ルーキー篠原が完投し立大から勝ち点奪取/東京六大学春季リーグ戦

篠原は大学初完投勝利を挙げた
強力打者陣を手玉に取った。3戦目の先発を任されたのはルーキー篠原。持ち味である直球を決め球に立大打線を3失点に抑え大学初完投を挙げた。「自分で始まって自分で終わるという理想の投球ができた」(篠原)。98球とテンポのいい投球で6奪三振と先発の役割を存分に発揮した。
完投するも詰めの甘さを見せた。8回まで2安打1失点に抑えるも迎えた9回。先頭に内野安打を許すと1死二、三塁のピンチに追い込まれ6番神岡(立大)の犠飛で1失点。代打・杉山友(立大)の適時打で1点差に詰め寄られる。「勝利を予感してしまった」(篠原)と最終回で足をすくわれた。一塁に走者を抱えるも左翼方向に飛んだ最後の打球は豊田貴光内野手(営4=広陵)のグラブに収まり試合終了。「守備には本当に助けられた」(篠原)と逃げ切りに成功した。
3回目となる先発で成長を見せた。立大1回戦は中継ぎで登板したが3イニングで与四死球4と制球難に苦しんだ。以前は自分自身の投手勝利を先に考えていたが「チームのために一球一球魂を込めて投げた」とチームの勝利に一役買い、存在感を示した。最終カードである早大戦に向けて「完封勝利をしたい」(篠原)と力強く誓った。躍進を続けるルーキー右腕に大きな期待が懸かる。

先頭で出塁し喜ぶ寶田
ルーキーの活躍が際立った。1―1と同点で迎えた6回。相手先発の谷(立大)から、3番加藤が四球を選ぶと続く4番橋本健史内野手(商4=明大中野八王子)の右前安打で2死一、二塁の好機をつくった。ここで打席に立ったのは代打・多々野。「ここ一番の代打に取っておいた」(加藤)と多々野はリーグ戦打率3割を挙げ、打線に力を貸している。立大エースからの低めの直球を左翼線にしぶとくはじき返し、勝ちをたぐり寄せる1点をたたき出した。法大2回戦でも値千金の同点2点本塁打を放ち、好機で得点を呼び込む役割をしっかりと果たした。「先輩方にチャンスをつくっていただいたので何としても打ちたかった」(多々野)と期待に応えチームから多くの信頼を得る。
打線は途切れることがなかった。1点リードの8回、2戦目で無安打だった先頭寶田慎太郎外野手(営3=東北)が右翼線に抜ける二塁打を放つと続く3番加藤の野選の間に生還。その後も好打は続き、多々野が8回2死三塁の場面でスクイズを決め三塁の絶妙な位置に転がる内野安打とした。「守りを突いてバントすれば打つより確率は高いと思った」(多々野)とダメ押しの1点を奪った。
優勝争いに望みを託した。ここまで4カードを終え残すはヤマ場の早大戦。「ここ3戦チームとしても粘り強く戦えたと思うので早稲田戦にベストな状態で持っていきたい」(加藤)。対する早大エース・河合はリーグ戦防御率1.74を挙げリーグトップを走る。明大打線の奮起が早大投手を打ち崩すカギだ。早大戦で連勝し2005年以来チーム史上3度目の春秋連覇をつかみ取る。
[橋本杏菜]
明 | 早 | 立 | 法 | 慶 | 東 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝ち点 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
明大 | — | ○●○ | ●○● | ○○ | ○○ | 10 | 7 | 3 | 0 | 3 | .700 | |
早大 | — | ○●○ | ○●○ | ○○ | ○○ | 10 | 8 | 2 | 0 | 4 | .800 | |
立大 | ●○● | ●○● | — | ○●○ | ○○ | 11 | 6 | 5 | 0 | 2 | .556 | |
法大 | ○●○ | ●○● | — | ●○○ | ○●○ | 12 | 7 | 5 | 0 | 3 | .583 | |
慶大 | ●● | ●● | ●○● | ○●● | — | 10 | 2 | 8 | 0 | 0 | .200 | |
東大 | ●● | ●● | ●● | ●○● | — | 9 | 1 | 8 | 0 | 0 | .111 |
試合後のコメント
