打順の組み換え成功。高山が決勝の三塁打でV戦線残る/東京六大学春季リーグ戦

2012.05.09
 大物ルーキーの一振りで、粘る法大を最後に突き放した。先制するも7回に追い付かれる苦しい試合展開。それでも最終回に高山俊外野手(文1=日大三)が決勝の勝ち越し三塁打を放ち、法大との4試合にわたる長い戦いに終止符を打った。1番に福田周平内野手(商2=広陵)、4番に石川駿内野手(政経4=北大津)に据えるなど打順の組み換えもズバリ的中。勝ち点を2に伸ばし優勝戦線に踏みとどまった。

 期待の新人が試合を決めた。明大は初回に2点を先行し、3回にも1点を奪うも、2回、6回、7回に1点ずつ奪われ同点とされてしまう。第2、3戦目と同じように終盤に追い付かれ重苦しい空気が漂ったが、高山が振り払った。3-3で迎えた9回、福田が中前打で出塁し犠打で2死二塁とすると、打席には1年生ながら3番に座る高山。「前の打席(スライダーで)やられていたので、それしか狙っていなかった」と、甘く入ったスライダーを捉える。打球は前進していたセンターの頭上を越え、二塁走者の福田が生還。打者走者の高山は持ち前の俊足を生かし、一気に三塁まで到達。前の3打席はいずれも得点圏で凡退していただけに、三塁上で喜びを爆発させた。昨年の夏の甲子園では、打率5割本塁打2本と日大三の主軸として活躍し、優勝の原動力になった。高山はここまで18打数7安打で3割8分9厘と新人離れした活躍。甲子園を沸かせたルーキーが神宮の舞台でも輝いた。

 打順の組み換えも功を奏した。明大は前の試合9番を打っていた福田を初めて1番に、さらに4番に石川駿内野手(政経4=北大津)に据える新打順で臨んだ。1番・福田が全打席で出塁し3得点を挙げると、4番・石川は2安打3打点と見事に新打線が機能。初回の1死三塁の場面では、石川が放った浅い外野フライに、三塁走者の福田が、俊足を飛ばして本塁に突入。間一髪のタイミングで本塁にヘッドスライディングで飛び込み先制点をもぎ取った。3回にも安打と盗塁で2塁に進んだ福田を、石川が中越えの二塁打で返した。今まで好機で1本が出なかったが、この日は打つべきところで1本が飛び出した。

 先発を任されたのはリーグ戦初先発の月田雄介投手(商2=熊本工)。ここまでリリーフで起用されてきたが、重要な一戦で先発し粘投した。序盤から得点圏に走者を背負う苦しい立ち上がり。2回に1点を失い、5回には安打と四球を与え、1死二、三塁のピンチを迎える。だが、この緊迫した場面にも「昨日、おとといとピンチの中で投げているし、緊張せず思い切り投げることができた」と、落ち着いた投球を披露。伊藤諒(法大)を内角のツーシームで遊飛に打ち取ると、多木(法大)からは外のスライダーで三振を奪いピンチを切り抜けた。6回に連打で1点を奪われ降板したが、5回2/3を2失点にまとめ、勝利を呼び込んだ。

 法大から勝ち点を奪い、何とか優勝争いに残った。だが次に控えるは、現在リーグ戦1位の早大。投打ともに好調なチームだけに厳しい試合が予想される。まだまだ秋春連覇に向け、負けられない戦いが続く。

[髙村洋輔]
打順 守備 名 前
◆明大打撃成績◆
(二) 福田(広陵) .370 四球 右安 四球 四球 中安
(遊) 上本(広陵) .214 投ギ 三振 投ギ 三振 投ギ
(右) 高山(日大三) .389 二安 中飛 二飛 三振 中三
(三) 石川(北大津) .379 左犠 中二 右飛 四球 左安
(一) 山崎(日大三) .296 二失 遊ゴ 遊直 一飛 左飛
(左) 川嶋克(日南学園) .323 左飛 死球 三振 一ゴ
(捕) 高橋隼(日本文理) .286 三振 一ゴ 右飛 四球
(中) 中原(横浜) .000 遊飛 中飛 右飛
小川(横浜) .500   
水井(佼成学園) .000 投ゴ
田中勇(鳴門工) .000   
(投) 月田(熊本工) .000 三振 遊ゴ
関谷(日大三) .300 中二 二ゴ
     31 .277                           

