秋季連覇! 早大を延長の末下す/東京六大学秋季リーグ戦

エンドランを決め喜ぶ吉田
自らのミスを帳消しにする一打だった。同点で迎えた12回表、日没に伴いこの回まででサスペンデッドとなる最終攻撃イニング。先頭の7番久保田駿内野手(法1=広陵)が四球を選ぶと、続く8番吉田。7回に自身のパスボールで失点し同点にされていた。「負けたら戦犯になると思った」(吉田)。次の打順が投手でエンドランのサインが出ると初球から振り抜いた。ライナー性の当たりは中堅前へ。篠原の犠飛へとつなげる貴重なバッティングとなった。
実に7季ぶり、4年生は初の対早大勝ち点奪取となった。昨年は勝率で上回ったものの、1勝1敗1分で迎えた最終戦で敗れ、完全優勝を逃した。勝ち点を取らなければ優勝できない中で1敗から連勝。「早稲田を倒して優勝できたのがうれしい」(風岡厚志・理工4=川和)。苦杯をなめさせ続けられた相手に最後の最後で報いた。
3人の投手がチームを支えた。チーム防御率は1.57と驚異的な数字を残した。エースの赤尾裕希(文4=錦城)は今季調子が上がらず苦戦。土壇場での失点が目立ち負けないものの打線の援護もなく結果をあまり残せなかった。しかし優勝へ背水の陣で挑んだ早大2回戦では、自身リーグ戦最後の先発を完封勝利。3連敗中だったチームの息を吹き返らせ、優勝へとつなげた。
今年度から投手に転向した薄田寛也(農2=日本文理)は今季防御率1.01で最優秀防御率のタイトルを確定させた。夏から調子上げ首脳陣の信頼をつかむと、序盤は中継ぎを中心に延長戦の多かった試合のリリーフを確実に果たした。最終戦を含む2試合に先発もし、来シーズンは先発の柱としても期待される。
高校時代日大鶴ヶ丘を完封した右腕・篠原は大学でも期待以上の輝きを見せた。調子にムラもあり「まだまだ甘い」(風岡)と厳しい評価もあるが、それは期待の証し。直球の伸びが良い日は三振の山を築き計43奪三振。大器の片りんを見せ、今後の活躍に期待が懸かる。
次は関東の頂点を目指す。この優勝により11月1日から始まる関東王座決定戦への出場が決まった。社会人チームや、関東各リーグの優勝校が集まるレベルの高い大会になるが「去年準優勝なので、越えるには優勝しかない」と加藤。六大一の投手陣で、さらなる高みを目指す。
[毛利允信]

7回1失点で先発の役割を果たした薄田
試合後のコメント
千田監督
「昨日赤尾が調子悪いなりに完封してくれた。昨日終わったときにそれまでは相手のピッチャーがいいから打てなかったとか、そんなことを言っていた。谷(立大)が今日調子良かったから点取れなくて負けましたとか。そんなことを言っていたのが昨日の試合で赤尾が調子悪いなりに完封して4本しかヒットを打っていない中で勝てた。いいピッチャーでもヒット少なくてもいかにして試合に勝つのかと、そのやり方を昨日で分かったろというような話を昨日した。昨日言ったことがぽんと今日の成果になって表れたことがうれしい。(関東王座は)去年は中央に決勝で負けている。今年もまた決勝までいって関東王座でも頭を取りたい」
加藤
「単にうれしい。その一言に尽きる。最後に早稲田から勝ち点を取って、厳しい試合だったですけど勝ち切れたので良かった。とにかく相手よりも先に点を取ってということを考えていた。延長ではうちは負けていないので延長なら負けないという暗示じゃないですけど、そういう思いがあった。相手もいいピッチャーでしたし、取りあえずチャンスをつくり続けようと。ヒット打てなくてもその中でうまく点を取ろうという感じ。昨日今日となかなかヒットが打てない中で先制点をものにできたのはうれしい。リーグを通して粘り強く投げてくれていましたし、最終的にはこの優勝はピッチャー陣が勝ち取ったものかなと思う。(3連敗から連勝)いい意味で吹っ切れたかなと。もう全勝するしか優勝する道は無くなったので、形にこだわっている場合ではない、とにかく相手より1点多く取って9回が終わればという話はいつもしていた。決して形はいいものではなかったと思う、内容的にも。2戦勝ち切れたのは4年生の意地と、3年生以下がそれに付いて来てくれたからかなと思う。自分だけじゃなくて4年生はみな負けられない気持ちでやっていましたし、試合出ている出てないやついますけど、みんなが優勝したいという気持ちで一つになってできたことが一番良かったと思う。(関東王座へ)去年は準優勝で終わっているので、去年の成績を越えるためには優勝しかない。残りこのチームで戦えるのも最後なので、うまく切り替えてやっていけたらいいと思う。せっかく六大を代表して出るので、次の代にいい成績が残せられたらと思う」

