
15残塁の拙攻響き慶大に勝ち点許す/東京六大学春季リーグ戦

打球の行方を確認すると、マウンドにしゃがみ込んだ。先発の柳は6回、先頭の3番谷田(慶大)を6個目の四球で歩かせてしまう。すると続く4番横尾に投じた2球目。118㎞の緩い球を完璧に捉えられ、高々と舞い上がった打球は左翼席中段へ飛び込んだ。主砲に浴びた手痛い一発は均衡を破る先制2点本塁打となった。緩急を生かした投球が武器の柳。直球にも強弱をつける技術を持つが「弱い方の真っすぐを打たれてしまった」と痛恨の一球を悔やんだ。昨季は横尾に打たれた1本を含む4本の被弾を許し「本塁打は流れを悪くするので減らしていきたい」と今季に臨んだ。しかし一昨日の慶大1回戦に続きこの試合でも横尾に被弾。「いつも同じようなやられ方をしているので、もう一度バッテリーで考え直さないといけない」(坂本誠志郎主将・文4=履正社)。5回までに5四球を献上しながらも相手を2安打6奪三振に抑える粘りの投球をしていただけに、悔やまれる本塁打だった。味方打線がなかなか得点できず緊迫した雰囲気での投球を強いられたが「自分の立場的にそういうところで粘れないといけない。先に点を与えてしまった自分のせい」と敗戦の責任を一身に背負った。
要所で慶大投手陣に封じられた。打線は初回から毎回のように走者を得点圏まで進めるも、あと一本が出ず。9イニング中得点圏に走者が進んだのは7イニングだったが、慶大投手陣の前に築いた残塁数は15。慶大の4本を上回る9本の安打を放ちながらも拙攻に泣いた。象徴的だったのは5回、先頭の菅野剛士外野手(法4=東海大相模)が左翼手の頭を越える二塁打を放った直後の石井元内野手(営4=履正社)の打席。犠打を試みたが、打球は投前に転がり三塁で封殺。絶好のチャンスをつぶしてしまった。
反撃の一打を放った。2点を先制されたのちの7回、四球と暴投で1死三塁のチャンスをつくると、打席には途中出場の竹村。内角直球を右前へはじき返し、1点を返した。150㎞の剛速球を投げ込んでくるエース・加藤拓から、この日チーム唯一の打点を挙げた。5回に迎えた1打席目では変化球を引っかけ二ゴロに倒れる。前日の練習中に善波達也監督からもらった「バットを短く持って強くぶつけることを意識しろ」とのアドバイスを生かし、2打席目では修正。練習の成果を神宮の舞台で発揮した。
またしても慶大から勝ち点を奪えなかった。しかし「リーグ戦はまだまだここから」(坂本)。2安打した高山俊外野手(文4=日大三)など、打線は中心選手が本来の調子を取り戻してきている。投手陣では2回4奪三振の星知弥投手(政経3=宇都宮工)や慶大2回戦で好投した水野匡貴投手(農2=静岡)なども調子を上げている。次週の相手は、熊谷、森田(ともに法大)ら新戦力の台頭で勢いに乗る法大。好調のチームに勝利してこちらが勢いに乗りたい。
★星最速149㎞ 2回4K!★
一際大きな存在感を放った。7回から登板した星が4奪三振の好投。勢いのある直球は最速で149㎞をマークし、慶大打線を0点に抑えた。竹村の適時打で1点を返した直後の7回裏には2連続奪三振で2死を取ると、最後は1番梅野(慶大)を1球で投ゴロに仕留め打線に逆転の望みを託した。慶大2回戦では6回から救援した水野が好投。前日に続き明大投手陣の層の厚さを見せつけた。
[原大輔]
打順 | 守備 | 名 前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (中) | 髙山(日大三) | 5 | 2 | 0 | .250 | 右安 | 中飛 | 右安 | 二飛 | 右飛 | ||||
2 | (左) | 小倉(関西) | 4 | 1 | 0 | .400 | 四球 | 二ゴ | 右飛 | 中安 | 三振 | ||||
3 | (一) | 佐野恵(広陵) | 5 | 0 | 0 | .267 | 一併 | 一ゴ | 三振 | 三振 | 中直 | ||||
4 | (右) | 菅野(東海大相模) | 3 | 2 | 0 | .357 | 四球 | 四球 | 左二 | 投ゴ | 遊安 | ||||
5 | (三) | 石井(履正社) | 2 | 1 | 0 | .286 | 四球 | 左二 | 投ゴ | 四球 | 一ギ | ||||
6 | (二) | 渡辺(横浜) | 2 | 0 | 0 | .154 | 三振 | 左飛 | |||||||
打二 | 竹村(浦和学院) | 3 | 1 | 1 | .143 | 二ゴ | 右安 | 遊ゴ | |||||||
7 | (捕) | 坂本(履正社) | 3 | 0 | 0 | .091 | 三振 | 二飛 | 四球 | 四球 | 三邪飛 | ||||
8 | (投) | 柳(横浜) | 3 | 1 | 0 | .125 | 中安 | 二飛 | 三ゴ | ||||||
打 | 上西(明大中野八王子) | 1 | 0 | 0 | .462 | 三振 | |||||||||
投 | 星(宇都宮工) | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
9 | (遊) | 宮内(習志野) | 3 | 1 | 0 | .143 | 左安 | 四球 | 中直 | 三ゴ | |||||
