徳山大に完勝 格の違いを見せつけコールド発進/明治神宮大会

2014.11.16
 徳山大に9─0で勝利し、力の差を見せつけた。先発の山崎福也投手(政経4=日大三)が5回を無失点で投げ切ると、後ろを任された投手陣4人も無失点に抑えて完封リレー。打線は初回に石井元内野手(営3=履正社)の中前適時打で2点を先制すると、5回まで毎回得点と攻め立てた。大会規定により7回コールド勝利。難なく初戦をものにした。

 完璧に封じ込めた。重要な初戦のマウンドを託されたのはやはりエース山崎だった。その山崎は立ち上がり、先頭打者から直球で見逃し三振を奪うと、その後もテンポ良く投げ続けた。「変化球を低めに放ろうという意識が強かった」(山崎)と丁寧な投球で打者を手玉に取った。5回には連打を浴び2死一、三塁の場面を迎えるも、次打者を外角低めの変化球で空振り三振に。「相手が振ってくれたというより、相手を振らせたといえる」と善波達也監督は、際どいコースに変化球を集め続けたエースを称えた。低めの意識が実り5回を投げ被安打3、無四球7奪三振。相手に一切流れを渡さずに後続へとマウンドを譲った。「エースで初戦を取って勢いに乗りたいと思っていた。彼の力で引っ張ってもらおうと思った」(善波監督)。最後まで慎重な投球を見せた山崎が指揮官の期待に応えた。

 序盤から攻撃の手を緩めず、勝負を決めた。初回に先頭の福田周平内野手(商4=広陵)が三塁へ意表を突いたセーフティバントで出塁する。その後1死二、三塁の好機で、4番の石井が外角低めの直球を中前にしぶとく運び、2点を先制。相手の出鼻をくじいた。「福田が1番の役割を果たしてくれた」(善波監督)と先頭打者から得点に結び付けるという理想の形で口火を切った。3―0の3回には佐野恵太内野手(商2=広陵)がバックスクリーン右横に飛び込む本塁打を放ち、2点を追加。「うまく反応できた」(佐野恵)と直球を完璧に捉えた。その後も5回まで毎回得点と打線は爆発し、終わってみれば先発全員安打の15安打。さらに4盗塁を決めるなど足も絡めて圧倒した。

 投打がかみ合う好発進を決めた。リーグ戦から18日間と試合間隔が大きく空いて迎えた今大会。一発勝負の戦いの初回を山崎が三者凡退に抑え、攻撃は先頭打者の福田が起点となって先制点を挙げた。ブランクをものともせず試合に入ることに成功し、初戦を完勝した。次戦は関大と創価大の勝者が相手となる。鉄壁の投手陣と攻撃の手を緩めない打線を武器として、勢いそのままに準決勝を突破する。

[川合茉実]

打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(遊) 福田(広陵) .667 三安 投ギ 左安    二ゴ   
  齊藤(桐蔭学園)              
  今岡(横浜隼人)              
  植田(関西)              
(二) 糸原(開星) .333 二ゴ 四球 三ゴ    右安      
(中) 高山(日大三) .500 左安 二失    遊失 左安      
(三)一 石井(履正社) .750 中安 左飛    左安 中2      
(左) 菅野(東海大相模) .250 三振 三飛    右2 左飛      
  小倉(関西)                     
(右) 海部(履正社) .667 三安    四球 中安    右飛   
(一) 佐野恵(広陵) .667 四球    中本 三振    中2   
  野地(明大明治)                     
  柳(横浜) .000                     
  上原(広陵)                     
(捕) 坂本(履正社) .250 投ゴ    三振    遊ゴ 二安   
(投) 山崎(日大三) .500    左2 一ゴ            
  佐野友(日大三)          四球      
  竹村(浦和学院)               
  長嶺(宮崎工) .000             右飛
       31 15 .484                     
名 前 球数
◆明大投手成績◆
○山崎(日大三) 77 0.00
齊藤(桐蔭学園) 02/3 25 0.00
今岡(横浜隼人) 01/3 0.00
柳(横浜) 02/3 11 0.00
上原(広陵) 01/3 0.00
◆ベンチ入りメンバー◆
10 高橋隼(法4=日本文理) 27 佐野恵(商2=広陵) 22 井上(文4=錦城)
11 山崎(政経4=日大三) 糸原(営4=開星) 38 野地(政経4=明大明治)
18 今岡(文4=横浜隼人) 34 宮崎(文1=履正社) 菅野(法3=東海大相模)
上原(商3=広陵) 植田(文4=関西) 海部(商3=履正社)
17 柳(政経2=横浜) 15 石井(営3=履正社) 20 高山(文3=日大三)
23 星(政経2=宇都宮工) 35 青野(商3=広島国泰寺) 28 小倉(文3=関西)
19 齊藤(政経1=桐蔭学園) 福田(商4=広陵) 16 竹村(政経1=浦和学院)
12 坂本(文3=履正社) 26 川野(政経4=明大中野)
25 佐野友(商4=日大三) 長嶺(文4=宮崎工)

