
開幕白星発進!エースの山崎が8回無失点の好投を見せる/東京六大学秋季リーグ戦

安定感のある投球で圧倒した。今季も開幕投手としてマウンドに上がったのは、エース番号「11」を背負う山崎。山崎は「やってやろうという気持ちがあった」と開幕試合に懸ける思いを口にした。6回に東大の1番飯田に内野安打を打たれたが、5回までは無安打に抑え、東大打線に付け入るスキを与えなかった。直球の伸びが普段よりも良くなかった山崎は、落差のあるフォークを主体とした投球で三振を量産。坂本誠志郎捕手(文2=履正社)は「(山崎)福也さんは絶好調だった。特にフォークが良かった」と振り返った。追い込まれた場面もあった。6回表、遊撃手の福田周平内野手(商3=広陵)の失策と飯田の内野安打により迎えた1死一、三塁の一打逆転のピンチ。東大の2番西木の打席で相手ベンチは初球スクイズを仕掛けてきたが、山崎の内角高めの直球の球威がスクイズをファールにさせ、阻止した。西木はその後0ボール2ストライクに追い込まれた後にフォークに空振り三振。その後、三塁走者の有井(東大)を挟殺してピンチを脱出した。また、山崎は7回、右前二塁打を放ち、自ら追加点に貢献するなど投打に躍動した。昨季の打率は3割4分6厘と、確実性の高い打撃を見せている。山崎はこの試合、投手ながら7番打者として出場。今季も打撃面に期待が懸かる。
積極性を見せた。プロ注目の岡大海内野手(政経4=倉敷商)は4番一塁手として出場し、2回に先制点につながる二塁打を放った。その後も相手の失策がらみで出塁し、2度初球から果敢に盗塁を決めた。
片方の刀を置いた。昨年の秋、エース番号「11」を背負い開幕投手として登板した男の姿は、マウンドにはなかった。「今まで投手と野手、両方やってきて思うような結果が残せなかった。(今季は)4番としてチームに貢献していきたい」と語るのは岡大海内野手(政経4=倉敷商)。昨年は投手と野手の「ニ刀流」としてフル回転することが期待されていた。しかし、主軸打者として好成績を残した打撃とは対照的に、投手としては12年春に1勝1敗、防御率3.48、同年秋に1勝2敗、防御率3.95と、決して納得いく成績を残せなかった。チームの目標である日本一のために、ラストシーズンである今季からは野手一本に絞って練習を重ねた。8月の夏季キャンプでの取り組みについては「野手に専念したので、朝早くから夜遅くまでバットを振り込めた。二刀流としてやっていたときと比べて、集中力を高めて練習できたことは大きかった」と、充実の表情を見せた。チームの勝利のために妥協はしない。目指すは、明大では戦後初となる三冠王だ。
流れを引き寄せた。3番菅野剛士外野手(法2=東海大相模)が魅せた。5回まで2安打と相手先発の辰亥を捉え切れていなかったが、6回1死三塁から右越え適時二塁打を放ち、追加点を奪った。2回の先制点以降沈黙していた打線に火を付けた。「とにかく(追加点を)1点取って流れを自分たちに引き寄せたらと思って打席に向かった」。試合を決める一打が重要視される中軸で、その役割を確実に果たした。昨季チームトップの10打点を記録した男は今季も健在。打点へのこだわりを人一倍持っている。開幕前の「状況に応じてチャンスを広げていくバッティングがしたい」という言葉通りの、活躍を果たした。菅野の適時打を皮切りに7回、8回と追加点を挙げ、点差を広げた。
新戦力も台頭している。オープン戦から好調な打撃を維持し、この試合がリーグ戦初出場となる長嶺修平外野手(文3=宮崎工)はスタメンに抜てきされ、2番打者の役割をしっかりと果たした。6回に先頭打者の福田が塁に出た後には、犠打を確実に決め、7回1死二塁からは左前へ適時打を放った。「(安打を)1本出したかったので、初球から振っていった」と積極的な打撃が持ち味だ。塁に出てからは盗塁も決め、チャンスメイク。昨季は固定されていなかった2番打者に長嶺が定着するかが連覇へのカギとなる。善波達也監督も長嶺を高評価していることがうかがえる。「監督が使ってくれたので期待に応えよう」と試合に臨んだ通り、結果を残した。
まずは開幕戦を白星で飾った。次戦も快勝し、開幕カードを手にして連覇へ弾みをつけたい。次戦の先発は右の柱、関谷亮太投手(政経4=日大三)だ。再び東京六大学の頂点へ。選手たちの戦いは始まったばかりだ。
[箭内桃子]
打順 | 守備 | 名 前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (遊) | 福田(広陵) | 4 | 2 | 0 | .500 | 二ゴ | 投安 | 遊安 | 左飛 | |||||
