(22)エース背番号「11」継承・岡大海

2012.04.28
 栄光の背番号11は岡大海投手(政経3=倉敷商)に受け継がれた。過去には川上憲伸投手(平10商卒・現中日ドラゴンズ)、岩田慎司投手(平21営卒・現中日ドラゴンズ)、野村投手などが背負った明大のエース背番号。「マウンドを任される以上、点を取られるわけにはいかない」と言い切る姿からは、もうエースの風格が漂っている。昨秋にリーグ戦デビューを果たし、14回2/3で自責点ゼロ。152㎞右腕が進化した姿でチームをけん引する。

 このオフは「体を大きくすること」をテーマに、肉体改造に取り組んだ。毎日、交互に上半身と下半身のウエイトトレーニングを実施。食事は1日5回取り、プロテインも1日4度飲んで体重は2kg増の82kgになった。球が重たくなり「甘く入っても前に飛ばされなくなった。高めでも手を出してくれるようになった」と手応えを感じている。 ウエイトはシーズンが始まっても継続して取り組むつもりだ。

 今年広島カープにドラフト1位で入団した野村投手とは、昨年の明治神宮大会まで同部屋。最高のお手本の下で多くを吸収した。ウエイトも昨年、野村投手が積極的に取り組み始め「自分も必要と感じた」と特に意識するようになった。一緒に練習も消化するようになり、野村投手からは「他のやつが11番を着けていいのか」とハッパを掛けられ、刺激を受けた。それまで背番号11を意識することはなかったが、そこから執着し見事継承してみせた。野村投手が退寮してからも「球種を増やすべきか」電話で相談。「今ある球の精度を上げろ」と助言され迷いが消えた。

 2月に背中を痛め、およそ1カ月の間全力投球ができなかった。その影響で調整が遅れ、今季初登板となった東大2回戦ではリリーフに回った。3イニングを無失点に抑えたものの4四死球。だが「調子は悪くないです。ちょっとした(球を)離すタイミングです。一塁側に少し体が流れているだけ」と制球を乱したが、気にしていなかった。
 これまでも制球力が課題だったが、昨年は独自の練習法で克服した。投球練習終了後、アウトコースの狙ったところに10球中6球以上投げ込めないと投球練習を終了できないというルールを課した。この練習法で昨季は四死球4個と制球が安定。今はノルマを10球中7球以上に増やしている。さらに今年からは、今まで必ずプレートの1番右側に立って投げていたが、プレートの真ん中や右からも投げられるよう挑戦。新たに試合の中で調整する手段の取得にも取り組んでいる。

 高校時代から評価が高かった打撃にも注目だ。東大2回戦でも代打から試合に出場し、そのままマウンドに上がった。普段から投手メニューの合間を見つけて、打撃練習や外野ノックにも昨年以上に参加している。春のオープン戦では右中間スタンドへ本塁打も放った。昨秋は6打数4安打2打点とバットでもチームに貢献。今年は「投げないときも試合に出たい」と昨季以上に投打での活躍を誓った。

 当然ながら背番号11を着けただけではエースとは言えない。結果を要求されるのも分かっている。「野村さんが抜けたから投手力が落ちたと言われたくない。昨年は自分が活躍しなくても優勝できたと思う。だけど今年は自分がしっかり投げないといけない」と表情を引き締め、偉大なエースの抜けた投手陣の柱となることを宣言した。己の右腕でエースの座を不動のものにする。

◆岡大海 おかひろみ 政経3 倉敷商高出 185cm・82kg 投手 右/右 
意識する相手は九州共立大の大瀬良。雑誌などを見て刺激を受けている。「今だと世代ナンバーワンだと思うから、これから負けたくない」とライバル心を燃やしている。