息詰まる投手戦を制し新人戦最多34回目の優勝を果たす/東京六大学秋季新人戦

優勝を決め、マウンドに駆け寄る選手たち
相手投手の乱れから1点をもぎ取った。法大の浅野、青木の両投手の前に打線はチャンスを生かすことができず、10回まで無得点。だが11回にチャンスが訪れた。2死後に途中出場の小倉貴大外野手(文1=関西)が左前安打で出塁。すると法大2番手・青木がリズムを乱し、その後2四死球。2死満塁というこの日最大の好機を迎えた。ここで打席には、この日2安打の高橋隼。「甘い球が来たら打ってやろうと思って打席に立った」。しかしその言葉とは裏腹に、制球が定まらない青木(法大)のボールに手を出さず、3ボール1ストライクと追い込む。5球目も冷静に見送り、押し出しの四球を選んだ。ボールを見送った瞬間、高橋隼は軽くガッツポーズを見せる。この1点が決勝点となった。
9回を無失点に抑えた月田
決勝の舞台で最高のピッチングを見せた。先発のマウンドを託されたのは月田。立ち上がりから法大打線を手玉に取る。4回の3者連続で三振奪うなど、三振の山を積み上げた。3回裏に四球と安打で2死一、二塁のピンチを迎えたが、畔上(法大)を三振に切って取る。このピンチを切り抜けると、月田は4回から9回に入るまで一本の安打も許さない圧巻の投球。6回には2四球を許し2死一、二塁のピンチを招くも前日に本塁打を放っている主砲・伊藤諒(法大)を中飛に仕留めた。「とにかく自分のピッチングをやろうと心掛けた」(月田)と9回を投げ被安打2、10奪三振の好投。3回と6回以外は法大打線にスキを全く与えない投球を披露した。10回から後を引き継いだ内海も威力ある直球を武器に2回を打者6人で抑える。前日の立大戦では制球が定まらず不安定な内容だったが「今日の投球は自信になった」(内海)と来季に向けて手応えの残る投球だった。
新人戦優勝回数でトップに躍り出た。「(法大と)優勝回数が並んでいたので、勝つぞと話していた」(東儀学生コーチ・農4=桐蔭学園)。今季の公式戦最終試合を勝利で終えた明大。新人戦の連覇は選手たちにとって大きな自信となったはずだ。今回の経験を糧に来春の優勝を目指す。
[中田宏明]
打順 | 守備 | 名 前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (遊) | 宮内(習志野) | 3 | 1 | 0 | .500 | 中安 | 右飛 | 四球 | 投ギ | 二ゴ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2 | (二) | 大塚健(花咲徳栄) | 3 | 0 | 0 | .166 | 三振 | 二ゴ | 三振 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
打三 | 石井(履正社) | 2 | 0 | 0 | .000 | 右飛 | 三振 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | (三)二 | 糸原(開星) | 4 | 0 | 0 | .000 | 四球 | 遊ゴ | 遊ゴ | 中飛 | 三振 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 | (右)左右 | 菅野(東海大相模) | 5 | 0 | 0 | .000 | 二ゴ | 一ゴ | 遊ゴ | 一ゴ | 遊ゴ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5 | (左) | 水井(佼成学園) | 3 | 1 | 0 | .333 | 三振 | 中二 | 二直 | 三振 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中 | 小倉(関西) | 1 | 1 | 0 | .750 | 左安 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6 | (一) | 植田(関西) | 4 | 2 | 0 | .428 | 右飛 | 二ゴ | 右安 | 右安 | 死球 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7 | (中)右 | 海部(履正社) | 4 | 0 | 0 | .142 | 三振 | 右飛 | 遊ゴ | 一ゴ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
打 | 眞榮平(興南) | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 四球 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
走左 | 長嶺(宮崎工) | 0 | 0 | 0 | .000 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8 | (捕) | 高橋隼(日本文理) | 4 | 2 | 1 | .285 | 一失 | 右安 | 左飛 | 中安 | 四球 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
