
打線沈黙で完封負け 法大に勝ち点献上/東京六大学春季リーグ戦
本塁が遠かった。今季初先発の室木(法大)の前に1点も奪えず完封負けに終わった。6回2死の場面で5番寶田慎太郎外野手(営4=東北)がフルカウントから一塁手の手をそれるライナー性の強い当たりを放つと、持ち前の俊足を生かし二塁にスライディング。続く松原の左前安打で三塁に進んだが、吉田由宇主将(法4=日本文理)が三振に切って取られ、今試合唯一の好機を逃した。「打てないピッチャーとは思ってなかったので満足いかない」(吉田)と9回159球と球数を稼がせたが、5安打を放つのが精いっぱいだった。
粘りの投球も法大打線を止めることはできなかった。先発の小田は初回三者凡退に抑え立ち上がりこそ安定したものの「ストライク先行でいく意識は良かったが甘いところに行き過ぎた」(小田)と2回2死二塁で7番永田(法大)に中前適時打を浴び先制を許した。「内容は悪くなかったが負けは負け。ピッチャーが3点取られたのはダメだった」と13安打3失点で完投したが、エースとして敗戦の責任を背負い込んだ。

やっとの思いだった。7回1死から酒井翔弥外野手(法3=東北)が今季初長打を放った。内角高めの直球を振り抜くと風に乗り、打球は中堅手の頭上を越え二塁打に。後続が倒れ得点には結び付かなかったものの「完全に楽になったわけじゃないが気持ちの余裕はできた」(酒井)と安堵(あんど)の表情を浮かべた。毎試合スタメン出場していたが19打数2安打と不振にあえいだ。「こんなに打てなかったことはなかった」(酒井)と今季から長打を意識する打法を試みたが、振るわなかった。「低く強い打球を打っていたからこそ今まで打率を残していた」と、元のスタイルに戻したことが結果につながった。「酒井らしい当たりが出るとチームも楽になると思う」(吉田)とキーマンの酒井の復調を打線奮起の足掛かりにしたい。
実力不足が露呈してきた。東大、慶大と2カード連続で勝ち点を奪取したが、慶大1回戦では延長にもつれ込むなど危うい試合展開の中での勝利だった。今季ここまでのチーム打率は.295と伸び悩み、不振が続いている。「0点に抑えても1点も取れないと勝てない」(吉田)と打線の不調に頭を悩ます。次に迎えるのは右の本格派・谷、加藤を擁する立大。直球先行の投手に「逆方向に低く強い三遊間を抜けていくような打球」(酒井)を打てるかがカギとなる。勝ち点は落としたものの、優勝の可能性はまだ十分に残っている。残り2カード決死の思いで戦い抜く。
[橋本杏菜]
試合後のコメント
吉田
「昨日は打たれたが、特に怖いイメージはなかった。小田がエースの意地を見せてくれればいいかなと思って、そんなに警戒することなく良いバッターだけ集中すれば(点差は)広がらないと思っていた。その点小田はよく投げてくれたと思う。ただ打てなさすぎだった。0点じゃ勝てない。0点に抑えても1点も取れないと勝てない。嫌なイメージを持っているわけじゃないが調子だったり、攻撃がちぐはぐな部分がある。空き週なのでもう少しバッターの意識を変えて試合に臨まないといけないと思った。(ヤマ場になって実力が見えてきたか)多少打っていたかもしれないが相手のミスにつけ込んでという形で勝ってきたが、ミスをしないチームに当たれば相手からチャンスをもらえるわけじゃないので自分たちから切り替えていかないといけない。(練習は)重点的にバッティングに時間をかけてやるというのも一つだが数をこなすしかない。あとは意識。ピッチャーが頑張っているんだからピッチャーのために打とうという声が掛けが必要。(法政の室木は)打てないピッチャーとは思ってなかったのでちょっと満足いかないというか、向こうが頑張っていたので崩せなかった。(法政は強いイメージがあるか)とにかくバッティングが良いイメージがあるので、自分はキャッチャーなので守備の面で怖いってわけじゃないが意識する部分はある。バッティングが良いチームなので特に中軸の橘、中村の前にランナーを簡単に出してしまうと失点につながるのでそこをしっかり抑えられないと勝てない。