投打がかみ合い逆転勝利 春秋連覇へ王手/東京六大学秋季リーグ戦

2013.10.28
 法大に先勝し、38年ぶりの春秋連覇へ王手を掛けた。先発の山崎福也投手(政経3=日大三)は初回に3番河合(法大)に2点本塁打を浴びてしまう。しかし、7回に糸原健斗内野手(営3=開星)の2点適時打で逆転。直後に2番手でマウンドに立った上原健太投手(商2=広陵)が好救援を見せて法大打線を封じ、5―2で勝利を収めた。

 鮮やかな逆転劇を見せた。0―2で迎えた7回、相手の失策と代打の上西達也外野手(営2=明大中野八王子)の左前安打で1死一、三塁の好機をつくる。そして、打席には9番の大塚健太朗内野手(商2=花咲徳栄)。ここで大塚が勝負強さを見せた。内角の直球を詰まりながらも右前に弾き返し1点を返し、1点差に詰め寄った。この場面まで得点圏に走者を置いたのは5回だけ。スライダーを武器としたテンポの良い投球をする相手先発の船本(法大)をなかなか打ち崩せなかったが、この適時打でマウンドから引きずり下ろした。その後2死満塁となり、打順は「いい球をどんどん打っていこう」と打席に入った糸原に回る。その言葉の通りに2球目の139kmの直球を積極的に打ち、打球は三塁手の頭を越えていった。これで2人が生還し逆転。先発の山崎も「本当に感謝している」と述べた値千金の適時打であった。現在、糸原は打率3割3分3厘、打点11でチーム二冠。開幕から中軸に座りチームに貢献している。さらにこの後、相手投手の暴投で1点を追加し、この回一挙4得点で逆転に成功した。8回にも途中出場の中原北斗外野手(文4=横浜)の適時打でダメ押し。少ないチャンスをものにした明大の勝負強さが光った。

  「3本目の矢」がその実力を見せ付けた。山崎、関谷亮太投手(政経4=日大三)の二本柱に続く活躍を見せている上原健太投手(商2=広陵)が2点を勝ち越した直後の8回から2番手として登板。先頭打者の安慶名(法大)の打球は鋭い当たりだったものの右翼手の高山が手を挙げ落下点に入った。しかし、打球は高山俊外野手(文2=日大三)のグラブをかすめ「痛いなと思った」(上原)という失策になり、無死三塁のピンチを招く。だが、ここから上原は圧巻の投球を見せた。「最初のバッターは(三振を)狙った」と変化球を振らせ三振に切って取り、1死を奪う。その後、初回に本塁打を放った3番河合には四球を与えて1死一、三塁で4番の西浦(法大)を迎える。この場面でも「気楽にいこうとした」(坂本誠志郎捕手・文2=履正社)とバッテリーに焦りはなかった。「低めに狙うことを意識した」(上原)と西浦には外角低めの変化球で三振。続く5番の伊藤諒(法大)も低めに集め三振に打ち取り、この大ピンチを乗り切った。9回も無失点に抑え、試合を締めくくった。

 エースの粘投も光った。初回、3番河合に投じた初球の直球は外角にコントロールされるはずだった。だが「シュート回転して中に入った」(山崎)と甘い球になり、真芯で捉えられた。ライトの高山の足は動かず、あっという間に右翼席に飛び込む2点本塁打を浴びた。しかし「その後は粘れて良かった」(山崎)と5回まで毎回安打を許すが、ホームベースを踏ませない。6、7回は相手打線を完璧に封じ、逆転劇につなげた。この粘投で山崎は4勝目を挙げ、最多勝に並んだ。これで今春に続き、最多勝のタイトルを狙える位置に着けた。

 ついに38年ぶりの春秋連覇まであと一歩まで辿り着いた。「明日勝って優勝したい」という気持ちは全員に共通している。「チームはいい方向へ向かっている」(高山)、「明日は勝てた勢いでいける」(糸原)とチームの状態は最高だ。次の試合に勝利し、明大の歴史に新たな1ページを刻む。悲願達成はもうすぐそこだ。

[西村典大]

打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(遊) 福田(広陵) .310 二ゴ    中安    遊飛    二直      
(右) 高山(日大三) .308 二ゴ    三飛    中飛    死球      
(三) 糸原(開星) .333 二ゴ       中飛    二ゴ 左安      
(中)一 岡大(倉敷商) .263    三振    三ゴ    三振 三振      
(左) 菅野(東海大相模) .282    投ゴ    右安    一ゴ    中飛   
(一) 川合(倉敷商) .250    左安    遊ゴ       遊失      
  上原(広陵) .400                      右安   
(捕) 坂本(履正社) .200    投ゴ       死球    投ギ 投ギ   
(投) 山崎(日大三) .083       一ゴ    三振            
  上西(明大中野八王子) .600                   左安      
  走中 中原(横浜) .500                      左安   
大塚(花咲徳栄) .267       三振    左二    右安 二ゴ   
     32 .257                        

