9回に打線がつながり勝ち越し 慶大から勝ち点奪取/東京六大学春季リーグ戦

2015.04.20
9回に打線がつながり勝ち越し 慶大から勝ち点奪取/東京六大学春季リーグ戦
 投手戦を制した。春季リーグ第3節慶大2回戦。9回に鈴木太朗内野手(法2=大船渡)のセーフティーバントから四球をはさんだ4連打で勝ち越しに成功し、4-1で制した。4回先頭の萩谷直斗内野手(営3=水城)の右越え本塁打で先制したものの、6回先発の篠原匠投手(政経2=明大中野八王子)が自らの失策も絡み同点に追いつかれる。それでも8回から登板した薄田寛也投手(農3=日本文理)が試合の流れをつくり9回の勝ち越しへつないだ。

 最終回に打線がつながった。同点の9回。これまで苦労していた竹原(慶大)から2番鈴木がセーフティーバントを試みると一塁線へ絶妙なバントとなり、相手捕手の有賀(慶大)が送球時に姿勢を崩し出塁に成功する。「後ろにつなぐ気持ちで」と打席に立った多々野の残した打球は右中間へ。田口(慶大)が滑り込んで捕球を試みるも打球はグラブを弾きボールが転々と転がる。そのスキに鈴木がホームインし勝ち越し適時二塁打となった。さらに4番寶田慎太郎外野手(営4=東北)が放った右中間への高い打球がフェンス直前でワンバウンド、そのままフェンスを越えるエンタイトルツーベースとなり追加点を奪う。相手投手がアンダースローの宮野(慶大)に交代した直後も6番久保田駿内野手(法2=広陵)が5球目を捉え二遊間をライナー性の当たりで抜けていくと寶田の好走塁もあり点差を広げ試合を決めた。

好守共に調子を取り戻しつつある久保田
好守共に調子を取り戻しつつある久保田

 不調を脱しつつある。この日久保田は2安打。関東選手権で結果を残せなかったが、春季リーグ戦から打撃フォームを変えその成果が実った。「守備の方で迷惑をかけているのでバッティングで返すという思いが強かった」(久保田)。今シーズンから遊撃手に転向したが関東選手権から失策が多かった。「腰が高い」(久保田)と原因も分かっており改善され今試合でも好守を見せていた。「これからリーグ戦ではエラーしないようにしたい」と久保田。久保田が攻守で躍動し明大優勝の原動力となる。
 
 自らのミスでピンチを広げるも最高の一球から立て直した。1点リードの6回。篠原が先頭の有賀に10球粘られ四球を許す。さらに一塁へのけん制球を一塁手・萩谷の取れないところへ投げてしまい無死二塁とピンチが拡大。竹原の三塁方向へのバントも篠原の送球が高くなりそのスキに有賀が本塁に返り同点を許してしまう。さらに「篠原が自分のエラーで苦しんでいるところをさらに追い打ちを掛けるようなことをしてしまった」と萩谷もバントの送球がワンバウンドし逆転の危機。だが「自分の中でも成長を実感できた一球」(篠原)と3ボール2ストライクから猪砂(慶大)への8球目。インコースへの真っすぐに猪砂も反応できず見逃し三振に抑えた。その後は調子を取り戻し、逆転を許さず最少失点で抑え流れを相手に渡さなかった。

 次節は法大と対戦する。エースの末次(法大)は春季リーグ戦で早大を完封し立大のエース・谷にも投げ勝ち好調を維持している。だが昨秋は末次を6回4失点でマウンドから引きずり下ろしており「左バッターが多いので末次に苦手意識を持っていない」と渡邉大輝主務(法4=明大中野八王子)も攻略に自信を持っている。「大事なのは初戦」(渡邉)。まずは末次を打ち崩し法大戦勝ち点奪取へ弾みをつける。
 
[常光純弘]