2 | (右) | 長嶺(宮﨑工) | 3 | 1 | 1 | .333 | ニゴ | 三振 | 投ギ | 左安 | |||||
3 | (左) | 菅野(東海大相模) | 4 | 1 | 1 | .250 | 遊ゴ | 左飛 | 右二 | 二飛 | |||||
中 | 海部(履正社) | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
4 | (一) | 岡大(倉敷商) | 4 | 1 | 0 | .250 | 左二 | 遊失 | 二ゴ | 遊失 | |||||
5 | (三) | 糸原(開星) | 2 | 0 | 0 | .000 | 一ゴ | 中飛 | 四球 | 四球 | |||||
6 | (中) | 中嶋(桐蔭学園) | 1 | 0 | 1 | .000 | 右犠飛 | 一邪飛 | |||||||
打 | 高山(日大三) | 1 | 0 | 0 | .000 | 右飛 | |||||||||
中左 | 中原(横浜) | 1 | 0 | 0 | .000 | 一飛 | |||||||||
7 | (投) | 山崎(日大三) | 3 | 1 | 0 | .333 | 遊ゴ | 一ゴ | 右二 | ||||||
打 | 眞榮平(興南) | 1 | 0 | 0 | .000 | 三振 | |||||||||
投 | 北田(倉吉東) | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
投 | 上原(広陵) | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
8 | (捕) | 坂本(履正社) | 3 | 1 | 1 | .333 | 二邪飛 | 三振 | 三ギ | 左安 | |||||
9 | (ニ) | 大塚(花咲徳栄) | 2 | 0 | 0 | .000 | 投ゴ | 一ゴ | |||||||
打 | 上西(明大中野八王子) | 1 | 1 | 1 | 1.000 | 左安 | |||||||||
走 | 七田(小城) | 0 | 0 | 0 | — | ||||||||||
二 | 吉田(佼成学園) | 1 | 0 | 0 | .000 | ニゴ | |||||||||
計 | 31 | 8 | 5 | .258 | |||||||||||
名 前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 球数 | 安 | 振 | 球 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◯山崎(日大三) | 1 | 1 | 0 | 8 | 89 | 1 | 12 | 1 | 0 | 0.00 |
北田(倉吉東) | 1 | 0 | 0 | 1/3 | 6 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0.00 |
上原(広陵) | 1 | 0 | 0 | 2/3 | 8 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0.00 |
10 | 中嶋(法4=桐蔭学園) | 22 | 高橋隼(法3=日本文理) | 6 | 福田(商3=広陵) |
---|---|---|---|---|---|
11 | 山崎(政経3=日大三) | 12 | 坂本(文2=履正社) | 14 | 七田(商3=小城) |
18 | 今岡(文3=横浜隼人) | 25 | 岡大(政経4=倉敷商) | 8 | 中原(文4=横浜) |
29 | 北田(法3=倉吉東) | 33 | 眞榮平(政経3=興南) | 26 | 長嶺(文3=宮崎工) |
1 | 上原(商2=広陵) | 4 | 大塚(商2=花咲徳栄) | 7 | 菅野(法2=東海大相模) |
17 | 柳(政経1=横浜) | 16 | 吉田(国際1=佼成学園) | 9 | 高山(文2=日大三) |
23 | 星(政経1=宇都宮工) | 5 | 糸原(営3=開星) | 24 | 海部(商2=履正社) |
27 | 西村祐(法4=春日部共栄) | 35 | 青野(商2=広島国泰寺) | ||