名 前 球数
◆明大投手成績◆
◯山崎(日大三) 83 2.70
上原(広陵) 10 33 1.11
◆ベンチ入りメンバー◆
19 関谷(政経4=日大三) 12 坂本(文2=履正社) 下田(商4=海星)
11 山崎(政経3=日大三) 13 川合(政経2=倉敷商) 中原(文4=横浜)
18 今岡(文3=横浜隼人) 大塚(商2=花咲徳栄) 25 岡大(政経4=倉敷商)
上原(商2=広陵) 34 富岡(商1=日大三) 26 長嶺(文3=宮崎工)
17 柳(政経1=横浜) 糸原(営3=開星) 菅野(法2=東海大相模)
23 星(政経1=宇都宮工) 15 石井(文2=履正社) 高山(文2=日大三)
27 西村祐(法4=春日部共栄) 福田(商3=広陵) 24 海部(商2=履正社)
32 柴田(法4=中京大中京) 14 七田(商3=小城)
22 高橋隼(法3=日本文理) 38 上西(営2=明大中野八王子)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第7週  10/27現在
明大 ○○ ●○● ○●○ ○○ 11 8 3 0 3 .727
慶大 ●● ●◯○ △●○○    ○○ 11 6 4 1 3 .600
立大 ◯●○ ○●● ○○ ●○● 12 7 5 0 2 .583
法大 △○●● ●● △○○ ○○ 12 5 5 2 2 .500
早大 ●○●    ○●○ △●● ◯◯ 11 5 5 1 2 .500
東大 ●● ●● ●● ●● 9 0 9 0 0 .000

試合後のコメント
先日のドラフト会議で指名を受けた岡大海内野手(政経4=倉敷商)

「(ドラフト会議で指名受けて)自分としては進路前も後も優勝に向かってやっているので変わっていません。打撃では上手くインコースを使われていたので、ビデオを見てフォームや配球を確認したいです。チームメイトが明日もチャンスをくれたので、そのチャンスをものにできるようにやっていきたいです。(4番の仕事は)ここぞというときに打てればいいと思いますし、むしろそこだけ打てればいいと思っています。チームで必要な一打が打てればいいと思います。法政も力があるので、しっかり粘って終盤強く、明日は序盤からどんどんいけたらいいと思います」

7回に逆転の適時打を放った糸原
「みんながつくってくれたチャンスでタイムリーを打つことができて良かったです。いい球をどんどん打ってこうという気持ちで、打席に入りました。(6回まで無得点だったが)いつかチャンスは来ると思っていました。明日はいい方で勝てた勢いでいけると思います。勝って優勝したいです」

先発し粘投を見せた山崎
「チームが勝ったのは良かったですが、個人的には初回の入りに課題が残りました。(初回に河合に本塁打を打たれた球は)ストレートです。失投でした。アウトコースを狙いましたが、シュート回転して中に入りました。それでも、その後に粘れて無失点に抑えることができたのは良かったです。今日はとにかく初戦を何としても取りたいと思って投げていました。上原のピッチングと糸原のバッティングには本当に感謝しています。今日勝ちましたが一つ一つ集中して、明日もチームでやっていきたいです」

2番手で登板し、試合を締めた上原
「(登板直後の味方のエラーは)痛いなとは思いました。ランナーがいたのでアウトカウントをとることを意識していました。三振は腕が振れた結果だと思います。最初のバッターは(三振を)狙いましたが、他は狙ってはいないです。低めを狙うことを意識して上手く低めに決まった、という感じなので結果オーライです。明日終わるまで気は抜けないので全力でぶつかっていきます

1点差に詰め寄る反撃の適時打を放った大塚
「(適時打について)やっと役に立てました。監督の期待に応えることができました。打った球は真っすぐです。今日はアップから雰囲気よく入れました。明日勝てば優勝ですが、そういうことは意識しないでいつも通り臨みたいです」

この日もリードで投手陣を支えた坂本
「法政も優勝の可能性があって勝ちにくるので、そこを迎え撃つのではなく攻める気持ちでいこうと試合に臨みました。(初回先制本塁打を打たれる前にマウンドで集まる)(山崎)福也さんは調子がよかったんですけど、監督に『いい球だけに打たれることもあるので気をつけよう』と言われました。ただそのあとの初球を打たれてしまったので反省しています。(8回のピンチについて)上原はちゃんと投げてくれました。エラーからのピンチだったので、1点はいいから開き直ろうと言いました。一、三塁になってからも三塁ランナーは気にしないで気楽にいこうとしました。(打撃では2つ犠打を決め)ケースがケースでしたし、2つとも点に絡んだので大事なバントだったんだなと思います。つなぐことができてよかったです。明日勝って優勝を決めたいです」

大学通算100安打ペースの高山
「(100安打は)そんなに意識はしていないです。区切りの良いことなので達成するに越したことはないと思いますが、何よりチームのためにという気持ちが一番です。チームはいい方向へ向かっているので、しっかり明日勝って優勝したいです」

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対法大戦 
10月28日 11時試合開始予定(三塁側)

神宮球場アクセス
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