加藤
「落としたらいけない試合で勝てたことが全て。篠原が本当に粘り強く投げてくれた。(初回で先制されたが)次で同点に追い付けたので試合の流れとしては良かった。(多々野のタイムリーは)多々野は練習から本当調子良くてここ一番の代打に取っておいた。2アウトから1本出してくれればと思っていたが本当に期待に応えてくれて良かった。また2週間空くのでそこで練習の状況を見ながらだがここ一番でやってくれる選手だと思っているのでどんどん使っていきたい。(得点した回以外は三者凡退が多かった)三者凡退はあったが粘っての三者凡退が多かったという印象があった。簡単に初球を打ってアウトというのが無かったのでそれなりにピッチャーに球数も放らせていた。三者凡退でも攻撃できたことが良かった。(立大のピッチャーは)谷が1戦目より力が抜けていて伸び伸び投げていた。こっちもあいつに気持ちよく投げさせないようにと常にベンチで言いながら何とか出塁して粘ってチャンスで1本という形でやっていた。球数は投げさせられたと思う。(9回に2失点)この3試合戦って立教は粘り強くて簡単には終わらせてくれなかった。(次は早大戦だが)この3日間チームとしても粘り強く戦えたと思うので早稲田に勝てば優勝も見えてくると思う。この2週間で練習をしっかりして春最後の試合なので何とかいい準備をしたい。早稲田戦にみんながベストな状態で持っていければいいと思う」
篠原
「今日は負けられない試合ということでそういう大事な試合の先発を任せていただいてチームのために一球一球投げるという思いで初回から全力で臨んだ。(完投したが)完投とか何も意識していなかったがやっぱり投げていくうちに調子が上がってきたのでもうここは自分が行こうと思って最終回まで投げた。(大学初の完投だが)理想が自分で始まって自分で終わることなので、今日は点を取られてしまったのでまだ完璧ではないが理想に少しでも近付けた試合だったと思う。(初回の失点は)最初の1点が本当に悔やまれるがやっぱり初回はボールが浮いていた。初回を0で抑えるというピッチャーの役目を果たして最後まで終われるように早稲田戦に向けて練習していきたい。(9回は先頭を出して)打ち取っている当たりだったのでそういう時は逆にもう自分を責めるのではなくて3点差あったので次のバッターを意識した。守備がよく守ってくれてエラーとか本当に無かったので助けられた。(立大のバッター陣は)本当気が抜けない打線だがそういうところで迷ったボールを投げてしまうとやっぱりボールにも気持ちが入らないので一球一球チームのために魂込めて投げた。(何か気持ちで変わった部分は)前だったら自分が自分がみたいになっていたがチームのために一球一球投げることが大事だと思った。そこで一球一球の積み重ねが今日の完投につながったと思う。(次は早大戦だが)今日の完投を一つの踏み台としてまた次のステージに上がれるようにしっかり練習して早稲田を完封したい。自分のできることをしっかりやってチームのために一生懸命投げたい」
多々野
「(6、8回のタイムリーは)劣勢の場面でどっちが1点取るか大事な場面だったのですごく大きかった。(代打から入って打線に貢献できたというのは)先輩方にしっかりチャンスをつくっていただいてそこで1本出してチームも勝てたので再来週の早稲田戦に向けてまたこの2週間しっかり頑張っていきたい。(8回は)守りを突いてバントすれば打つより確率は高いと思ったのでそこはセーフティーバントをした。(先発の谷は)変化球が切れているようなイメージだったので狙い玉をまっすぐに絞っていった。(2番手の加藤は)昨日も代打で出させていただいたが、その時はショートゴロで抑えられてしまったので何としても1点欲しいと思った。(今回1年生として打線に貢献できて)リーグ優勝を目指していますしそこからの全国大会にもしっかり絡んでチームに貢献したいと思っているので1年生全員でチームを盛り上げていけるように頑張りたい。(早稲田戦に向けての意気込み)何としても勝ちたいですしまず個人としてはしっかりチームに貢献できるように迷惑掛けないようにやっていきたい」
関連記事
RELATED ENTRIES