(新しいメンバーは出す機会は多いか)ここから立教、早稲田と強いチームが来るのでリーグ戦だがトーナメントみたいな試合運びになると思う。どんどん良いやつを使っていかないといけないので、必然的に若い力を使うことになる。(酒井の今季初長打は)あの前にバントでミスしていたので何とか取り返そうとしてくれて打ってくれたと思う。酒井らしい当たりが出るとチームとしても楽かなと思う。(立教は)六大学の中でも良いピッチャーが2人いる。結局どのピッチャーがきても打たないといけないので打ち勝つということが大事。(他のチームは試合が雨で流れているが)まだ消化できてないカードもあって他大はモチベーション的にも難しいところがあると思うので1カード落としただけで優勝がなくなるわけじゃないのでこれからが勝負だと思う。残り4試合で一つも落とさず勝つことが大事だと思う」
小田
「負けは負けなのでピッチャーが3点取られたのはダメだった。自分の責任だと思う。(先制点は)不用意にいってしまった。ストライク先行でいく意識は良かったが甘いところに行き過ぎた。もう少し散らしていく必要があった。(3度目の登板だが調子は)東大、慶応と来て調子は間違いなく上がっている。今日打たれたが、悪くはないので負けたら言えないが内容的には良かった。(ポイントとしていたところは)1戦目悪い流れできて2戦目もすごくふがいなかった。ピッチャー取られたので言い訳にはならないので今回のことはもう終わったことなので切り替えて次に向かっていきたい。(法政の打線は)三振取りにいったボールも打たれますし厳しいところ投げたつもりでも打たれるので、純粋に強いという印象を受けた。ここっていう場面はないがストライク追い込んでから無駄にストレート投げてカットなりヒットなりされている。(次勝つために)法政は終わったことなので、勝ち点落としたからと言って優勝がなくなったわけではないので一戦一戦しっかり戦っていきたい」
酒井
「(今季初長打は)風のおかげですね。やっと久しぶりにヒット出て完全に楽になったわけじゃないが気持ちの余裕はできたかなと思う。(これまでプレッシャーは)ずっと試合に出してもらってこんなに打てなかったことはなかったので気持ちの面でも余裕なかったし、焦りがあった。(練習の中で変えていこうと)今までは最初4番5番出してもらって長打を打てるようなバッティングを意識したが、低く強い打球を打っていたからこそ今まで打率を残していたので、自分の今までのスタイルに戻すために強い打球を、というのを練習では意識したつもり。(打てなかった要因は感じていたか)あまりつかめてなかったのでこれからまた、完璧に上がったわけじゃないのでビデオ撮ってもらうなり見てもらうなりして探さないといけないと思う。(ポイントは)強いて言えば体の捻りがちょっと早くてバットが外から出ているという感覚があるのでバットを内から出して体をできるだけ開かずに打てるようにするのが今の課題だと思っている。(法政のピッチャーは)特に苦手とは思っていないがこれだけ打てなかったのはうちの振りの鈍さが出たと思う。(強い相手になって)東大、慶応が弱いわけではなかったですしうまく打線がつながったというか一方的に萩谷や多々野が打っていた印象が強かった。どうしても打てないと打線がつながらないのでいかに後ろにうまく回して効率良く打線を回せるかがカギになると思う。(立大戦でのポイントは)バッティングメインのチームなので谷さん、加藤さんという良いピッチャーもいる中で打ち崩すには引っ張ることも大事だが逆方向に低く強い打球で三遊間を抜けていくような打球を打っていかないと対戦できないと思う。ストレートで押してくる、ストレートに自信があるボールというのを思っているのでその真っすぐをどれだけ打てるかが次の立教戦で点を取れるか取れないかの差だと思う」
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