胴上げされる風岡
風岡
「すごくうれしいです。下に財産を残せたのが一番うれしい。まだこのチームで試合ができることが素直にうれしい。早稲田から勝ち点を取って優勝できたのは気持ちいい。ミスで追い付かれて、それまでは薄田が頑張っていて、期待以上のピッチングをしてくれた。よく投げてくれた。バッター陣もヒットはあまり出ていませんが中盤以降ボールが見えていたのでチャンスはそのうち来るだろうと。12回は久保田が出て、吉田にバントをさせても次が篠原だから期待はできないだろうと仕掛けた結果がうまく結果につながった。指揮官任してもらっていて、去年優勝していて、自分たちの代も優勝したいなと思っていて、不安しかなかったですけど、結果やってきたことは間違っていなかったと思います。自分がこうサインを出していて、そのせいで負けた試合もありましたし、その時は申し訳ないと思ったが、今日だけじゃないけど今日なんかはみんな本当に付いて来てくれてちゃんとやっていたので、うれしい限りです。ほっとしています。(関東王座へ向けて)いつもやっていない相手ですけど、力のある相手とできて、それに勝てれば気持ちよく引退できると思うので、六大学の代表としてもそうですし、ここで優勝しないと意味がないので、下に財産を残せるようにやっていきたい」
吉田
「今日の薄田はタイトルもかかっていて緊張していると思ったがあまり緊張していなかったので早いイニングに先制をして薄田を楽に投げさせたかった。今日がリーグ戦の最後だったので後ろに赤尾さんと篠原も待機していた。だから一イニングずつ全力で投げろという話はした。ストレートを中心に気持ちのこもった球が来ていたので薄田は良く頑張ってくれたと思う。自分のミスで薄田の勝ち星を消してしまったので負けたら戦犯になると思っていた。だから篠原には助けてくれ、0に抑えてくれと。篠原は気合が入っていて良い球がきていたのでこれは打たれないと思いストレートで勝負した。良く投げてくれたと思う。12回は気負いました。三振2つでツーアウトを取って勝ちが決まった雰囲気になってしまったところで死四球2つでピンチをつくったところで赤尾さんのスイッチも頭の中にあったが篠原のストレートなら大丈夫と信じて最後は球を受けた。最終回はストレートだけ。それぐらい良かった。12回の攻撃は久保田が出塁して後ろが篠原だったのでエンドランのサインが出ることは分かっていたのでやってやるという気持ちで打席に立った。秋季リーグ優勝して4年生とまだ一緒に野球ができるので関東王座では優勝をそして来年の自分たちの代につなげられるような野球をしたい」
篠原
「何も言えない。超気持ち良かった。締めくくりは赤尾さんという話だったが同点ということもあり延長戦を見越して行けるところまで行くという話だった。結果的に最後の回でしっかり点を取って終わることができて良かったと思う。ツーアウト取ってから優勝というものは意識しないようにしたが逆にそう考えることがいけなかったと思う。四死球と粘られてフルカウントになって最後三振が取れたのは最後自分の気持ちが相手打者を上回ったと思う。最後は三振を狙って取れたので吉田さんにも感謝しているし4年生の最後のリーグで優勝できて早稲田からも勝ち点が取れて良かった。六大学の他のエースや赤尾さんみたいに調子が悪くても抑えられるように冬にしっかり練習して来年の春篠原という投手が注目されるようになれたらいい。このシーズンでは真っすぐの質が良くなったと思う。赤尾さんだったり菊池さん(秀之・農4=新田)や渡辺さん(誠人・政経4=明大中野八王子)、芳賀さん(遼太郎・商4=逗子開成)とまたこの投手陣で練習ができると思うと今日勝って本当に良かった。来年赤尾さんと一緒に野球をすることができないのは悲しい気持ちもあるがまだ3試合一緒に野球ができるチャンスがあるので一試合ずつ大切にしていきたい。関東王座は日大か中央のどちらかが出てくる。日本一と2位のチームを相手にどれだけできるか、そして来年につながるような投球を披露したい」
多々野
「全員で勝ちに行ってどんな形であろうが勝てたのが一番うれしい。先制点が大事だと思っていたので俺が決めてやるという気持ちで打席に入った。河合さんは動くボールが多く縦のスプリットもあるので動くボールに対応できるように狙い球は真っすぐとスライダーだけに絞った。4年生とまだ野球ができるということは非常にうれしいですし、良い経験にもなると思うので4年生の良いところを吸収できるように残り試合楽しくやっていきたい。今シーズンは出たり出なかったりしたがその中で活躍できたこともあれば反省すべき点も多くあったので関東王座に向けて修正していかなければいけないと思う。守備で落球して自分の緊張もほぐれたのではないかと。久しぶりのサードだったので。投内連携とかでミスするとチームに迷惑をかけるのでバント処理などは細心の注意を払っていた。日大と中大両方に負けているので関東王座で勝ち上がってリベンジしたい」
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