打線沈黙 秋連覇の道閉ざされる/東京六大学秋季リーグ戦

2012.10.21
打線沈黙 秋連覇の道閉ざされる/東京六大学秋季リーグ戦
 秋連覇の夢ははかなく散った。慶大戦で勝ち点を落としたことにより、自力優勝がなくなった明大は、法大に連勝することが必須条件だった。慶大とは4回戦までもつれるも、計5得点。3番に代打成功率5割を誇る小川健太外野手(商4=横浜)を据え、得点力不足が目立った打線にテコ入れを行なった。しかし、先制はしたものの法大先発・三嶋に4安打に抑えこまれ敗戦を喫した。これで、優勝の可能性が完全に消えた。

 あと一歩及ばず。4安打8三振と、最終回に反撃を見せるも三嶋を打ち崩すことができなかった。初回、内野安打で出塁した高山俊外野手(文1=日大三)を二塁に進み、2死ながら先制のチャンスを迎える。ここで4番の岡大海投手(商3=倉敷商)が中前に運び、幸先良く1点を先制した。しかし、その裏に逆転を許してしまう。その後は防御率リーグトップを走る先発・三嶋に前に打線が沈黙。3回に高山が安打を放って以降は、8回まで三者凡退に抑えこまれた。しかし9回、1死から上本崇司内野手(商4=広陵)が相手の失策で出塁する。2死となるも、打席にはリーグ戦初スタメンの3番小川。フルカウントまで追い込まれたが、ファウルで粘る。8球目の甘いストレートを左前へ弾き返した。「チームの勝ちを考えていた」。4年目にして初のスタメンを勝ち取った男の一打で、1点を返すことに成功する。続く打席には、チームトップの打点を稼ぐ4番の岡大。しかし、1ボール、2ストライクと追い込まれると最後は空振り三振。岡大は試合終了後も悔しさのあまり、なかなか立ち上がることができなかった。

1回裏法大2死二塁<br />西浦直(法大)に勝ち越し打を許し、悔しい表情を見せる上原”align=left><br clear=1回裏法大2死二塁
西浦直(法大)に勝ち越し打を許し、悔しい表情を見せる上原

 法大のペースを変えることはできなかった。先発のマウンドを託されたのは、慶大2回戦で7回1失点の好投を見せた上原健太投手(商1=広陵)。しかし、初回先頭の建部(法大)に内野安打で出塁を許すと、続く岩澤(法大)に犠打で手堅く送られる。迎えるクリーンナップを抑えたいところだったが、3番の河合(法大)に左翼に適時二塁打、5番西浦直(法大)に適時三塁打を打たれてしまった。先制点をもらいながら、その裏に2失点を喫し1点を追う展開に。2回は三者で抑えたが、3回に再び捕まる。またも先頭の建部に四球で出塁を許し、岩澤に犠打で得点圏へと進塁させてしまう状況。初回の失点が頭をよぎった。河合の二塁打で1死二、三塁とピンチを広げる迎えるは4番の多木。「読み合いに負けた」(坂本誠志郎捕手・文1=履正社)とストレートを右前に運ばれ、さらに1点を失った。1回。3回とも先頭打者の建部が出塁し、岩澤の犠打、中軸の河合、多木の安打で確実に返し、得点を重ねた法大。「相手に飲まれてしまった」(上原)と、法大のペースを止めることはできなかった。

 5回からは山崎福也投手(政経2=日大三)がマウンドに上がった。中3日の疲れを見せることはなく、先頭打者に出塁を許す場面もあったが、その後は要所を締め、4回3安打4奪三振無失点と好投を見せた。「勝ちたいという気持ちが強かったので勝ちにつなげられなくて残念です」と、内容が良かっただけに悔しさが残る結果となってしまった。

 慶大に勝ち点を落とし、自力優勝が消滅してしまった明大は、この試合の敗戦で優勝の可能性は消滅。だが「4年生の先輩と少しでも一緒に野球がしたい」(坂本)と、まだリーグ戦が終わったわけではない。明日、明後日で連勝し、勝ち点を奪って一つでも上の順位を目指す。選手がどう意地を見せるか。何とかして春秋通じて目の前で他校の優勝を目の当たりにするのは避けたい。明日も目が離せない戦いが続く。

[柳浦美央]

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前
(遊) 上本(広陵) .265 左飛    中飛       遊ゴ    一失
(中)右 高山(日大三) .286 二安    中安       三振       三振
(右)左 小川(横浜) .400 一ゴ       二ゴ       三振    左安
廣崎(明大明治)                        
(一) 岡大(倉敷商) .383 中安       遊ゴ       右飛    三振
5  (左) 小室(昌平) .500                           
  打左 菅野(東海大相模) .273 遊飛       三飛               
  山崎(日大三) .083                   三振      
(三) 原島(国士舘) .143    遊飛       三振            
  西村祐(春日部共栄) .000                  三振   
  宮内(習志野) .148                        
(捕) 坂本(履正社) .205    三ゴ      三ゴ          
  川嶋克(日南学園) .154                      中飛   
  高橋隼(日本文理) .000                        
上原(広陵) .250    左飛                     
今岡(横浜隼人) .000                        
打中 中嶋(桐蔭学園) .244             三振       二ゴ   
(二) 福田(広陵) .087       左飛       左飛       三ゴ
   31 .232                           

