法政打線につかまり13安打10失点。春秋連覇の夢敗れる/東京六大学秋季新人戦

2011.11.02
法政打線につかまり13安打10失点。春秋連覇の夢敗れる/東京六大学秋季新人戦
 春秋連覇の夢は打ち砕かれてしまった。初回、昨日のサヨナラ勝ちの良い流れを引き継ぎ、山﨑(政経1)、石畑(商2)の適時打などで一挙5点を挙げる。しかし先発・山﨑、今岡(文1)が法政打線につかまってしまう。伊藤(僚・法政)のランニングホームランを含む2本の本塁打を打たれるなど13安打10失点。初回の援護を守りきれなかった。結局打線も法政投手陣の前に計4安打と抑えこまれてしまい敗戦。2009年以来の新人戦春秋連覇とはいかなかった。

 盤石の投手陣がまさかの誤算だった。先発の山﨑はリーグ最終戦となった対東大2回戦で5回をパーフェクトピッチング。1年生ながら結果を残し、リーグ優勝に貢献した。この日も初回に2三振を奪い、幸先の良い立ち上がりを見せたかのように思われた。しかし2回、西浦(直・法政)の左越2点三塁打を含む4安打を打ち込まれ3点を奪われてしまう。4回にも四球に加え、3安打を固め打ちされ2失点とリードを守りきれず降板。「コントロールが良くなかった」と納得の投球ができず、先発としての役目を果たせなかった。

 絶対に点を取られてはいけない場面で踏ん張りきれなかった。6-6の同点で迎えた7回。先発・山﨑からマウンドを引き継いだ今岡は1死から連打と四球で塁を全て埋めてしまい、本日最大のピンチを招いてしまう。幾度となく苦しい場面を切り抜けた今岡は山﨑と同様に1年生ながらリーグ戦で活躍し、3試合に登板。対法政1回戦では勝ち投手になるなど実績は十分なだけにこの場面もゼロで抑え、春秋連覇への夢をつなぎたいところだった。だが中園(法政)に犠飛を打たれてしまい勝ち越し点を許してしまう。さらに続く2死一、二塁の場面。今岡はここで代打に立った伊藤(僚)を2球で2ストライクに追い込んだ。投手有利のカウントへ持ち込み、あと1球でピンチを切り抜けられるところだった。投じた3球目――。伊藤(僚)が振り抜いた打球はセンターの頭上を超える大きな当たり。中堅手・中原(北・文2)が打球処理に手間取っているすきを見逃さなかった伊藤(僚)は躊躇(ちゅうちょ)なく三塁ベースを蹴り本塁へ。懸命にボールをつなぐも、伊藤(僚)の俊足が勝り、3点ランニングホームランに。ダメ押し点を奪われてしまい、最少失点で凌ぎきることができず粘り切れなかった。リーグ戦では好投を見せ、優勝に貢献した両投手。だが両投手とも新人戦では期待されたような投球を見せることができず、連覇へと導くことはできなかった。

 持ち味のつなぐ野球が鳴りを潜めてしまった。初回、山﨑、石畑の適時打に加え、相手のミスも重なり大量5得点。幸先の良い試合入りを見せ、このまま明治ペースで試合が進むと思われた。しかしその後は4人をつぎ込んだ法政投手陣の小刻みな継投に打線は沈黙。「いきなり5点を取ったことで安心してしまい相手に合わせてしまった」(阿部学生コーチ)とつなぐ意識が薄れ、スイングが大振りに。凡打の山を築いてしまい、2回以降は1安打に抑えられてしまった。

 リーグ制覇とのアベック優勝とはならず選手たちは「悔しい」と口をそろえた。連覇まであと一歩というところで持ち味である粘りの野球をすることができず、課題が多く残った。しかし1年生が4人スタメンに名を連ね、将来の飛躍を感じさせるプレーを見せれば、8回には釣井(文2)、小林(尭・営2)といった2年生投手が好投を見せるなど収穫もあった。来季は主力の大半を担っていた4年生が抜け、厳しいシーズンになることも考えられる。だが「来年のリーグ戦でこの悔しさを晴らしたい」(石畑)と選手たちはやる気に満ちあふれている。連覇を逃した悔しさを胸に秘め、次世代の紫紺ナインたちが黄金時代を築き上げる。

[桑原幹久]
◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前
(遊) 野 島 .125 中飛 二飛 振逃 捕ギ 二直
(二) 福 田 .500 投安 左飛 三ゴ 二安
(三) 糸 原 .000 投失 四球 二ゴ
植 田 .000 二失
(一)三 原 島 .167 四球 一ゴ 中飛 二ゴ
(投) 山 﨑 .333 左安 二ゴ 左飛
今 岡 .000
伊藤(剛) .000 三振
釣 井 .000
小林(尭) .000
(右) 下 田 .500 一失 二ゴ 遊直 左飛
(捕) 石 畑 .250 中安 右飛 遊ゴ 右飛
(左) 萩 本 .000 二ゴ 右飛
須 藤 .000 三振
木 村 .000
柴田(悠) .000 右飛
(中) 中原(北) .000 四球 三ゴ 四球 三振

◆明大投手成績◆
名 前 球数
山 﨑 65 11.25
●今 岡 53 11.25
釣 井 02/3 0.00
小林(尭) 01/3 0.00

◆選手コメント◆

2戦連続で登板した今岡
「悔しいです。どこが悪いのかも分からないです。悔しい思いをしたので、次機会があったら頑張りたいです」

4回5失点と乱調だった山﨑
「ちょっとコントロールが良くなかったです。でも会心の当たりは避けられたのでそこは良かったです。課題はコントロールとスタミナです。(打撃は)ゲッツーを避けられれば良いと思ったのですが良い当たりになって良かったです。(神宮大会では)先輩たちが最後なので良い思いをさせてあげたいです。頑張ります」

3番三塁でスタメン出場した糸原
「守備の流れから向こうに勢いがついてしまい、こっちに引き戻せませんでした。ボールは見えてたんですけど、やっぱり左なので打ちにくかったです。左への対応が課題です。神宮大会に向け、出てきた課題を一つ一つこなしていきたいです」

新人戦で主将を務めた石畑
「悔しいです。ショックが大きいです。(法政との差は)差はないですが、自分の配球が悪かったです。(打撃について)初回は良かったがそれ以降は打てませんでした。(打ち込まれたことについて)投手の調子は悪くなかったけど、自分の配球のせいです。法政は思いきって振ってきたのでやられてしまったと思います。(来年に向けて)この悔しさはリーグ戦でしか晴らせないので来年は勝って借りを返したいです」

新人戦を指揮した阿部学生コーチ
「5点取った時に、相手に合わせるな、安心するなと言ったのですが、作戦が不徹底でした。5対0からですし、負けた試合は監督の責任なので申し訳ないです。2回以降、振りが大きくなっていたので、大振りにならないように、真っ直ぐを狙っていったのですが、カウントをとられ焦ってしまいました。(準優勝という結果に関しては)優勝できなかったら、準優勝も1回戦負けも同じですし、特に春優勝していたので、負けて悔しいです」