(16)“二刀流”でさらなる高みへ・山﨑福也

2012.04.23
(16)“二刀流”でさらなる高みへ・山﨑福也
 エース野村が抜けた今年。新生明大の開幕投手を任されたのは山﨑福也投手(政経2=日大三)だった。「勝たなければいけないマウンドだったので緊張しました」と重圧は感じていた。だがそんなマウンドであっても、最速144kmの速球を主体に、カーブ、フォークといった変化球を織り交ぜた緩急のある投球で7回を1安打無失点。「とにかく全力で投げることだけを考えていました」と思い切りの良い投球で、周囲の期待に最高の結果で応えた。

 高みを目指し、さらなる進化を遂げる。冬のトレーニングで下半身を重点的に強化。「いつもなら前に飛ばされる球でも、ファウルチップになることが多くなりました」と速球に球威が増したことを本人も実感している。また打者に速球を意識させることで、変化球の威力も増し、簡単に的を絞らせない。投球の幅が広がったことで、課題であったスタミナ面も克服。1試合投げ切る力を身に付けた。

開幕投手として、堂々たる投球を見せた山﨑
開幕投手として、堂々たる投球を見せた山﨑

 経験を積み、意識の面でも成長した。昨年は1年生だったということもあり、エース野村をはじめとした4年生に頼る部分が多かった。しかし「先輩方に頼ってばかりではいけない。一人一人がしっかりやっていきたい」と絶対的エース不在の投手陣の中、主力投手としての自覚も芽生えてきた。自身の最終的な目標は野村のような「勝てる投手」になること。「1日でも早くエースになりたい」と常に高みを目指し、努力を続けている。

 投手だけでなく、野手としての“二刀流”の活躍にも注目したい。大きな体から繰り出される鋭いスイングに、巧みなバットコントロールが持ち味。開幕戦では投手ながらも打順は6番、東大2回戦でも代打で途中出場と打撃面での期待も高い。「打率を残す自信はあります」。途切れのない打線をつくり上げるために、投打に期待が懸かる山﨑の存在は大きい。

 高い注目度にもプレッシャーは感じない。「高校時代からプレッシャーは感じませんでしたが、大学に入ってからも、伸び伸びとプレーしています」と自分らしさを忘れない。一般的に難しいとされる投打の二刀流にも挑戦。人一倍の努力で厳しい状況も乗り越えようとしている。「ここ一番で抑えられる投手、チャンスに強い打者になりたいです」。信頼を得て、チームを投打で引っ張りたい。

◆山﨑福也 やまさきさちや 政経2 日大三高出 186cm・85kg 投手 左/左
中学3年次に脳腫瘍摘出の手術を経験。手術日である3月21日は“もう一つの誕生日”として、新たなグラブに「3・21」と刺しゅうで刻まれている。