試合後のコメント
渡邉主務

「前半は淡白で萩谷のホームラン1点のみで不安な部分もあったが(篠原)匠が結構良かったのでこのままいってくれれば良いのともうちょっと点が欲しいなというのと大丈夫かなというのも正直あった。途中から匠のエラーがあったりしてもう少し前半に点が欲しかった。流れを持って来れなかった。この2試合で良かったところは勝負強く点を取れたこと。いいところを伸ばしていって法政、立教、早稲田と続けていければと思う。終盤に点が取れれば相手も驚異になってくると思うのでそういうところから明治のイメージを良くして抑えられるようにしたい。(法政戦は)勝負はここからだと思う。末次もいいピッチャーで法政は強いと思うが、結果チームプレーなのでうちらの流れをよく取れたら勝てる相手なので、こっちはしっかり2カード取っている時点で、雨などで法政は3カードが終えられていない状態。ちぐはぐしている状況なのでうちらが流れに乗って2戦で終わらせたい。大事なのは初戦。末次だと思うので末次をしっかり取れるかが重要。(末次を攻略する上で)うちは左バッターが多いので末次を元々苦手意識を持ってないと思うのでそのままのイメージで左がしっかり打ってくれれば負ける相手ではないと思う。バッティングに関しては調子もいいしそんなに心配してない。あとは守備をこの1週間で見極めていく」

萩谷
「勝負強いのは良いがもう少し早めにエンジン掛けないとここからの3チームだったらやられてると思うのでこの1週間で修正していけたらと思う。(4回の本塁打は)甘いところに来たので思いっ切り振ったら入ったがそれよりも記録に残るエラーが出てしまったので反省している。(球は)まっすぐだったと思うがサイドから投げるので変化するボールが多かった。バットの先だったがいい感じに飛んでくれたのでホームランに関しては良かった。(6回はバント処理のミス)あの場面は篠原が自分のエラーで苦しんでいるところをさらに追い打ちを掛けるようなことをしてしまったので、エラーの中でも悪い方のエラー。(エラーで点を取られてしまった点は)篠原が自分で自爆した感じで高めに来たら野手はどうしようもないのでそこは篠原に調整してもらいたいが、そういうときこそ自分がいいプレーというか当たり前のプレーして止めるべきだったが自分も同じようなミスをしてしまった。でもそこから篠原が踏ん張って来たので何とか最少失点だったので良かった。篠原を助けてあげられなくて申し訳なかった。(法政戦の戦力は)すごい打つと思うので今日のようなエラーをしていたらやられてしまうので、エラーをしないように。エラーするにしても前に行って思いっきりやったエラーだったらいいが、今日みたいに当たり前で取れるところをエラーするときついと思うので、守りから集中したい。(末次は)ホームラン打ったことがあるので打てると思う」

久保田
「打線がボール球を打って相手投手を助けたりしたが最後集中打で勝てたというのはチームの力だと思う。関東選手権から結果を残せなかったので春のリーグ戦から打撃フォームを変えてみてそれが今日はうまくいったので結果が出たと思う。守備の方で迷惑をかけているのでバッティングで返すという思いが強かった。変速投手は得意ではないのでボールを見てセンターを中心にというのを心掛けた。最近守備で腰が高くなってしまっているので日頃の練習から意識してこれからリーグ戦ではエラーしないようにしたい。末次さんは去年の春から対戦しているのでどんな投手かは分かっている。良い投手なので甘い球を逃さずに打っていきたい。」

篠原
「序盤はいつも通り投げることができたが中盤からは粘ることができなかった。6回は先頭に四球を与えてから切り替えられず自分のけん制ミスとバント処理でエラーしてしまい自滅してしまった。だが、無死二、三塁のところで猪砂さんにインコースの真っすぐで見逃し三振を取れたのは自分としてはとても良かったし自分の中でも成長を実感できた一球だった。球は悪いとは思わなかったが吉田さん(由宇主将・法4=日本文理)が球の走りが良くないと言っていたので打たしていこうと思いその結果1安打で抑えられたのは良かった。法政戦は昨年からあまり得意ではないが自分の投球を心懸けてチームの勝利に貢献したい」

多々野
「勝てたことは良かった。サイドの投手は得意だったがクイックなど工夫されて良いように抑えられてしまった。外角の対応ができていなかった。最後は長打が欲しい場面だったが狙って打てる打者でもないので後ろにつなぐことだけを考えた。芯ではなかったので抜ければいいかなという感じ。いいようにボールが転がってくれて良かった。末次さんはコントロールがいいので狙い球を絞って一球で捉えられるようにしたい。法政戦から厳しい戦いが続いていくのでチャレンジャー精神を持って戦えるか。ここまで全勝してきているので初戦を勝って勢いをさらにつけたい」