息詰まる投手戦を制し新人戦最多34回目の優勝を果たす/東京六大学秋季新人戦

2012.11.01
息詰まる投手戦を制し新人戦最多34回目の優勝を果たす/東京六大学秋季新人戦
 延長11回に及ぶ大熱戦を制した。春秋連覇の懸かる明大は4季連続で法大と対戦。試合は両先発投手が好投し9回を終わって0-0。両チーム互いに譲らず試合は延長戦へ。迎えた11回に高橋隼之介捕手(法2=日本文理)が押し出しの四球を選び、貴重な1点を先取する。投げては月田雄介投手(商2=熊本工)、内海裕太投手(商1=桐蔭学園)の左腕リレーで法大打線を零封。延長戦までもつれる投手戦に勝利し、新人戦最多となる34回目の優勝を果たした。

優勝を決め、マウンドに駆け寄る選手たち
優勝を決め、マウンドに駆け寄る選手たち

 
 相手投手の乱れから1点をもぎ取った。法大の浅野、青木の両投手の前に打線はチャンスを生かすことができず、10回まで無得点。だが11回にチャンスが訪れた。2死後に途中出場の小倉貴大外野手(文1=関西)が左前安打で出塁。すると法大2番手・青木がリズムを乱し、その後2四死球。2死満塁というこの日最大の好機を迎えた。ここで打席には、この日2安打の高橋隼。「甘い球が来たら打ってやろうと思って打席に立った」。しかしその言葉とは裏腹に、制球が定まらない青木(法大)のボールに手を出さず、3ボール1ストライクと追い込む。5球目も冷静に見送り、押し出しの四球を選んだ。ボールを見送った瞬間、高橋隼は軽くガッツポーズを見せる。この1点が決勝点となった。

9回を無失点に抑えた月田
9回を無失点に抑えた月田

 
 決勝の舞台で最高のピッチングを見せた。先発のマウンドを託されたのは月田。立ち上がりから法大打線を手玉に取る。4回の3者連続で三振奪うなど、三振の山を積み上げた。3回裏に四球と安打で2死一、二塁のピンチを迎えたが、畔上(法大)を三振に切って取る。このピンチを切り抜けると、月田は4回から9回に入るまで一本の安打も許さない圧巻の投球。6回には2四球を許し2死一、二塁のピンチを招くも前日に本塁打を放っている主砲・伊藤諒(法大)を中飛に仕留めた。「とにかく自分のピッチングをやろうと心掛けた」(月田)と9回を投げ被安打2、10奪三振の好投。3回と6回以外は法大打線にスキを全く与えない投球を披露した。10回から後を引き継いだ内海も威力ある直球を武器に2回を打者6人で抑える。前日の立大戦では制球が定まらず不安定な内容だったが「今日の投球は自信になった」(内海)と来季に向けて手応えの残る投球だった。

 新人戦優勝回数でトップに躍り出た。「(法大と)優勝回数が並んでいたので、勝つぞと話していた」(東儀学生コーチ・農4=桐蔭学園)。今季の公式戦最終試合を勝利で終えた明大。新人戦の連覇は選手たちにとって大きな自信となったはずだ。今回の経験を糧に来春の優勝を目指す。

[中田宏明]

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前 10 11
(遊) 宮内(習志野) .500 中安    右飛    四球       投ギ    二ゴ   
(二) 大塚健(花咲徳栄) .166 三振    二ゴ    三振                  
  打三 石井(履正社) .000                      右飛    三振   
(三)二 糸原(開星) .000 四球       遊ゴ    遊ゴ    中飛       三振
(右)左右 菅野(東海大相模) .000 二ゴ       一ゴ    遊ゴ       一ゴ    遊ゴ
(左) 水井(佼成学園) .333    三振    中二    二直       三振      
  小倉(関西) .750                               左安
6  (一) 植田(関西) .428    右飛    二ゴ       右安    右安    死球
(中)右 海部(履正社) .142    三振       右飛   遊ゴ    一ゴ      
  眞榮平(興南) 1.000                               四球
  走左 長嶺(宮崎工) .000                              
(捕) 高橋隼(日本文理) .285       一失    右安    左飛       中安 四球
(投) 月田(熊本工) .000       三振    捕ギ       四球         
  七田(小城)                            投ギ   
  内海(桐蔭学園) .000                               三飛
   36 .238                                 

