たった13人で準優勝 一人一人の成長へとつながる /木村杯新人戦

2013.07.15
たった13人で準優勝 一人一人の成長へとつながる /木村杯新人戦
 新人戦の頂点に登り詰めることはできなかった。準決勝はいきなり初回に先制点を奪われたものの、その裏、4点を挙げ逆転。その後、勢いづいた打線は最終的に11得点を奪った。このままの勢いで優勝旗を手にすると思われたが、翌日の決勝では投手の制球力の悪さが仇(あだ)となり、法大にあと一歩及ばなかった。しかし、1、2年生たった13人で構成されたチームで戦ったことは一人一人の自信につながった。

[準決勝]
 打線が好調を維持した。初回に慶大に1点を先制されたその裏の攻撃。一死後の四球を皮切りに、そこから4連打と相手のエラーで一気に4点を奪った。初回に相手に傾きかけた流れをこちらに引き戻した。その後も着実に追加点を重ねて、この試合12安打、11得点。初戦の東大戦に続く二桁得点でこの試合を決定づけた。

 先発の小田敏大(営1=明大中野八王子)は安定した投球を見せた。初回は「失投が多かった」(小田)と慶大打線に甘い球を狙い打たれ先制を許す。しかしその裏、味方打線が奮起し一挙に4点を奪い逆転に成功。「いい流れだったので一気にそれを引き寄せようと思った」(小田)と2回以降は慶大打線を圧倒した。試合の後半は大量リードに守られながらの投球となったが、気を緩めずに丁寧にコーナーを突くピッチングを見せた。結局一人で最後まで投げ切り、9回2失点で完投勝利を挙げた。「小田はコントロールよく投げてくれたので、今日は良かった」とリードした吉田由宇(法2=日大文理)も小田の好投を称えた。  

[決勝]
 「優勝が懸かっていた試合なので自分のできることをしようと思った」と語った先発の高山智也投手(商1=明大中野八王子)だったが、3回裏に無死満塁の危機を迎え、結局5失点を喫してしまう。「足を上げたときにもう違和感があった」(高山)と暴投により三塁走者を生還させてしまう場面も2回あった。四球は少ないが、甘い制球により相手打者に5本もの安打を許す。さらにこの回で遊撃手と三塁手の失策があった。投手だけでなく、守備側も打点を取られないよう守りを固めていくことが大切だ。「来年や次のチームのときに活躍できるよう、もっとしっかり練習して一から自分を見つめ直していきたい」と高山は次の目標を語った。明大の紫紺のユニフォームを着て間もないが、課題はたくさん見つかったようだ。これから人一倍練習を積んでいくことが、チームに貢献を果たす最大の決め手となる。

 打線は粘りを見せた。「点を取られていたので、ホームランは狙っていなかったが、つなげば何かあると思った」と6回1死一、二塁で萩谷直斗(営1=水城)が右中間を越える本塁打を放った。ここで3得点を挙げ、相手と5点差となる。さらに明大の反撃は続き、8回に野崎優(情コミ1=明大中野八王子)がセンターを越える二塁打を放つ。「自分の持ち味は打つこと」(野崎)きれいに弧を描き飛んでいったボールは、相手選手の手に渡らなかった。ここまで着実に追い上げてきた明大だったが、その後の打線は沈黙。法大優勢のまま13人で戦った新人戦は幕を閉じた。

 今回の新人戦は1、2年が13人と少ない中での戦いが求められた。まして今日の試合は2人が欠席で11人という中で「(3、4年生がいないので)一人、一人がやれることや、役目を試合の中でもベンチでも考えてやってくれていた」(吉田)というように、今後に向けても良い経験となった。これからの課題は守備を固め、投手が危機に陥ったときに助ける力をつけること。グラウンド内でのコミュニケーションがもっと必要である。一人一人が努力を怠らず、前へ向かっていくことがチームを最大限に飛躍させる力となる。

 試合後、春季リーグ戦の閉会式が行われた。明大からは加藤直紀(商3=明大中野八王子)と寶田慎太郎(営2=東北)がベストナイン(外野手)を受賞した。

[佐藤広樹・橋本杏菜]

大会後のコメント
吉田

「(今日の試合を振り返って)人数も少ないし、向こうの方が明らかに上。ミスしたら負けというのがあった。3回にピッチャーが崩れてこの回楽にしてやりたいという気持ちだった」

高山
「優勝が懸かっていた試合なので自分のできることをしようと思ったが、やっぱり法政は強いなという印象を持ちながら投げていた。自分の課題はコントロールだが、今日はそこがうまくいかなかった。しっかり投げられなかったことがすごく悔しい。秋もあるし、1年生でもあるのでこれから思いっ切り練習をやりたい。来年や次のチームのときに活躍できるよう、もっとしっかり練習して一から自分を見つめ直していきたいと思う。自分の実力をしっかり受け止めて一歩一歩行きたい」

野崎
「ピッチャーを守備で助けられなかったというか。ずっと明八(明大中野八王子高)で同じことをやってきて、繰り返してしまった。(8回の2点二塁打について)自分の持ち味は打つことなので、今までそれで生きてきたので。(13人のチームだったが)甲子園出た人たちは技術あるので、ひっくり返せたと思う。一人一人の技術はあっち以上か、変わらないと思う。勝ちたかった。(代の印象は)みんな仲はいいので、コミュニケーション、特にグラウンド内でのコミュニケーションがもっと必要だと感じた。(今後に向けて)自分はまだまだこれからもっとアピールして自分の技術を先輩方に見てもらって、日々練習してメンバーに組み込めたらいいなと思う」

萩谷
「(ホームランについて)点を取られていたので、ホームランは狙っていなかったが、つなげば何かあるなと思った。その前(の打席)で簡単にアウトになったので、しっかり打ってつないでいけば何かあるかなと。(13人という人数の少なさは)やる前は正直きついかなと思っていたが、やってからは今日ももしかしたら倒せたかもしれないし、意外にやれたので良かった。(自信にはなったか)自分は春のリーグ戦出ていて打てなかった。今いい感じになってきたので自信は付いてきた。(どんなチームだったか)みんな明るいし、今日見たみたいに粘れたので、期待できると思う。(今後に向けて)出ているからには中心となってやっていかないといけないと思う。やるからには勝ちたいので、みんなを引っ張っていけるように頑張りたい」