名 前 球数
◆明大投手成績◆
月田(熊本工) 5 2/3 86 2.00
○関谷(日大三) 3 1/3 51 1.14
◆ベンチ入りメンバー◆
18 大久保(文4=花咲徳栄) 32 坂本(文1=履正社) 10 田中勇(法4=鳴門工)
11 岡大(政経3=倉敷商) 13 植田(文2=関西) 小室(政経4=昌平)
19 関谷(政経3=日大三) 福田(商2=広陵) 小川(商4=横浜)
山崎(政経2=日大三) 14 大塚健(商1=花咲徳栄) 20 川嶋克(商4=日南学園)
31 月田(商2=熊本工) 石川(政経4=北大津) 中嶋(法3=桐蔭学園)
21 上原(商1=広陵) 15 糸原(営2=開星) 27 中原(文3=横浜)
石畑(商3=広陵) 上本(商4=広陵) 38 高山(文1=日大三)
33 眞榮平(政経2=興南) 16 池田秀(農4=長野日大)
12 高橋隼(法2=日本文理) 37 水井(法2=佼成学園)
試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第4週  5/8現在
早大 ○○ ○○ 4 4 0 0 2 1.000
法大 △○○ ●△○● ○○ 9 5 2 2 2 .714
慶大 △●● ○○ ○○ 7 4 2 1 2 .667
明大 ○△●○ ●● ○○ 8 4 3 1 2 .571
立大 ●● ●● 4 0 4 0 0 .000
東大 ●● ●● ●● 6 0 6 0 0 .000

◆選手コメント◆
決勝の中越え適時三塁打を放った高山
「(決勝打について)打ったのはスライダー。前の打席をスライダーでやられていたので、それしか狙っていませんでした。一本出したいという気持ちで打席に臨みました。(4戦目までもつれこみ)総力戦で体もきつかったですが、勝てて良かったです。(1年生ながら2試合連続で3番)特に意識はしていませんが、後ろへつないでいこうという気持ちではやっています。(今後へ向け)優勝の可能性があるので、全部勝つ気でいきたいです」

初の4番に座り今日3打点、ここ4戦で8打点の石川
「(3本の適時打について)勝ち点につながって良かったです。船本との対戦では、変則投手が苦手なので、1球目を見た後にノーステップに打法を変えました。打った瞬間は越えてくれという気持ちでした。(空き週について)打撃は良いので、細かいところを詰めていきたいです」

初の1番で出場し5打席5出塁3得点の福田
「この4日間本当にきつかった。でもチームが今日の試合とか法政戦で成長できたと思う。(打席では)エラーでもデッドボールでもフォアボールでも何でも良かった。出塁することだけ考えていた。(1番の打順は)高校では1番だったのですけど、(大学で)9番からいきなり1番になって正直少し気が重かった。でも全部出塁できてホームにも返って得点できてチームに貢献できて良かった。1番は燃えます。(7回の同点になるタイムリーエラーを喫した際は)崩れ落ちそうな感じだった。でもまだ同点で良かったと言い聞かせた。(その分9回の打席は)燃えていた。出塁することだけを考えていた。(好調の要因は)バットを短く持って、気持ち的にゆとりが持てるようになった。何か変えないといけないとバットを短く持って打て出した。いい感じでボールも見えている。(今後について)次も絶対勝つ。自力優勝はなくなったけど、あとの早稲田と立教を完璧に負かしたい」

リーグ戦初先発の月田
「(初先発で)最初は緊張しました。ただ、投げていくにつれて落ち着けました。(5回のピンチは)伊藤諒を打ち取ったのはインコースのツーシーム、多木さんを抑えたのは外の速球です。建部さんから三振を奪った球はスライダーです。(2イニング連続のピンチについて)昨日もおとといもピンチでの登板だったし、緊張せず思い切り投げられました。抑えられて良かったです。4戦目までもつれましたが、ベンチはいい雰囲気でした。(早大戦に向け)全員野球で勝ち点を取りにいきます」

2試合続けてスタメンマスクを被った高橋隼
「4戦目だったので、法大の打者の特徴はつかめていて、リードに自信が持てました。月田は初先発でしたが、よく投げてくれたと思います。月田にとっても自分にとっていい経験になりました。(今後について)全勝でいきます。出場したら頑張りたいです」

3犠打とチームプレーに徹した上本
「勝てて本当に良かったです。この4戦は絶対に勝とうという気持ちでいました。(3犠打について)チームのためです。(早大戦に向けて)連勝で決めます」

☆応援へ行こう☆
対早大戦 
5月19日 10時30分試合開始予定(三塁側)
5月20日 13時00分試合開始予定(一塁側)

☆神宮球場アクセス☆
・東京メトロ銀座線 外苑前駅より徒歩3分
・都営大江戸線 国立競技場駅より徒歩7分
・JR総武線 信濃町駅より徒歩7分 千駄ヶ谷駅より徒歩10分