
新打線が機能し、慶大から勝ち点奪取/東京六大学秋季リーグ戦
会心の一撃だった。延長12回表2死後1番萩谷直斗内野手(営2=水城)が右前へ安打を放ち出塁すると加藤直紀主将(商4=明大中野八王子)と3番酒井翔弥外野手(法2=東北)が四球を選び満塁。ここで4番寶田が「自分の好きなコースに来たので思いっ切り振り切った」と相手先発の小西(慶大)の4球目を捉えると右翼手の右側にライナー性の強烈な当たりを残す。右翼手のダイビングキャッチも届かず走者一掃の適時三塁打で3点を追加して試合を決めた。
打順変更がうまくつながった。「気分を変えたかった」(加藤)という打線は初回から機能し慶大戦で初めて先制点を取った。風岡厚志(理工4=川和)は「選球眼がいいので、四球でも塁に出てくれれば、そこからチャンスがつくれる」という考えから前の試合まで5番を打っていた萩谷を1番で起用した。さらに現在一番振れている寶田を1番から4番にすると1番が出塁して4番が返すという理想の形が見事にハマり、新打線が機能した。
見事な完投勝利だった。投手陣は慶大戦でエース・赤尾裕希投手(文4=錦城)が18回、中継ぎで活躍する薄田寛也投手(農2=日本文理)が12イニングを投げていた。そのため、篠原は投手陣を休ませるために長いイニングを投げることを考え、試合では全力投球を減らし制球重視で慶大打線を翻弄(ほんろう)。その結果127球と少ない球数で12回5安打1失点の完投勝利と結果を残し、慶大戦で2試合に登板し19回を自責点0と抜群の安定感を見せた。
課題と良いところが出た開幕節だった。2回戦と3回戦ともに延長戦を戦い引き分ける激戦を見せていた。「負けなかったことが大きい」(加藤)と粘り強い守備陣で相手に得点を許さず、勝率100%で慶大戦を終えたことは大きい。しかし打線は好機をつくれず打ち損じが多く見られた。次の相手は全日本大学選手権で敗れた法大。「法政には間違いなく打たないと勝てない」(加藤)というように春季リーグのベストナインが4人いる打線の復調が待たれる。打線が復調し全日本大学選手権のリベンジを果たしたい。
[常光純弘]
試合後のコメント
加藤
「寶田はよく打ってくれたという感じだが、それ以前によく粘って守ったなという印象。あれだけ点が取れない中で、負けなかったのは毎回粘り強い守備があったおかげ。そっちの方が慶応戦に関しては良かった。何試合やろうが勝ち点1、勝率100%なので、終わってしまえば勝ち点を取ったことがすべて。その点に関しては良かった(粘り強さ)攻撃にしても、最後の回はツーアウトからだった。最後にいい形で攻撃がつながって、勝ち点を取れたので、最後の終わり方としては良かった。(打順)気分を変えようというのがあったが、結果あの打順が機能したのかなと思う。初回も4番寶田が。何かを変えていけなきゃ駄目だというのが4年生の印象で打順を変えようというのが一番の理由です。(篠原)今日は特に変な力みも無くて、途中で変えるかという話もあったが今日調子良さそうだったので、いけるところまでいってもらって、篠原だけじゃなくて薄田も赤尾も投手陣が頑張って投げてくれたのがこの勝ち点1につながったと思う。(次への課題)課題は結局バッティングだと思うので、打たないと勝てない。法政には間違いなく打たないと勝てないのでそこを意識してやっていきたい。ただ、みんなここまで打ってきて、実力もあるので、何かつかめば上がってくると思う。バッティングは難しいので、何かきっかけをつかめるような練習ができたらいいと思うが難しい。(法大戦)この1年間やられっぱなしで終わるのも嫌なので、何としても勝ちます」
風岡
「(1番萩谷は)一応選球眼がいいので、四球でも塁に出てくれれば、そこからチャンスがつくれる。寶田は一番バットが振れて、打球も練習見ていて一番いいですしそういう理由で4番に。4番の健史(橋本)がぜんぜん駄目だったので、4番でチャンスが回ってくるのに健史だと希望も見えないので、健史を落とそうと。それで4番誰やるのとなって寶田かなと。(打順変更が見事にはまった印象)初戦のサヨナラ勝ちぐらいハマった。昨日の15回もハマったかなと思ったが。(法政戦)全日の借りを返したい」
寶田
「自分の好きなコースに来たので、思いっ切り振り切りました。今日も2安打でアウトにはなったのですがライナーもあった。今日も自分自身タイミング合っているなという印象。いい場面で最後回ってきて、よし来たかと。自分で返せなかったらずるずるいったと思うので、ここで決めようと。みんなバット振れていなかったので、あそこで打たなかったら引き分け再試合になるのかなと思った。(打順)みんな打てなかったのと、気分転換というか、上の方々がいろいろ考えてやってくれた。(4番)特にこだわりはない。4番だとランナー背負って立つ場面が多いので、そこで1本と思ったが2本打てて良かった。(先制)今まで全部先制点を取られていたので、今日はうちが先制点を取らないと流れ的にもまずいかなと思ったので打てて良かった。1番の萩谷が3安打で自分の後ろを打つ吉田も3安打で。上位が打てればやはり得点につながると思うので、今日はいい打順でした。(勝ち点奪取)負けていないというのが大きい。今週は空き週なのでバッティングをみんなで改善して法政戦に臨みたい。全日本でも法政に負けているので。ただ、このままでは法政に勝てないと思うので、課題を改善していきたい」
萩谷
「期待されての1番だと思うので打撃に関しては良かったと思う。初回の安打は追い込まれていたので三振しないようにバットに当てればなんかあると思った。打った結果がなんとか安打につながって良かった。最終回は2死でも良い打者が後ろにいっぱいいたので打てばなんとかなると思い結果点につながったのが良かった。打てなかったら変えられるので結果を残したかった。打てたのは良かったが守備で2つ失策してチームに迷惑をかけた。自分は1試合ごとが勝負なので、打てなかったら変えられるし守りも今日みたいなことはしてはいけない。1番に固定されるように必死に頑張りたい」
篠原
「今日は序盤から制球重視で要所の変化球を丁寧に投げることと直球をコーナーに投げることを意識して全力投球をあまりしなかった。その結果が延長12回まで初回と変わらず投げ続けられたと思う。4回のスクイズは5番ということもあって無警戒だった。あっさり点を取られてしまってチームに申し訳なかった。2戦目にスクイズを決められてから警戒はしていたが決められた場面は無警戒だった。今後は走者をしっかり見てクイックで投げるにしても走者を気にしながら打者がバントの構えをしても外せるような余裕を持っていきたい。7回裏はここで点を取られたら投手ではないという気持ちで投げた。来年赤尾さんが引退して投手陣の柱がいなくなる中そういう危機を乗り越えられる投手にならないといけない。だから気合が入った。8回も丁寧に投げれば連打はないと思ったので終わったことは気にせず次の打者に集中してどのように抑えるかを考えて投げた。併殺を取りたいときは内角を攻めたりするっていう事を考えた。9回以降はいつも通り投げた。相手がどのように考えていたかわからないがテンポ良く投げていたので最後得点に結び付いたと思う。次の法政戦では今日みたいな投球をして丁寧に力任せにしないで相手打線を翻弄させたい」
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