9 | (投) | 月田(熊本工) | 1 | 0 | 0 | .000 | 三振 | 捕ギ | 四球 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
打 | 七田(小城) | 0 | 0 | 0 | ― | 投ギ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
投 | 内海(桐蔭学園) | 1 | 0 | 0 | .000 | 三飛 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
計 | 36 | 7 | 1 | .238 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
名 前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 球数 | 安 | 振 | 球 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月田(熊本工) | 1 | 0 | 0 | 9 | 116 | 2 | 10 | 4 | 0 | 0.00 |
○内海(桐蔭学園) | 2 | 1 | 0 | 2 | 34 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0.00 |
17 | 古屋(営2=明大中野八王子) | 3 | 眞榮平(政経2=興南) | 1 | 喜多(商2=金沢錦丘) |
---|---|---|---|---|---|
18 | 北田(法2=倉吉東) | 13 | 植田(文2=関西) | 6 | 長嶺(文2=宮崎工) |
19 | 今岡(文2=横浜隼人) | 15 | 石井(営1=履正社) | 7 | 水井(法2=佼成学園) |
23 | 湖山(商2=米子西) | 4 | 大塚健(商1=花咲徳栄) | 27 | 野地(政経2=明大明治) |
31 | 月田(商2=熊本工) | 14 | 七田(商2=小城) | 28 | 小倉(文1=関西) |
21 | 内海(商1=桐蔭学園) | 5 | 糸原(営2=開星) | 29 | 海部(商1=履正社) |
2 | 高橋隼(法2=日本文理) | 16 | 川野(政経2=明大中野) | 32 | 高橋亮(政経1=前橋育英) |
12 | 井上(文2=錦城) | 37 | 菅野(法1=東海大相模) | ||
22 | 中村修(文2=粉河) | 26 | 宮内(政経1=習志野) |
選手コメント
指揮を執った東儀正太学生コーチ
「先発の月田が粘ってくれました。守備も目立ったエラーがなく、明大らしい野球ができたと思います。タイムリーではないですが、あの場面で1点を取れたのは本当に大きかったです。投手も、どの投手でも信頼して使うことができました。期待に応えてくれました。(月田投手の好投について)いい投手なので期待はしていましたが、ここまでやってくれるなんて思いませんでした。(法大に勝って優勝したことについて)今秋のリーグ戦でも負けていて、法大とは新人戦での優勝数が並んでいたので、絶対勝つぞとみんなで話していました。4季連続で決勝で当たっていますし、勝てて本当にうれしいです。(後輩へメッセージ)自分たちは今年の春と秋は共に4位でしたが、今の下級生には元気も力もあるので、春秋連覇してくれると思います。今回で選手も自信が付いたと思うので、頑張ってもらいたいです」
決勝点となる押し出し四球を選んだ高橋隼
「みんなの力で勝つことができて本当にうれしいです。(押し出しの場面は)甘い球が来たら打ってやろうと思って打席に立ちました」
9回無失点と快投を見せた先発の月田
「とにかく勝てて良かったです。打たせて取ろうと思って投げたので、球数も抑えられたと思います。(10奪三振だったが)その延長だと思います。相手もいいピッチングをしていましたが、とにかく自分のピッチングをやろうと心掛けました。(9回115球を投げて)疲れはもちろんありましたが、絶対に勝ってやろうと思って投げました。(高橋隼とのバッテリーについて)いいキャッチャーです。これから2年間一緒に組んで勝っていきたいです」
10回から2回無失点に抑えて勝ち投手となった内海
「優勝したこともうれしいですが、お世話になった学生コーチに恩返しできて良かったです。今までの神宮での登板では自分に自信がなかったと思うので、今日の投球が自信になりました。また守ってる人に加えて、ベンチから応援してくれた人も心強かったです。三振を狙ったわけではないですが、真っすぐで空振りが取れたので真っすぐが良かったです。(来年に向けて)上原や山崎さん、月田さんといった左腕の争いに勝てるように頑張りたいです」
決勝のホームを踏んだ小倉
「(延長11回に青木選手から安打を放った球種は)直球でした。(昨日の準決勝で公式戦初スタメンを果たしましたが)緊張は多少ありました。それでもいつも通りを心掛けました。チームの迷惑とならないように、足を引っ張らないようにと思ってプレーしました。(来年の春期リーグまでのオフの間に)全てにおいて磨きをかけていきたいです」
関連記事
RELATED ENTRIES