早大に勝利して激戦に決着 勝ち点を獲得/東京六大学春季リーグ戦

2013.05.01
早大に勝利して激戦に決着 勝ち点を獲得/東京六大学春季リーグ戦
 粘りの投球と集中打で早大を下し、勝ち点を奪取した。勝利を挙げた方が勝ち点を獲得する早大との第4戦。早大打線に11安打を放たれるも、関谷亮太投手(政経4=日大三)、今岡一平投手(文3=横浜隼人)の粘り強い投球で1失点に抑えた。打線は中嶋啓喜主将(法4=桐蔭学園)の2点適時二塁打、菅野剛士外野手(法2=東海大相模)の2点本塁打などで序盤に集中5得点を挙げた。昨春の王者の早大に勝利して勝ち点を2に伸ばし、5年ぶりの春優勝に一歩前進した。

 ピンチの連続も最少失点に抑えた。先発マウンドにあがったのは関谷。「ストレートは悪くなかったが、コントロールがいまいちだった」(関谷)と直球の制球が定まらず、早大打線に8本もの安打を打たれて毎回走者を背負った。しかし「誠志郎(坂本捕手・文2=履正社)が変化球中心に組み立ててくれた」(関谷)とバッテリーを組んだ坂本が変化球中心のリードを行った。2回の1死一塁の場面では、重信、大野大(ともに早大)を変化球で2者連続三振に取るなど要所を締める投球を披露。失点を有原(早大)のソロ本塁打の1点のみに抑えた。関谷のあとを受け6回から登板した今岡も、6回に1死三塁、7回には無死一、二塁のピンチを招いた。しかし直球を決め球に使い、後続を断って無失点に抑えた。早大打線に計11安打を許しはしたが、2人のピンチを断ち切る投球で最少失点にとどめた。

1回表2死二、三塁 2点適時二塁打を放った中嶋
1回表2死二、三塁 2点適時二塁打を放った中

 復調の兆しを見せた。1点をリードした初回2死二、三塁。6番に座った中嶋が先発の高梨(早大)のインコースのストレートをはじき返し、左翼線を襲う痛烈な適時二塁打を放った。これで走者2人が返って2点を追加。中嶋は塁上でベンチに向かって大きくガッツポーズで応えた。中嶋は開幕からフルイニング出場を果たすも、この試合まで打率1割、打点はわずかに1と不調に陥っていた。「今まで打てるところで打てず、情けない主将だったので、チームのみんなの気持ちを背負って打った」(中嶋)と主将の意地を見せ、高梨をマウンドから引きずり下ろした。

初本塁打を記録した菅野
初本塁打を記録した菅野

 期待の若武者も台頭の予感だ。1点を返されて迎えた3回表。先頭の糸原健斗内野手(営3=開星)が一塁ベース直撃の2塁打で出塁すると、ここで打席に入ったのは2年生ながら、好調な打撃を買われ立大3回戦から4番に座る菅野。1ボール2ストライクとなってからの4球目を完璧に捉え、リーグ戦初本塁打を右翼席へと突き刺し2点を追加した。追い上げられての嫌な展開。「インコースの直球で2球追い込まれたので、最後も同じ球で勝負に来ると予測した」(菅野)と、何とかして流れを変えたい場面で4番の仕事をきっちりとこなした。

 ミスに乗じた攻撃で効果的に得点した。1失点に抑えたものの、早大に11安打を許した。一方、明大は7安打と安打数では劣った。命運を分けたのは守備陣の失策だった。2死一、三塁、先制の好機で5番岡大海内野手(政経4=倉敷商)の放った打球は三塁の前へ。万事休すかと思われたが、この打球を三塁手の石井(早大)が送球エラー。走者が1人返り先制点を挙げ、好機をつないだ。結果、続く中嶋にタイムリーが生まれるなど1安打で3点を奪った。4回以降は早大の継投の前に無得点に抑えられたが、序盤の集中得点が決め手となった。

 4日間に渡る激戦に決着をつけ、優勝へ一歩リードした。優勝候補の早大との計4試合にわたる激戦を制し、勝ち点を2に伸ばした明大。第1戦では大敗を喫したが、第2戦で引き分けに持ち込むと、第3戦、第4戦ではそれまで不調だった打線が復調し、連勝を果たした。昨秋も今季と同じように立大、早大から2カード連続で勝ち点を獲得したが、優勝を逃した。今季はそのリベンジを果たす。次戦の相手は浜田新監督就任後、戦力向上に努める東大。赤門旋風に燃える相手を倒し、優勝へ突き進む。

[森大輔]

