全員野球で決めた!悲願の全日本選手権出場権獲得/全日本選手権予選会

2012.06.19
全員野球で決めた!悲願の全日本選手権出場権獲得/全日本選手権予選会
 

 「まさか(リーグ戦の)4連敗からここまで来られるとは」(伊藤晋太郎・営3=千葉経大附)。どん底から一体となった明大が3年ぶりに全日出場権をものにした。リーグ戦前半は泥沼の4連敗。「こんなチームが勝てるわけがないと思った」(小澤真吾・商4=掛川西)と諦めかけたこともあった。そんな逆境を跳ね返し、ぎりぎりリーグ戦2位に滑り込んだ驚異の4連勝の裏にはチームに変化をもたらすさまざまな選手の思いがあった。しかし、ただ一つ変わらないことは「全日に行きたい」という気持ち。「今はみんながカバーし合って、いいところ出すというのを全員ができている。そこが違う」(中村健太・政経4=新潟明訓)。連勝が必須となる予選会でもリーグ戦で得た経験が幾多の場面で生かされた。

<群馬大戦>
 全日本選手権に出場するためには2連勝しなければいけない明大。赤尾裕希(文2=錦城)をはじめメンバー全員が「粘り強い」野球でまず1勝目を挙げた。
 
 初回から打線が爆発した。連続の四死球で無死一、二塁の好機を逃さず、齊藤俊(文4=静岡)と伊藤が連続で二塁打を打ち一挙3得点を先制。2回には先発赤尾が捕まり2得点を返されたものの、3回に加藤直紀(商2=明大中野八王子)の犠飛とその後の暴投で三塁走者が還り2点を追加した。 
 
 先発を任された赤尾も「打たれても本塁に返さなければ点にはならないので、粘れたのは大きい」と、出塁を許しながらも粘り強い投球で追加点を許さない。7回には2得点を献上するが、その後の追加点は許さなかった。選手の誰もがこれまでのリーグ戦からの活躍も含め、赤尾の頑張りに称賛を送った。そして最終回に登板したのは酒井一輝(商3=明大明治)。2安打を許しピンチを広げながらも「自分がマウンド上がった以上は抑えるしかないというのがあった」(酒井)と気持ちで後続を打ち取った。全日本選手権出場のために絶対に負けられない一戦で見事勝利を挙げ、望みをつないだ。

横国大戦で試合をつくった酒井
横国大戦で試合をつくった酒井

<横国大戦>
 前日同様の速攻で相手の戦意を喪失させた。先頭の長谷部光主将(農4=広陵)がフルカウントから四球を選ぶと、岡田昌祥(法4=常葉菊川)がセーフティバントで出塁。最高の流れを演出し1死満塁とすると、伊藤が押し出しの四球で先制点を奪う。そして再び満塁の場面を迎えて打撃好調の品川直樹(法4=上宮)が魅せる。「今日の試合は入部してから一番大事だと考えてきたので絶対勝ちたいという気持ちだった。その気持ちがタイムリーにつながった」と右中間を破る3点二塁打。この回大量5得点で一気に突き放す。
 
 立ち上がり緊張で先頭打者に四球を許し不安定な先発の酒井。しかし「あの5点があったから、どんどん投げられた」と以降はテンポの良い投球で打者を翻弄(ほんろう)する。最終的に7回を投げて自責点1の2失点で全日へ大きく希望をつなぐ。
 
 攻撃は4回裏、初回以降三者凡退に終わっていた打線に加藤が本塁打で再び火をつける。フルカウントから内側に甘く入った球を見逃さずに振り切った。「昨日も全然駄目だったが長谷部さんが使ってくれたので」(加藤)と起用に応える一撃をきっかけに、6回終了時点で合計9得点と圧倒する。
 
 全日出場へ向け8回からマウンドに上がったのは中村。「誰もが全日行きたいと思っているからその想いを受けて投げた」(中村)と気迫の投球で8、9回を3人ずつでシャットアウト。最後は三塁手の船木翼(農3=広陵)がゴロを処理し、一斉にナインやベンチの選手がマウンドに駆け寄り喜びを爆発させた。

 
 
 例年にない驚異的な追い上げでリーグ戦を勝ち上がり、つかみ取った全国への挑戦権。「目標は新チームになった時から全国優勝」(中村)。ようやくその舞台が整った。「全日は夢の舞台。一生懸命やって、楽しく暴れたい」(船木)と気合は十分。このチームの好調を維持し全国の頂点まで一気に駆け上がる。