試合後のコメント
チームの指揮を執る善波監督

「ゲーム間が気になっていましたが、(山崎)福也がきちっと立ち上がって、打線も珍しく常につながりました。立ち上がりは普段戦わないチームが相手でしたが、よく相手を見てやれたと思います。(山崎について)リーグ戦が終わってから変に気持ちの緩みはなく、きちっと練習できていました。緊張感を持って取り組んでいたように感じます。初戦をエースで取って勢いに乗りたいと思っていました。彼の力で引っ張ってもらおうと思っていました。今日はボールが低めに集まっていて、丁寧に投げていました。変化球もストライクからボールに投げれていて、相手が振ってくれたというより、相手に振らせたといえます。昨年にスピードが出ていい時期よりも、ボール自体は2つ分くらい低くきています。これも取り組みの跡だと思います。これから有効になってくる部分です。(攻めについて)立ち上がりは、相手ピッチャーの球が左打者の外に抜けていたので、追いかけないようにと言い合いました。私も選手もそんな声を出せていて、崩されないで打てていました。初回にしっかりと福田が1番の役割を果たしてくれましたね。相手ピッチャーのクイックやタイミングを敏感に感じて走れていた姿勢も良かったです」

先発で試合をつくった山崎
「(今日の出来は)70点です。今日は真っすぐ、変化球共に低目に球が決まっていたので制球に関しては良かったと思います。球の質自体も良いものがいっているので(調子は)良い感じできていると思います。キャッチャーと確認し合って丁寧に、ブルペン通りに投げられました。三振への意識は無かったですが、変化球を低目に放ろうという意識は強かったです。左打者の外角低目、右打者の内角低目への球はいつも意識していて、自信はありますね。(味方のエラーで走者が出たが)特に気持ちは変えずに打者に集中しました。今日は変化球はカーブとチェンジアップのみ投げました。(リーグ戦との意識の違いは)やはり一つも負けられないので、自分の投球ではなくチームとしての初回の入りを意識しました。(テンポが良かったが)ストライクが入っていたので自然にそうなったと思います。(右翼手の頭上を越える安打を打たれたが)直球を打たれました。0―2だったので、一球外すか、もっと低目に変化球を投げてかわせば良かったのですが、甘さがありました。 (その後2死二、三塁で打者をサードゴロに打ち取ったが)あの球はカーブです。できれば三振を取りたかったのですが、何とかチェンジできたのであれはあれで良かったと思います。(先発を知らされたのは)1週間程前に練習中に伝えられました。(大学最後の大会という意識は)ありましたが、とにかく初戦は取って流れをこっちにやろうと意識しました。(オリックスバファローズの森脇監督が観戦に来ていたが)良いところを見せようと意識はしていました。監督が自分を投げている試合を見るのは初めてです。できればノーヒットで抑えたかったです」

5人目で試合を締めた上原
「(コンディションは)調子の波も無くて安定している方だと思います。去年4年生が悔しがる姿を見てきました。今回も神宮大会に出場する機会を頂けているので、そのチャンスをつかみたいなと思っています。(どこで投げたいか)ここで行けって言われたところで、ちゃんと応えられるピッチングができたらそれでいいです。去年も全国の舞台で投げて、良い結果は出せていない。これから自分が投げる機会が増えてくると思うのですがそこでしっかり安定したピッチングができるように調整していきたいです。今までチームを引っ張ってくれたので1、2、3年生が4年生を支えながらさらに野球に集中しやすい環境を自分たちが作って、いい思いをさせて送り出したいなと思います。(来年は最上級生)この前のドラフトで福也さんが指名されて、来年自分たちの番だと思ったときに今まで以上に安定した投球ができるように、他大学から怖がられるようなピッチャーになっていきたいと思うようになりました。ずっとプロになりたいと小さいころから思っていたので、そのチャンスが来年にあるということで、すごく気が引き締まります。これからの取り組みが大事だなと思っています。(沖縄への思いは)自分は中学までしか沖縄にいることができなくて、広島に出て地元の同級生だったり後輩だったりの状況が全く分からなかったのですが、たまに入ってくる話がいい刺激になったりして、そういう面で自分を支えてくれているものだと思います。(沖縄出身の選手たちについて)後に続きたいというか、その人たちよりさらに上に行きたいという思いが強いです。(理想の投手像)理想としてはダルビッシュ投手のような速い真っすぐに多彩な変化球、安定したコントロール、どのピッチャーも憧れていると思います。(大会への抱負)4年生は一番自分たちが長くやってきた学年なので、今まで面倒を見てもらいチームを支えてもらった分、最後笑顔で4年生が卒業できるように自分たちが全力を注ぎたいと思います」

特大2点本塁打を放った佐野恵
「入るとは思ってなかったです。ツーストライクで追い込まれていたんで。ちょっと上がりすぎて入らないかなとは思ったんですけど、しっかり振れていたので自分でもびっくりするくらい飛んだな、という感じです。ベンチからの指示も逆方向でという指示だったので、インコースに甘く来たのにうまく反応できたかなと思います。練習でも逆方向を意識して打ちに行ったら反応するっていうように取り組んできたので練習通りにはできたかなと思います。納得はできました。今日は取れる時に点を取ろうということで初回に2点入って緩めるなということを話し合って、毎回のように得点できたのでその点は良かったと思います。前の試合でもホームランが出た後に調子が崩れるというか自分の中で変に力が入るっていうところがあって、三振して次の打席は考えないといけないな、と。もう一本はセンターより左に打球は出ているので、ホームランの後でもあまり意識することなく打てました。守っている時というよりかは打席の方が配球が読めたり、次これ来るかな、とか。キャッチャーやっていて打席の中で生きているなと思うことはあります。高校時代はあまり全国の舞台に縁がなかったので全国大会に立てている、日本一が狙えるっていうところで野球ができているのはすごく楽しいですね。どんどん良いピッチャーも出てくると思うので、あまりバッティングを変えないようにセンター中心の意識をして今までやってきた通りのことをやって、準備していきたいと思います。(将来は)長打も打てて打率も残せるような、阿部慎之助が好きなのであれくらい打率も残せてホームランも打てるようなバッターになりたいです」