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前
(遊) 福田(広陵) .269 四球 二ゴ    中飛       遊ゴ    左安
(二) 宮内(習志野) .077 一ギ 右飛       遊ゴ    中飛    左飛
(三) 糸原(開星) .227 三振    右二    中飛    三振      
(左) 菅野(東海大相模) .350 四球    右本    四球       四球   
(一) 岡大(倉敷商) .250 三失    右飛    遊ゴ       二飛   
(中) 中嶋(桐蔭学園) .167 左二    一ゴ       右安    中飛   
(右) 高山(日大三) .080 三飛    一ゴ       捕飛    三振   
海部(履正社) .000                           
(捕) 坂本(履正社) .222    左安 遊ゴ

一ギ       左安
(投) 関谷(日大三) .143    一ギ      三振               
宮武(三重) .167                中直         
今岡(横浜隼人) .000                         投併
   31 .204                        

◆明大投手成績◆
名 前 球数
○関谷(日大三) 94 1.42
今岡(横浜隼人) 67 2.35
◆ベンチ入りメンバー◆
19 関谷(政経4=日大三) 18 今岡(文3=横浜隼人) 10 中嶋(法4=桐蔭学園)
11 山崎(政経3=日大三) 12 坂本(文2=履正社) 糸原(営3=開星)
31 月田(商3=熊本工) 25 岡大(政経4=倉敷商) 福田(商3=広陵)
上原(商2=広陵) 32 柴田(法4=中京大中京) 28 小倉(文2=関西)
17 柳(政経1=横浜) 宮内(政経2=習志野) 26 宮武(商4=三重)
23 星(政経1=宇都宮工) 14 大塚健(商2=花咲徳栄) 菅野(法2=東海大相模)
石畑(商4=広陵) 原島(農4=国士舘) 高山(文2=日大三)
27 西村祐(法4=春日部共栄) 35 石井(営2=履正社)
24 海部(商2=履正社) 38 上西(営2=明大中野八王子)
勝敗表 第3週  4/30現在
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
法大          ○○ ○○ 4 4 0 0 2 1.000
明大    ●△○○ ○●○    7 4 2

1 2 .667
早大    ○△●●       ○○   6 3 2 1 1 .600
立大    ●◯●    ○●○    6 3 3 0 1 .500
慶大 ●●       ●◯●    5 1 4 0 0 .200
東大 ●●    ●●       4 0 4 0 0 .000

試合後のコメント
先制の適時打を放った中嶋
「厳しい試合を3戦続けてイーブンまで持っていけたので、全員で粘り強く戦うことができました。タイムリーの球はインコースのストレートです。今まで打てるところで打てず、情けない主将だったので、チームのみんなの気持ちを背負って打ちました。昨日からチーム全体でバットを短く持とうと話していきました。早稲田の投手の球はみんな速いので、監督からもそう言われました。自分はこれで結果が出たので、感覚とかよりも結果が出る打ち方をしようと思います。2戦目の引き分けが大きかったです。早稲田はがっくりきていたと思うので、勝ちに等しい引き分けでした。優勝へはまだまだこれからなので、勝ってかぶとの緒を締めろじゃないですが、気を引き締めてこれからも頑張りたいです」

先発し、今季初勝利を挙げた関谷
「ヒットをたくさん打たれたけど、前もって監督からは打たれるだろうとは言われていました。なので、落ち着いて目の前のバッターを打ち取っていくだけでした。自分のピッチングをすればいいと思い、投げました。有原選手に本塁打を許したが、それは仕方ないです。むしろ、その後の土屋選手に許したヒットを悔やんでいます。でも、最少失点に抑えられて良かったです。9安打を許しながら抑えた要因は、誠志郎が変化球中心に組み立ててくれたことです。ストレートも悪くはなかったけど、コントロールがいまいちでした。誠志郎の存在は本当に大きいです。2試合目に引き分けたことは大きかったです。投手陣全体で粘れていますし、バックもしっかり守ってくれる。チームとして、本当にいい状態にあります。昨年も同じ組み合わせで、立教、早稲田に勝ちながら優勝を逃しました。なので、気を抜かず頑張っていきます。個人的には昨年、東大にやられたのでリベンジしたいです。優勝は意識せず、一つ一つ考えていきます」

2番手で登板した今岡
「3年目にしてやっといい形で投げることができました。今日はストレートが良かったです。いつも気を抜いて打たれるので、気を引き締めていきました。ランナーを背負う場面が多かったですが、プレッシャーも無く、思い切って投げられました。チームも4戦を戦って強くなったと思います」

リーグ戦初本塁打を放った菅野
「ホームランは高めの直球を打ちました。感触は良かったです。風にも乗ってうまく飛んでいきました。ホームランの前に、インコースの直球で2球追い込まれたので、最後もインコースで勝負にくるだろうと予測していました。有原選手は第1戦のときと比べると球威は落ちていましたが、いい投手なだけに攻め方も以前の試合から変えてきていました。でもそのいい投手から打てたので、自分をほめてやりたいです」