
多々野サヨナラ打! 慶大とのシーソーゲームを制す/東京六大学春季リーグ戦
会心の一打で試合を決定づけた。9回裏2死から3回に自らの失策で相手に一時勝ち越しを許した鈴木太朗内野手(法2=大船渡)が打席に立つ。「この展開になったのは自分の責任なので何としても塁に出て多々野に良い形で回せるように」と遊撃手へのゴロを執念のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取った。「狙っていた」(鈴木)と多々野の打席の2球目を盗塁。相手捕手の送球が高くなり外野に抜けていくミスもあり2死三塁とチャンスを拡大した。その後多々野が6球目内寄りのチェンジアップを引っ張り「打った瞬間越えたと思った」という打球は高い放物線を描き右翼手の頭上を越えサヨナラ打となった。
好調を維持している。多々野はこの日猛打賞の活躍を見せ先制点、同点打、サヨナラ打と多くの得点に絡んだ。春季リーグ戦は3試合終わり11打数7安打1本塁打10打点と驚異的な成績を残している。「変に考えずに打席に立っていることで力が抜けてリラックスできている」(多々野)と自身が好調の要因を語る。「春季リーグ戦は本塁打2本を目標にしている」(多々野)。多々野の好調が維持され目標が達成されれば優勝もおのずと見えてくる。
収穫と課題の見つかった試合だった。昨年肩の手術をし復帰したのは昨秋立大との練習試合。今シーズンに入ってからも5試合に登板し徐々に調子を上げていった。そして今試合でケガ明け後初完投。「エースが良く投げてくれた」と吉田由宇主将(法4=日本文理)もエースの力投を称えた。だが「悪い流れを切ることができなかった」と逆転を許した3回と7回の投球に悔しさをにじませた。「点を取られないことが投手の仕事だと思うのでそれを目標に頑張っていきたい」と小田。優勝へ向けて今後のエースの力投に期待が懸かる。
「昨年秋の慶大戦のことはよぎった」と吉田主将は語る。慶大は昨秋引き分け2試合をはさみ49イニングの熱戦を繰り広げた相手。その1回戦でも加賀谷至(平27法卒)のサヨナラ打で勝利しており今回と展開は似ていた。「昨年のような厳しい戦いになると思うがどんな苦しい場面でもベンチ全員で勝ちに向かっていければ結果はついてくる」と吉田主将。今年のチームは試合に出る出ない関係なくベンチ全員で良い雰囲気をつくることができている。チーム一丸野球で慶大に勝利し2連勝で勝ち点奪取を狙う。
[常光純弘]
試合後のコメント
吉田主将
「エースが良く投げてくれた。打者の援護も少なかったし守備でも自分がミスして点に結びつけさせてしまったで小田には苦しい中で投げさせてしまった。今日は小田に変えないから最後まで投げろと伝えていたのでその通り気持ちで負けずに最後まで投げてくれたので小田に感謝したい。打線は振れてるわけでも振れてないわけでもない。大事なところでしっかり打ってくれる。誰とは限らずベンチ全体で盛り上がって打者に打たせるという雰囲気をつくることができている。日頃から言っているが出てる出てない関係なく全員で勝ちに行くということが東大の2戦目や今日もできていたと思う。打者はもう少し援護欲しい。昨年秋の慶大戦のことはよぎった。ただ昨年から負けてないので負けるとは思っていなかったし昨シーズン同様厳しい試合だったが負けることはないと思っていたので気持ち的にも優位になったと思う。昨年と同じサヨナラだが2死からでもここで決めるしかないと声も出ていたのでベンチが一つになってくれたと思う。普通にやれば勝てる相手なので自分たちのできることをしっかりやろうと言っていたが普通にやるということが難しい。良い意味で見下して昨年のような厳しい戦いになると思うがどんな苦しい場面でもベンチ全員で勝ちに向かっていければ結果はついてくると思う」
小田
「しんどかった。結果的に最後勝てたというのがチーム的にも大きいと思う。ケガ明けから初めて9回を投げ切ったことも大きいと思う。リリーフ投手はそろっているので完投ということを考えないで投げれるのは大きいが自分が投げれるときは投げ切らないといけないのでそういう点では良かったと思う。3回は二塁手と捕手のミスがあったが野手がつくった悪い流れを切ることができなかったことが一番良くなかった。ズルズル引きずっていってしまったのがいけなかった。7回も悪い流れを切ることができず点を取ったあとに点を取られてしまったのは反省したい。今日の球の状態は良かったと思う真っすぐも変化球も良かったが決め球が甘く入り打たれてしまったので球は良かったが詰めが甘かったことも反省点。目の前の一つ一つの試合に勝てるようにしたい。個人的には点を取られないことが投手の仕事だと思うのでそれを目標に頑張っていきたい」
鈴木
「この展開になってしまったのは自分の勝ち越しのエラーが大きいと思うのでしっかり守らないといけない。次回からはどんな状況でもミスがないようにしたい。9回はこの展開になったのは自分の責任なので何としても塁に出て多々野に良い形で回せるように打席に立った。盗塁は初球から狙っていたが一球はさんだ方が良いと思ったので2球目で走った。バッティングの状態は悪くはない。自分は後ろにつなぐことを常に考えているのでどんな形でも出塁すればいい。明日は今日のような展開にならないように序盤から先制して自分たちのペースで試合を進めていきたい。あとミスを無くしていきたい」
多々野
「苦しい試合展開で取って取られるの繰り返しで最後大事なところを抑えて粘り勝ちできたのでチームとして成長できていると思う。今打席で何も考えていないので逆にそれがいいのかなと。変に考えずに打席に立っていることで力が抜けてリラックスできているのが好調の要因だと思う。自分たちはあまり先制点が取れていないので先制すれば良いリズムで試合運べるかなというのもあって1本欲しい場面で打てたのは良かった。サヨナラ打は内寄りのチェンジアップ。打った瞬間越えたと思った。チームとしてはリーグ優勝して全日本に出ることが目標なのでまず目の前のことをしっかりやれば結果はついてくると思う。個人的には春季リーグ戦は本塁打2本を目標にしているのでそれを達成できるように頑張っていきたい」
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