15年ぶり5回目の日本一!野村、愛知学大を27人切り完封/明治神宮大会

2011.11.28
15年ぶり5回目の日本一!野村、愛知学大を27人切り完封/明治神宮大会
 誰もがこの瞬間を待ち望んでいた。決勝戦の愛知学大戦、緊迫した投手戦だったが、6回に阿部(寿・情コミ4)の適時打で先制。そして先発の野村(商4)が相手打線を91球27人切りに仕留め、2―0で完封勝利した。これで神宮大会すべて完封勝ちで、大会通じて許した安打もわずかに9本。川上憲伸選手(平10商卒)がエースだった1996年以来となる、5回目の優勝となった。

 日本一を懸けた大一番を託されたのは、4年間明治を支え続けてきたエース・野村。誰よりも日本一を渇望した男だった。広陵高時代、夏の甲子園決勝で8回、3点リードの場面から逆転満塁本塁打を打たれ、日本一まであと一歩のところで届かなかった。しかし野村は諦めず、明治に進学後も目標は常に「日本一」。そしてその悲願まであと一歩というところまで上りつめ、満を持しての登板だった。

 

ピンチを切り抜け叫ぶ野村
ピンチを切り抜け叫ぶ野村

 連投にも関わらず、「100点満点のピッチングができた」と6回まで二塁を踏ませない好投で、愛知学大打線をまったく寄せ付けなかった。唯一の ピンチを迎えたのは1点リードで迎えた7回。先頭打者の1番濱内(愛知学大)に二塁打を放たれると、2番古屋(愛知学大)の犠打で1死三塁となってしまう。一打同点の場面、野村が投球動作に入ると、田中(愛知学大)はスクイズを試みた。しかし野村は「スクイズが来る雰囲気があったので外して低めに投げた」と相手の作戦を察知した。川辺(商4)がその球を受け、しっかり濱内をタッチ。窮地を乗り越えたエースは思わずほえた。

 そして迎えた9回、最後の打者である源田(愛知学大)を二塁へのゴロに打ち取ると4年間苦楽を共にした仲間たちと抱き合い、4年間で一番の笑顔を見せた。「これまでずっと日本一だけを目標にしてきたから叶ってうれしい。甲子園で悔しい思いをして日本一にはこだわりがあった」と語る姿はもう 「悲運のエース」ではなく、「日本一のエース」だった。
 
 「完封はチームの全員がさせてくれたもの」(野村)と言うように好投する野村を打撃陣が援護した。6回に島内(法4)が左前打を放ち、進塁打でチャンスを広げ、2死三塁で迎えた打者は阿部(寿)。放った打球は三遊間を抜け、先制点を挙げた。さらに8回には上本(商3)の中越三塁打から、中嶋(法2)の手堅いスクイズで追加点を挙げた。

先制点を挙げ、笑みを浮かべる<br />阿部(寿)”align=left><br clear=先制点を挙げ、笑みを浮かべる
阿部(寿)

  
 「野村を一人にするな」――夏季オープン戦で善波監督がチームに放った言葉から、頂点への第一歩は始まった。春季は守備こそ安定していたが平 均 打率は.239と好投する投手陣を援護できなかった。しかし秋季の平均打率は.307と飛躍し、不調の投手陣を救う場面が何度も見られた。この試合でも緊迫する投手戦の中で、ワンチャンスをきっかけに先制。「今年は4年が中心となってまとまっていたのでその成果が出た」(竹田主将・文4)と語るようにまさしくチーム一丸となってつかんだ栄冠だった。

 ついにたどり着いた15年ぶりの頂点。5回目の日本一は単独最多となる。その偉大な記録は、「メンバーに入れなかった選手のことを考えたり、チームへの思いがみんな強かった」(竹田主将)と、常に全員がチームのことを思う、日本一のチームによって成し遂げられた結果だった。

[小川貴良]

