
法大に大敗も次戦につながる反撃を見せる/東京六大学秋季リーグ戦
序盤に圧倒された。先発したエース赤尾裕希(文2=錦城)は「腕が振れていなかった」と1回に2失点すると、続く2回は連打と四球から5失点。自身最速最悪の2回7失点で無念の降板となる。代わって3回から登板となった酒井一輝(商3=明大明治)も制球が定まらない。3回は四死球と暴投だけで1点失うと、4回は長短5安打と3四球の打者一巡の猛攻を受け7失点。4回までに1-15と14点差を付けられ、勝負は決まったも同然であった。
1人の投手が流れを変えた。7回までに15点差がつけば歴史的屈辱のコールド負けになるという崖っぷちの中、酒井の後を継いだのは小出啓介(営3=明大中野八王子)だった。小出は今まで中継ぎエースとして多く登板していたが、失点と四球が多く安定性がなかった。しかし、この日の小出は四球こそ多く出したものの、粘り強く投げ抜いた。走者を背負う場面も多々あったが無失点。その好投に応えるかのように、徐々に守備や攻撃のリズムが明大に戻ってきた。7回表には四球の走者を1人おいて打席には投手の小出。追い込まれてからの高めの球をフルスイングした。「ああいういい当たりになるとは思わなかった」(小出)と球は右翼を越えて適時二塁打。バットでも流れを引き寄せた。
法大先発のエース大谷の制球難に付け込むも、反撃は及ばなかった。8回、先頭の岡田昌祥(法4=常葉学園菊川)が死球で出塁すると、すかさず俊足を生かし盗塁。続く4番の斉藤俊(文4=静岡)も四球で出塁すると、今度は重盗を決め無死2、3塁とチャンスをつくる。5番の加藤直紀(商2=明大中野八王子)の打球は相手遊撃手の失策を誘い1点入れると、次の小澤真吾(商4=掛川西)が「やるしかないと開き直った」と右適時打、8番滝沢周平(法3=明大明治)の内野適時安打も飛び出し、この回一挙3点を挙げる。ベンチも押せ押せの雰囲気となり、大差で負けていることなど存在しないような盛り上がりを見せた。しかし反撃もここまで。8回裏は小出に代わって登板した中村健太(政経4=新潟明訓)が3失点。とどめを刺された。
「途中から追い上げられたのでチームは前向き」(小澤)と次戦に向けてチームの雰囲気はいい。次戦は勝たなければ4年生にとって現役最後の試合となる。下級生たちも「がむしゃらにひたすら勝利を目指す」(小出)「最後は4年生のために勝って終わりたい」(赤尾)と勝利への執念は途切れていない。次戦はこの試合の後半の流れそのままに、悔いのない試合をしてもらいたい。
[毛利允信]
試合後のコメント
小澤
「(敗戦は)しょうがない。試合は割と楽しかった。5回をゼロに抑えられてから楽になった。それからやるしかない、と開き直った。最初に大量失点してきついなと思った。やっぱり最後だしいい試合がしたかったしできると思った。だからこの結果は予想外。4年生は最後だし全日本行けたし、締めくくる試合にしたいな、と。雰囲気だけは悪くしたくなかった。自分たちのいいところはいい顔をして野球をやっていること。それは貫きたかった。(明日へ向けて)途中から追い上げられたのでチームは前向き。振り返ると有意義な1年だった。明日は面白い試合がしたい。いつも通りやりたい」
小出
「(投球について)だいぶ点差がついた状態での登板だったが、自分の役割はピンチの時に出て流れを変えてチームにいい流れをもたらすというのが役割なので、少しはできたかなと。走者出しながらも点をやらない投球で流れをちょっとは変えられたと思う。野手もしっかり守ってくれていたので苦しい点差だったけれど僕はそれを信じて投げるだけだった。一緒に野手との連携を取れたことが、流れが良くなったことにつながったと思う。(適時二塁打について)日頃バッティング好きなので狙っていた部分があるが、まさかああいういい当たりになるとは思わなかったので、素直にうれしい。投球をちゃんとすれば打席も回ってくるものなので、二の次ではあるが打席に立たせてもらったらいい当たりを打とうかなと考えている。(明日に向けて)後半はいい形、いい攻撃いい守備があったのでそれを初回から。もう順位決まっているし、失うものは何もない。がむしゃらにひたすら勝利を目指していけば今日の後半みたいになって、勝機も見えてくるのではないかと思う」
赤尾
「今日は腕が振れていない、それが第一。それでストライクを取りいこうとしたから打たれたというのもあるし、腕振れていなくて自分に自信がなくて打たれたのかなと思う。悪い時は悪い時なりにある程度試合を作らないといけない。それが今回分かった課題。それが最後の最後で見つかって良かった。(2回7失点について)悔しいというか、ふがいない、申し訳ない、恥ずかしい。そのあとは開き直れた。これがあったから変われた、レベルアップしていければいいなと思った。(リーグ戦後半は多く打ち込まれている印象だが)長期的なスタミナというか、リーグ戦を全部やっていく中での調整とかそういうスタミナがまだついていないのかなと。連投したりするスタミナは大丈夫かなと思うが、そういうのが後半になって表れてきたのかなと。そこも改善すべきところ。(次戦に向けて)とりあえず明日勝って、3戦目チャンスあれば最後は4年生のために勝って終わりたいと思う」
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