32 | 柴田(法4=中京大中京) | 38 | 上西(営2=明大中野八王子) |
試合後のコメント
2回に先制の犠飛を放った中嶋
「立ち上がりに固さはありましたし、開会式後すぐの試合の入りに難しさを感じました。先制の場面は1死三塁だったので、最低でも外野フライを打とうと高めの変化球を狙っていました。まだこれといって打者陣がつかめていないのですが、悪いなりに点を取れたことやバントをきっちりできていたので今できることをやっていけば乗っていけると思います。一戦目からいいスタートとはいきませんでしたが、今日帰ってしっかり調整をしていい状態でまた試合に臨みたいです。厳しい戦いになりますが、一戦一戦やっていきたいです」
4番に座った岡大
「まだ全然率を残せていないので、今日できなかったことを修正して明日からまた切り替えていこうと思います。(先制につながった二塁打は)打ったのはスライダーです。逆らわずに素直に打ち返そうと思って打ちました。(野手に専念して迎えたシーズンですが)今まで投手と野手、両方やってきて思うような結果が残せなかったので、今回は絞ってやって良かったと思います。4番も打たせてもらっているので、4番としてもチームに貢献していきたいです。日本一になるために自分がどうしたらいいか、しっかりと考えてやっていきます。具体的な意気込みとしては三冠王を目指しています」
リーグ戦初先発出場を果たし3打数1安打の長嶺
「(リーグ戦初出場について)監督が使ってくれたのでその期待に応えようと思い、試合に臨みました。序盤から打ち取られていたのでまずいと思いましたが、最後に1本出たので良かったです。(7回のタイムリーは)スライダーです。ここで1本出したかったので、初球から振っていきました。調子は悪くないです。オープン戦で結果が残せたのでスタメンで出場できたと思います。評価されたのは多分バッティングです。また今回も1本出せたので良かったです。チームに貢献できるように明日からも頑張ります」
2安打2盗塁の活躍を見せた福田
「初戦だったので少し地に足が着いていませんでした。でも2回に1点取った時にはいけると思いました。(5回終わった時点で)後半に向けて逆方向を意識して詰まっても持っていこうと思って打席に立ちました。今日の試合に点数を付けるとしたら50点くらいです。明日はミスをなくして攻撃していきたいです」
8回無失点に抑え開幕白星を挙げた山崎
「開幕投手を伝えられたのは今週の水曜日です。特に気負いはなかったですが、やってやろうという気持ちはありました。直球の調子は良いわけではなかったですが、コースに決まっていたのでそれは良かったと思います。今日は直球よりは変化球を多く投げることを意識しました。東大打線に投げてみて、変化球が低く決まらなければいけないなと思いました。夏の下半身強化の成果はまだそれほど出ていないと思います。これから出ると思います」
好リードで山崎を引っ張った坂本
「(8回の適時打について)打ったのは真ん中あたりのカーブです。もっと最初の方に打っておくべき球でした。序盤であのカーブを攻略しなければいけませんでした。(東大打線にまともな打撃をさせなかったことについて)今日もピッチャーのいい球で攻めていけました。(山崎)福也さんは絶好調でした。特にフォークが良かったです。初戦勝てたことは良かったですが、勝ち方が悪いです。いい勝ち方をできるようにこだわっていきたいです」
6回に右前適時二塁打で追加点を挙げた菅野
「白星スタートを切れたのはいいことだと思います。内容は良くなかったので、明日またいい内容で勝って、次の早大戦に向かいたいと思います。(二塁打を放った打席には)前の回も厳しいピンチだったのでとにかく1点取って流れを自分たちに引き寄せたらなと思って打席に向かいました。大事な場面で打つのが自分の仕事だと思っているのでそれができて良かったです。連覇することが目標なので、1試合1試合で与えられた打席で結果を出していきたいと思います」
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対東大戦
9月15日 13時半試合開始予定(三塁側)
神宮球場アクセス
・東京メトロ銀座線 外苑前駅より徒歩3分
・都営大江戸線 国立競技場駅より徒歩7分
・JR総武線 信濃町駅より徒歩7分 千駄ヶ谷駅より徒歩10分
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