※大きな写真を最下部に置いてあります。

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前
(中) 中村(将) .286 中安 三振 左飛 三振 三振
(二) 上 本 .111 投ギ 遊ゴ 左飛 中三
(左) 島 内 .333 遊ゴ 左飛 左安 三飛
(右) 中 嶋 .200 三振 遊ゴ 投ゴ 投ギ
(一) 竹 田 .273 二飛 二ゴ 二ゴ 四球
(遊) 阿部(寿) .538 左安 左二 左安 三振
(捕) 川 辺 .400 四球 二ゴ 右飛 遊ゴ
(投) 野 村 .000 三失 投ゴ 遊ゴ 右飛
(三) 小林(要) .200 三振 三振 二ゴ 左飛
   33 .351                           
◆明大投手成績◆
名 前 球数
○野 村 91 0.00

☆監督・選手コメント☆

15年ぶり5回目となる日本一に導いた善波監督
「竹田(主将)を中心に4年生がまとまっていました。私も4年前監督に就任したので、今の4年生とは同級生です。だから、同級生と優勝できてうれしいですね。今年は創立130周年や島岡監督生誕100周年などで特別な思いがあった年でした。(4年生に向けて)みんな野球だけでなく、勉強や私生活もしっかりしていた。本当にありがとう!」

1年間チームをまとめた竹田主将
「今年は4年生が中心となってまとまっていたので、その成果がでました。4年生みんながチームを第一に考えてくれていました。メンバーに入れなかった選手のことを考えたり、チームへの思いがみんな強かったです。そういった意味で本当のチームです。いろいろなことがあったし、130周年のプレッシャーがあったけど、みんなのおかげで頑張れました。キャプテンとしての1年は辛いことが多かったですが、終わり良ければ全て良しです。野村も2戦連続だったのに、チームを第一に考えて投げてくれました。本当に信頼できるエースでした」

日本一の投手となった野村
「日本一だけを目標にしてきたからかなってうれしいです。甲子園で悔しい思いをしたので、日本一にはすごいこだわりがありました。明治のユニフォームを着て神宮のマウンドに立てるのも最後だったので、4年生に良い思いをさせてあげたいという気持ちで挑みました。完封はチームの全員がさせてくれたものです。(1死三塁とピンチを迎えた)7回のスクイズの時はとにかく三塁走者だけは還さないようにと考えていていました。そこでスクイズが来る雰囲気があったので外して低めに投げました。この4年間は全てみんなのおかげでした。竹田(主将)を中心に4年がまとまる良いチームでした。チームのみんなには、ずっと助けてもらっていたので恩返しがしたかったです。(来年のチームに向けて)これからは3年生を中心に、今よりもっと良いチームをつくれるように頑張ってほしいですね。高校から大学の成長は精神面で粘れるようになりました。91球、27人で終わったことに関しては自分のペースで投げた結果だと思います。目標がかないましたし、個人としてはまだまだですが、チームとしては100点満点のピッチングができました。プロ野球は今よりもっと厳しいですが、明治の野球部で経験したことを生かして頑張っていきたいです」

女房役としてチームを支えた川辺
「今までやることはやっていたので、やってきたことが形になって良かったです。野村の調子はまあまあでした。野村は疲れもあったと思いますけど、練習もしてきましたし、秋のシーズンからですけど、形にしてくれました。(今日は)初対戦の時はそう簡単に打てるものではないので、いつも通のピッチングをするということと、相手が早いカウントから手を出してくれるので、早めに打たせることを意識しました」

今大会においてリードオフマンとして活躍した中村(将・法4)
「うれしいです。4年生が中心となってその集大成を見せることができて、良かったです」

スクイズを決め、貴重な追加点を挙げた中嶋
「最高です。いろいろ苦しいこともあったけど、こういう形で終われて良かったです」

守備の要として貢献した小林(要・政経4)
「最高の瞬間に、この場にいれたことが本当にうれしいです。(今日は)勝つことだけ考えていました」

1年間ベンチからチームを盛り上げた福元(情コミ4)
「こういう終わり方ができて幸せです!」

日本一の瞬間、野村に駆け寄る川辺
優勝の瞬間、野村に駆け寄る川辺
チーム全員で喜びを分かち合った
チーム全員で喜びを分かち合った
インタビューを受ける善波監督
インタビューを受ける善波監督
胴上げされる野村
胴上げされる野村

日本一が決まり、笑顔の選手たち
日本一が決まり、笑顔の選手たち
最後に集合写真を撮影した
最後に集合写真を撮影した