◆明大投手成績◆
名 前 球数
●上原(広陵) 21/3 41 1.93
今岡(横浜隼人) 12/3 24 1.50
山崎(日大三) 11 58 1.95
◆ベンチ入りメンバー◆
11 岡大(政経3=倉敷商) 小室(政経4=昌平) 10 田中勇(法4=鳴門工)
19 関谷(政経3=日大三) 33 原島(農3=国士舘) 小川(商4=横浜)
山崎(政経2=日大三) 福田(商2=広陵) 20 川嶋克(商4=日南学園)
23 今岡(文2=横浜隼人) 14 大塚健(商1=花咲徳栄) 中嶋(法3=桐蔭学園)
21 上原(商1=広陵) 15 糸原(営2=開星) 27 中原(文3=横浜)
31 月田(商2=熊本工) 35 石井(営1=履正社) 37 菅野(法1=東海大相模)
西村祐(法3=春日部共栄) 上本(商4=広陵) 38 高山(文1=日大三)
12 高橋隼(法2=日本文理) 26 宮内(政経1=習志野)
32 坂本(文1=履正社) 34 廣﨑(商4=明大明治)
勝敗表 第7週  10/20現在
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
法大 ●○● ○○ ◯○ ○○ 10 8 2 0 3 .800
早大 ○●○    ○●● ◯◯ ○○ 10 7 3 0 3 .700
慶大 ●●    ○●△○ ◯◯ △◯○ 11 6 3 2 3 .667
明大 ●○○ ●○△● ●○◯ ○○ 13 7 5 1 3 .583
立大 ●● ●● ●● ○●● 10 2 8 0 0 .200
東大 ●● ●● △●● ●● 10 0 9 1 0 .000

試合後コメント
田中勇次主将(法4=鳴門工)
「悔しいの一言です。1戦目勝たないと優勝がなくなるという状況だったので、今日で終わってしまうくらいの考えでやりました。勝つためには先制点、試合の入りから準備、練習の段階からしっかりやろうと話していました。先制点を取れましたが、すぐに逆転され、その後にすぐ追い付くけなかったのが痛かったです。慶大に敗れて中3日だったが、切り替えはできていたと思います。慶応に勝っていたにしろ、負けていたにしろ、法政に勝たないと優勝はないという状況だったので、優勝に向けて頑張っていこうと話していていました。春も秋もたくさん試合をして、精神的にもつらい試合を重ねて、3年生以下はたくさん試合に出ていたので、この経験は来年に生きてくると思いますし、優勝できなかった悔しさは、みんな持っていると思いますし、同じ悔しい思いをしてもらいたくないので、頑張ってほしいです」

9回に相手の失策で出塁した上本
「(負けたら優勝消滅)試合前は緊張しました。負けてしまったのは仕方ないです。優勝を逃してすごく悔しいですが、負けは負けです。(最終回はエラーで出塁し盗塁だったが)何とか塁に出て、どうにかしたかったです。(4年生としては)優勝して終わりたかったですけど…。明日は勝って、勝ち点取って終わります。」

リーグ戦初スタメンを果たした小川
「初めてスタメンで出れたのに、こういう結果になってしまい悔しいです。(スタメンを告げられて)チームのために貢献しようと思いましたし、チャンスをもらえてうれしかったです。持ってるものを全て出してやろうと思いました。代打で場数は踏んでいましたし、緊張はなかったです。メンタル強くなりましたね。(9回のヒットは)チームの勝ちを考えて打席に入りました。打ったのは真っすぐです。(優勝はなくなってしまったが)4年生として最後です。自分は今日が初スタメンでしたし、最後まで諦めず頑張ればこういうこともあります。後輩たちに何か残したいです」

8回に代打で出場した川嶋克弥外野手(商4=日南学園)
「優勝できず悔しいです。法政も優勝のチャンスがあるので三嶋投手は気合いの入ったピッチングをしていると感じました。(法大との差は)負けたという結果が全てです。ミスをしてしまったのが痛かったです。(明日の試合に向けて)来季につながる試合をしたいと思います」

先制打を放った岡大
「4番として、結果が残せず申し訳なかったです。あと1本が出ず、自分が変わらないといけないと感じました。まだ試合があるので、勝ち点を取れるように貢献したいです」

5回から登板し、好投した山崎
「優勝がなくなったので悔しいです。一人一人もっとしっかりプレーしなきゃいけないと感じました。(4回無失点の好投は)内容は良かったですが、勝ちたいという気持ちが強かったので勝ちにつなげられなくて残念です。(今日は上級生が活躍して)4年生の力はすごいと思いました。最後も小川さんのタイムリーを見て、すごい力だなと感じました。(明日に向けて)優勝はないですが、今後に向けて勝ち点は落とせないので頑張りたいです」

先発の上原
「あんまり調子が良くなかったです。相手にも飲まれてしまい、自分のピッチングができなかったです。(2回は三者で抑えたのは)たまたまです。(明日に向けて)チームに貢献できるように頑張りたいです」

スタメンマスクを被った坂本
「上原は疲れがある中、今まで投げていました。今日もあまり状態が良くなくて、受けていて相手の打者に球が見やすい感じがあったと思います。でも、あれだけの球を投げられる投手が打たれるのは捕手である自分の責任だと思います。自分がもうちょっと上原に上手に投げさせれば良かったです。上原にも悪いですが、ああいう形で3点取られたのは全部自分の責任なのでチームにも申し訳ないという気持ちが強いです。1回は上原のインコースの直球が相手の左打者は全然見えていないと感じたので、2回はその直球と変化球を 効果的に使いました。そうすると相手の打者は対応できていなかったので、しばらくそれでいきました。しかし、3点目は多木選手に、そろそろ狙ってくるだろうなと思いながらもやはり一番いい球である左打者へのインコースのストレートを狙われて打たれました。これは多木選手と自分の読み合いに負けた結果です。自分の責任です。(坂本選手自身に疲れは)疲れは全くないです。他の選手のこと考えると、自分が疲れたとは言っていられないです。優勝はなくなってしまいましたが、今の4年生の先輩と少しでも長く一緒に野球をしたいです。明日、明後日勝って勝ち点を取りたいです」