計 | 34 | 9 | 1 | .218 | |||||||||||
名 前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 球数 | 安 | 振 | 球 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
●柳(横浜) | 3 | 1 | 2 | 6 | 104 | 3 | 8 | 6 | 2 | 2.84 |
星(宇都宮工) | 4 | 0 | 0 | 2 | 34 | 1 | 4 | 1 | 0 | 0.00 |
10 | 坂本(文4=履正社) | 7 | 菅野(法4=東海大相模) | 1 | 髙山(文4=日大三) |
---|---|---|---|---|---|
11 | 上原(商4=広陵) | 3 | 山下(政経4=佼成学園) | 8 | 小倉(文4=関西) |
17 | 柳(政経3=横浜) | 27 | 佐野恵(商3=広陵) | 6 | 宮内(政経4=習志野) |
18 | 星(政経3=宇都宮工) | 4 | 大塚(商4=花咲徳栄) | 15 | 吉田大(国際3=佼成学園) |
21 | 島田(政経3=佼成学園) | 14 | 竹村(政経2=浦和学院) | 24 | 渡辺(政経1=横浜) |
23 | 水野(農2=静岡) | 5 | 石井(営4=履正社) | 26 | 吉田有(商1=履正社) |
31 | 金子(商1=春日部共栄) | 35 | 青野(商4=広島国泰寺) | 38 | 東原(商2=天理) |
12 | 牛島(営3=門司学園) | 9 | 上西(営4=明大中野八王子) | ||
22 | 中道(商3=智辯学園) | 16 | 生山(営2=明大中野八王子) |
早 | 法 | 明 | 慶 | 立 | 東 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝ち点 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早大 | — | ○△○ | ○○ | 5 | 4 | 0 | 1 | 2 | 1.000 | |||
法大 | — | ○○ | ●○○ | 5 | 4 | 1 | 0 | 2 | .800 | |||
明大 | — | ●○● | ○○ | 5 | 3 | 2 | 0 | 1 | .600 | |||
慶大 | ●● | ○●○ | — | 5 | 2 | 3 | 0 | 1 | .400 | |||
立大 | ●△● | ○●● | — | 6 | 1 | 4 | 1 | 0 | .200 | |||
東大 | ●● | ●● | — | 4 | 0 | 4 | 0 | 0 | .000 |
試合後のコメント
最後の打者となってしまった坂本主将
「あと一本がなかなかでなかったです。本当にあとそこだけです。次までに何とかしたいです。チャンスはつくれたので、いい攻撃はできていました。柳は粘り強く投げました。でも、いつも同じようなやられ方をしているので、もう一度バッテリーで考え直さないといけないです。リーグ戦はまだまだここからです。どうなるかはわからないし、勝率差もありますし、可能性はまだまだあります。その可能性を少しでも残せるようにしていきます」
2安打を放ち復調の兆しを見せた高山
「もう一本打っていれば勝てたかもしれない、という場面で打てなかったです。2本ヒットは出ましたが、その2本で終わってしまうというところが今の自分の足りないところだと思います」
粘りの投球も報われなかった柳
「調子は悪くなかったですけど、丁寧に行こうとしすぎて四球が多かったです。粘れていたのでそこは良かったかなとは思うんですけど。(調子は)特別悪かったわけではないです。抑えていたんですけど、0-0のロースコアだったので一発に注意しようとずっと考えていたのにそこでホームランを打たれてしまったので、自分の責任だなと思います。(打線が好機をつくりながらも得点できず)自分の立場的にそういうところで粘れないといけないと思うので、先に点を与えてしまった自分のせいだと思います。(6回先頭谷田に四球)谷田さんからだったので、慎重に行きすぎたかなというのはあります。(横尾のホームラン)自分は真っ直ぐに強弱をつけるのですが、弱いほうの真っ直ぐを打たれてしまいました」
7回に適時打を放った竹村
「(タイムリーについて)打ったのは内側の真っすぐです。途中出場だったのでピンチで粘って、チャンスをつくってくれたみんなの期待に応えたいという気持ちでした。昨日の練習から監督にバットを短く持って強くぶつけることを意識しろとを言われていて、それが神宮の打席でやっとできて良かったなと思います。(最終回は)またチャンスで回してもらったので、どんな形でも後ろにつなげようという気持ちだったのですが、自分の勝負弱さであそこでアウトになってしまったので悔しいです。法大戦では出られる機会があれば自分のベストを尽くしたいです」
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