◆明大投手成績◆
名 前 球数
月田(熊本工) 116 10 0.00
○内海(桐蔭学園) 34 0.00

◆ベンチ入りメンバー◆
17 古屋(営2=明大中野八王子) 眞榮平(政経2=興南) 喜多(商2=金沢錦丘)
18 北田(法2=倉吉東) 13 植田(文2=関西) 長嶺(文2=宮崎工)
19 今岡(文2=横浜隼人) 15 石井(営1=履正社) 水井(法2=佼成学園)
23 湖山(商2=米子西) 大塚健(商1=花咲徳栄) 27 野地(政経2=明大明治)
31 月田(商2=熊本工) 14 七田(商2=小城) 28 小倉(文1=関西)
21 内海(商1=桐蔭学園) 糸原(営2=開星) 29 海部(商1=履正社)
高橋隼(法2=日本文理) 16 川野(政経2=明大中野) 32 高橋亮(政経1=前橋育英)
12 井上(文2=錦城) 37 菅野(法1=東海大相模)
22 中村修(文2=粉河) 26 宮内(政経1=習志野)

選手コメント
指揮を執った東儀正太学生コーチ
「先発の月田が粘ってくれました。守備も目立ったエラーがなく、明大らしい野球ができたと思います。タイムリーではないですが、あの場面で1点を取れたのは本当に大きかったです。投手も、どの投手でも信頼して使うことができました。期待に応えてくれました。(月田投手の好投について)いい投手なので期待はしていましたが、ここまでやってくれるなんて思いませんでした。(法大に勝って優勝したことについて)今秋のリーグ戦でも負けていて、法大とは新人戦での優勝数が並んでいたので、絶対勝つぞとみんなで話していました。4季連続で決勝で当たっていますし、勝てて本当にうれしいです。(後輩へメッセージ)自分たちは今年の春と秋は共に4位でしたが、今の下級生には元気も力もあるので、春秋連覇してくれると思います。今回で選手も自信が付いたと思うので、頑張ってもらいたいです」

決勝点となる押し出し四球を選んだ高橋隼
「みんなの力で勝つことができて本当にうれしいです。(押し出しの場面は)甘い球が来たら打ってやろうと思って打席に立ちました」

9回無失点と快投を見せた先発の月田
「とにかく勝てて良かったです。打たせて取ろうと思って投げたので、球数も抑えられたと思います。(10奪三振だったが)その延長だと思います。相手もいいピッチングをしていましたが、とにかく自分のピッチングをやろうと心掛けました。(9回115球を投げて)疲れはもちろんありましたが、絶対に勝ってやろうと思って投げました。(高橋隼とのバッテリーについて)いいキャッチャーです。これから2年間一緒に組んで勝っていきたいです」

10回から2回無失点に抑えて勝ち投手となった内海
「優勝したこともうれしいですが、お世話になった学生コーチに恩返しできて良かったです。今までの神宮での登板では自分に自信がなかったと思うので、今日の投球が自信になりました。また守ってる人に加えて、ベンチから応援してくれた人も心強かったです。三振を狙ったわけではないですが、真っすぐで空振りが取れたので真っすぐが良かったです。(来年に向けて)上原や山崎さん、月田さんといった左腕の争いに勝てるように頑張りたいです」

決勝のホームを踏んだ小倉
「(延長11回に青木選手から安打を放った球種は)直球でした。(昨日の準決勝で公式戦初スタメンを果たしましたが)緊張は多少ありました。それでもいつも通りを心掛けました。チームの迷惑とならないように、足を引っ張らないようにと思ってプレーしました。(来年の春期リーグまでのオフの間に)全てにおいて磨きをかけていきたいです」