。ここまで就活もしながらの状態で、どちらも中途半端にならないように頑張ってきたので、野球で結果が出て本当にうれしいです。自分の持ち味はとことん泥臭く、というところです。あとは粘り強さやガッツといったところですね。見ての通り、1打席目からどろどろになったので、泥臭さを発揮できたと思います。(明日以降は)何としても早稲田から勝ち点を取って、しっかりその後も勝って、秋以降にいい形でつなげるシーズンにしたいです」

最後の打者を三球三振に切って取った上原
「もともともっとはやい展開で出る予定だったんですけど、柳が頑張ってくれました。最後負担を減らしてくれたので良かったです。自分たちは追い詰められている立場で、早稲田とは間逆。どうしても不利な立場からの試合になってしまうと思い、そうならないように向こうよりも気持ちを高く持っていようと自分の中で意識しました。一人抑えてあれだけ嬉しかったことはないです。無敗でここまできていた早稲田に一敗をつけることができたというのは相当嬉しいことだと思います。そうしない限り、優勝させてしまうので。タイミングというのは得に言われていなかったです。監督が出てきたらいくぞといわれていて、中澤のところだろうなとは予想して、そこに照準を合わせて気持ちも入れていました。一応全力で。自然というよりかは意識していました。そこで走って行くことによってその勢いをそのまま自分のプレーにつなげられるかなと思って。3球で決めるというのは全く頭になかったです。とりあえず抑えて、終わらせるということを考えていました。何球でも投げるつもりで立っていました。最後はスライダー。今日の試合が本当にうちらしい試合。苦しい中で粘って、つないで、突き放して、最後凌いで。そ自分たちにとっても勢いがつく勝ち方かなと思うので今日のゲームはすごい良いゲームでした」

最終回の勝ち越し劇を生み出した菅野
「法大に負けたその日は落ちてたんですけど、次の日になったら全然暗い雰囲気はなかったです。リーグ戦は負けても続くので、4年生が引っ張っていこうということでやってきました。自分はホームランを打てるかといったら、そう簡単には打てないので、最終回は出塁することだけを考えていました。今はいい状態をずっと維持できています。明日も来週もあるので、これを続けていけば結果はついてくると思います。連敗したら胴上げされるという意識はありました。これまで優勝していない時はほとんど(胴上げを)見ているので、それはどうしても避けたいと思っていました。みんなその事は知っていたと思うけど、チームとしてそれを意識するということはなかったです。早稲田にパンパンと勝って、リーグ戦を面白くできればいいなと思います」

先発し試合をつくった柳
「最初変化球が全然入らなくて苦しかったんですけど走者が出ても粘りながら投げられたので良かったかなと思います。1点もやらないという気持ちで投げました。試合終盤まで緊迫した試合をつくれたので最低限の役割は果たせたかなと思います。逆に直球は制球もできていましたし、空振りも取れていたので良かったかなと思います。(齊藤について)打たれるが気しないですね。齊藤以外にもいいピッチャーはいっぱいいるので、信頼できる投手陣だと思います。(オフの取り組みの成果は)まだまだかなと思いますね、春まだ終わってないですけど優勝は厳しい状況なので、秋に向けて自分の色んな課題を持ちながらやっていきたいと思います。どうしても中盤に打たれてしまうので、それを乗り切るスタミナだったり考え方だったりを変えていきたいです」

好投で今季初白星をつかんだ齊藤
「今日は久しぶりにリーグ戦で投げたんですけど自分の中でも結構いい感じで投げられたんでよかったと思います。最近は少し調子を落としていて自分でも納得いかない球というのが多かったんですけど今日は自分の感覚の中でいいなという球が多かったです。ストレートは自分はスピードよりもキレだったりを気にしているので最速というのはあまり気にしていないんですけど、バッターが打ちづらければいいかなと思っています。(4奪三振について)取れているのはいいと思うんですけど、四球を1個出したり最終回の先頭打者を抑えられていないです。そういうところに課題が上がっているのそういったところを気にしてこれからもやっていきたいというふうに思っています。これからも自分のできることを1個1個消化していくだけだと思うので自分のやれる最大限のことはやっていきたいと思います」